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大島紬(袷)のしつけ糸を外そう。

 2023年も残すところ数日となりました。
 X(旧Twitter)でちらりと呟きましたが、先日、カイロで腹部に低温やけどを負ってしまい、せっかくの着物シーズン(自分的に着物を着るなら晩秋~冬が暑くなくて好き)なのに、着られずにすごしています。

 ですが、毎日しっかり患部にゲンタシン軟膏を塗って、湿潤療法を続けてきたおかげで、お正月は着物ですごせそうです。

 ということで、春にお直しに出した大島紬を引っ張り出し、帯や帯締め等、コーデを確認しました。
 ついでに、しつけ糸も外しちゃおうとなった次第です。


義伯母のお下がりの大島紬。八掛の臙脂色がかっこいい。


 さて、しつけ糸。
 わかっているようで、実はときどき悩んでしまうのが、「どのしつけ糸をとっちゃうの?」ということ。
 お仕立てやお直しをした着物にはほぼ必ずしつけ糸が施されていますが、オークションやリサイクル着物でも、ときどきしつけ糸がついたままの着物に出会いますよね。
 きもの初心者さんや、はじめてお仕立てされた方の中には、どのしつけ糸を外していいのか不安になる方もいらっしゃると思います。
 かくいう私も、最初は「あれ? これは外してよかったっけ?」となり、着付けの師匠である実母に聞いたりしていました。

 答えとしては、
 「表に見える大きな縫い目の細い糸」がとっちゃっていい仕付け糸です。
 あ、基本的には……ですよ。

 実はしつけ糸が施されている場所は、仕立て屋さんで変わるそうです。
 今回の大島紬では、掛け襟、袖、襟先の下から裾にしつけ糸が施されています。
 画像でわかると思いますが、今回のしつけ糸はすべて「表に見える大きな縫い目」の仕付け糸なので、全部外します。


裾のしつけ糸は、襟先の下からぐるっとかかっています。


 襟の両端、袖口、両襟下の部分に、それぞれ小さな玉止めがあるので、そこをチョンと切っていきます。
 玉止めは着物の内側にあったり、外側にあったり、あるいは生地の内側に隠れていたりします。生地の内側にある場合は、無理に引っ張ったりせず、糸が見えるギリギリのところで切って構いません。着物が傷まないよう優しくね。
 その後、端から抜いていってもいいですし、長い場所だと途中で切ってシュルシュルと抜いていくのもいいでしょう。
 気をつけるのは、なるべく着物が皺にならないように……という点と、はさみで着物を傷つけないように、という点でしょうか。
 あとはできるだけ広い場所で風呂敷などの布を敷いて、着物が汚れないようするといいと思います。

 あ、私、平気でフローリングの上に広げてますね(汗
 大島と言えど紬はふだん着物扱いなので、ちょっと扱いが雑になってしまった(反省)

 ちなみに、外しちゃいけないしつけ糸は、訪問着や留袖、振袖といった正装(盛装)の着物に施されることが多い「ぐし縫い」という、目の細かい縫い目のもので、これは飾りの意味もあるので絶対にとらないように気を付けましょう。

 また、袷や留袖など比翼仕立ての着物で、襟の内側にしつけ糸がある場合、これは襟を浮かせないという役目があるので、外さないでください。着てしまえば外から見えませんしね。

 あと、羽織の襟の折り返し部分にも、しつけ糸があったりします。
 アンティーク物で飾り縫いのようなしつけが施されていたりするんです。これは襟の折線の目印の役割でもあるそうなので、そのままでいいとのことです。

 義母からいただいた黒の紋付羽織の襟にある、山型っぽい縫い目がそれ。
黒い羽織に黒い糸なのでわかりにくいかな?


羽織の襟、丸で囲った部分にある縫い目。多分、千鳥がけだと思います。


 今はネットや動画で、着物のプロの方々がしつけ糸についてとても丁寧に説明してくださっているので、気になる方は検索してみてください。
 私がササッと調べてみて、わかりやすいなぁ……と思ったのは「たか○し着物工房さん」のしつけ糸のとり方でした。ブログと動画、両方あるので、よかったらチェックしてみてくださいね。

 というわけで、今年最後のふだん着物notoでした。
 私なりのふだん着物生活、来年もマイペースに続けていこうと思います。
 大した内容ではないかと思いますが、2024年ものんびりお付き合いいただけたら嬉しいです。

 どうぞ、良いお年をお迎えください。


しのみやけい
2023.12.27

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