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できれば会員登録したくないおじさんが、登録項目はどこまで減らせるのか考えた話

もう数年前になりますが、会社のWebサイトにこんな記事を書いたことがあります(転載されたときにリライトしてもらってますが)


この記事が多大な貢献しているわけではないと思うんですが、僕がプランニングに携わっているウチのMGRe(メグリ)というアプリプラットフォームのサービスは、ECサイトへのログイン自動化の対応実績が豊富で、それを実現したいという理由で選んでいただくことが多いです。これを求めてプラットフォームをわざわざMGReに載せ替えていただくこともあるくらいです

ただ、いくらログインが自動化されても会員登録自体がなくなるわけじゃないです。1度はやらないといけない。

しかし当方たいへん面倒くさがりなおじさんですので、できれば会員登録もしたくないんです。やらなければいけないとしても入力項目は必要最小限にしてほしい。

では、その気になったら会員登録の項目ってどこまで減らせるんでしょうか


名前の入力って必要?

会員登録なんだから当たり前だろ、って思う方も多いんじゃないかと思いますが、まあそう言わずにちょっと僕が好きな記事があるのでまずそれを読んでみてください。

この実験で店員さんは「ビスコのお兄さん」と密かにニックネームをつける形で顧客認識をしていて、「必ずレシートを要求する」という特長も認識しています。

当然ながら名前は知りません。でも店員さんはビスコのお兄さんを認識して接客しているし、ビスコのお兄さんに合わせて「必ずレシートを渡す」というカスタマイズされた顧客体験を提供しています

コレを見ると、とりあえず商売する上で名前を聞くことは必須要件ではなさそうなことはわかります。必要なら店員さんが勝手に「ビスコのお兄さん」というユニークなコードネームをつけて、それで事は足ります。

って考えると、お客さん1人1人を個別認識できてさえいれば、会員登録に名前の入力は必ずしも必要ないような気がしてきます。名前の入力が不要なら、ついでに入力させられがちなフリガナとかも不要になって手間がだいぶ省けそうです。


ちなみにこのビスコの記事、のちに書籍化されてます。ご興味ある方どうぞ


メールアドレスって必要?

「メールアドレス入れないでどうやってアカウント作るんだよ!」 って言われそうな気はしますが、まあそう言わずに落ち着いて考えてみましょう

会員登録にメールアドレスの入力を求める理由は主に2つあると思います。

1つめはメールという連絡手段を確保したいから。メールマガジンを送ったり、会員登録するときの本人確認用に認証メールを送ったり、そういう用途が考えられます

もう1つはメールアドレスがお客さんが忘れずにいてくれるアカウントとしてとても便利だから。


ただ、このあたりのことはずいぶん前(2016年) に会社のWebサイトにブログ的に記事を書いたことがあります

メルマガはオワコンみたいな話をするつもりは毛頭ないですが(いまでもちゃんと運用すれば成果出るので)、メールが見られなくなっているという話は実体験としてもありますし、↑の記事で書いたように「メールアドレス? 持ってません」なんて言葉が出てくるようになってるのも事実です。

また、メールよりLINEやSNSのDMのほうが圧倒的に使われてることを示したこんな記事もあります

2016年に記事を書いてすいぶん経ちましたが、いまでも会員IDとして使われるのはメールアドレスが主流です。

ただ、これについてはメールアドレスが会員登録に必要か? というより、日常的にメールを使わない、そもそもメールアドレスを持っていない(と思っている) ユーザーが増えてきている状況で、メールアドレス必須を大前提にしていくのは結構リスクがあるのでは? という話であって、遅かれ早かれ対策は考えていかないとダメだろうなと思ってます。

メールアドレスより退化した感じがするかもしれませんが電話番号(SMS)を利用するというのも1つの手ですし、アプリの場合だとプッシュ通知の送信をユーザーさんがOKしてくれれば、ユーザーの個別認識はもちろん連絡手段の確保もできてしまうので、極端ですがメアドも電話番号も取らないという、そんなやり方も考えられます。


住所って必要?

これは現状でも会員登録時に住所を必須にすると手間がめちゃくちゃ増えるので、住所が必要になった状況(ECで注文完了したタイミングとか)で追加登録をお願いする方がユーザー体験的にはよいというのはよく聞く話です。

実際、アプリを使い始めるときに住所まで登録必須にされてると、それだけで登録やめてしまう体験というのは個人的にもしばしばあります

しかし、ここでちょっと考えてみたいのが、そもそも「住所の登録って必要?」って話です。

さすがにこれは「ECサイトの会員登録ならいるに決まってるだろ! どうやって荷物届けるんだよ!」 って言われそうな気はしますが、まあそう言わずに落ち着いて考えてみましょう


ヤマト運輸のWebサイトを見るといろいろな配送方法が用意されていることがわかります

この中に「住所を知らなくても荷物が送れる」ってのがあります。クロネコメンバーズ限定で、LINEの友達限定という制約はありますが、住所をしらなくても荷物を送る方法は存在します

お届け先の住所を知ってないと困るのは究極的には配送業者の担当の人だけで、必ずしもECサイトの運営会社が知らないといけないわけではないです。いまは送り状に書かないと送ってくれないから必要なだけで、配送業者さんに「この人に送ってください」って申し送りしてOKになれば、わざわざ住所という個人情報の1要素をリスクごと自社に抱え込む理由はなくなります


以前は決済用のクレジットカード情報は各ECサイトが会員情報として保有していることが主流でした。いまはクレジットカード情報を非保持とすることになったように、住所も保持しなくて済むならそうしたいという流れになったり、法令でそう定められたりなんてこともあるかもしれません

完全な住所情報の非保持化実現には、配送業者さんに仕組みを用意してもらう必要はありますし、ECサイトであればサイト側もそれに対応する必要があります。

でも、フリマのサービスでは匿名の決済・配送は実現できてますし、結果的に登録の手間も少なくサービスを安心して利用できるとなれば、どこか1社がはじめると一気にその流れが起きるかも、とは個人的に思ってます。ていうか、そうなってくれないかなーとか。


いろいろハードルはありますが、名前も住所もメールアドレスも登録不要なのに、ちゃんと行き届いたサービスをしてくれて、買ったモノも家に届けてくれる。そんな世界を実現するのは全く夢物語というわけでもなさそうです。


※写真素材はぱくたそさんのフリー素材を使わせていただきました。


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