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したたかさを磨くためマイ5トップ「Deep Skill」から学びを抽出した

どうも、しのジャッキーです。今回読んだ本は、2022年のベスト5に入る書籍となりそうです。

2022/10/25に出版された、「はじめての社内起業」の著者 石川 明さんの新著がです。2015年ごろから新事業開発に従事するようになりました。そのときに何度も参照させてもらった一冊です。今回は、長いこと新事業開発をやってきて、「どうすればいいんだろう」と思っていた、「政治力」に関する一冊だととらえました。政治力ではなく、「したたかさ」、深くてさりげない技術「Deep Skill」と呼ぶ、言葉選びの力も感じました。染みわたる一冊でした。

今回の記事では、書籍の中で紹介されている、人と組織を巧みに動かす深くてさりげない「21の技術」のうち、個人的に、「あぁ、そうだったのか!」と大きな発見のあった個人的トップ5「Deep Skill」をご紹介したいと思います。以下、順番はランキングではなく、書籍に登場した順番でご紹介します。

#02 <裏切り>
上司とは「はしご」を外す存在である

「道徳観」に期待せず、「身も蓋もない現実」を洞察する

本当に身も蓋もない(苦笑)出世している人は、失敗しても、成功しても、大丈夫なように距離感をとっているもの。成功すれば「勝ち馬」に乗りに来るが、失敗しそうとなるや、はしごを外す。

常に「上役を立てる」言動をかませて「上役を当事者として逃げられないようにする」こと。スポットライトがあたるタイミングに、自分が出るのではなく、上役にスポットライトをあてることがプロジェクトを守る上で重要な打ち手になる。自負心は内に秘めるのが「大人」というもの。

こういうことを「したたかさ」というのか、と思いました。なんか、周りからは華やかに見えることもあるらしいですが、新事業開発は泥臭いことばかりです。それでも、「ことが進むこと」にコミットすることであって、自分が目立つことは、気持ちが良いですが、そんなことで目的を見失ってはならないことを常々、肝に銘じたいと思いました。

#04 <覚悟>
勝負どころでは、あえて「波風」を立てる

「角」を立てた主張で、社内の「議論」を深める

本当に仕事ができる人は”非ドラマチック”な存在である。十手先、二十手先を見据えて周到に不要な波風を立てないこと。しかし、「角」の立った議論をすることで、事業に込められた「意義」について議論を深められるのであれば、あえて「波風」を立て、感情を動かす覚悟を持つことが大切。

新事業開発は、不確実性がつきもの。つい、不都合な情報は隠したくなるものです。私自身、とにかく前に進めるために良いところばかり言ってプロジェクトを延命したことも正直いうとあります。しかし、それが、仮説検証を進めるうえでの肝となる部分であれば、それは事業開発における怠慢でしかないんだな、と思うようになってきました。

隠したところで、所詮、延命にしかならず、対峙しないといけない問題なのです。むしろ、「ここは、わからない。しかし、こうやって分かる状態に持っていこうとしている」ということを、誠実に伝えることが大切だと思います。そうすれば、道は開けてくると思います。

#11 <他者貢献>
親切なのに「嫌われる人」の特徴

さりげなく「味方」を増やす、「他者貢献」の賢い技術

親切の押し売りにならないようにするには、壁打ちに努めること。「考える主体」も「答えを出す主体」も相手であり、それを助けるために思考を深めるための問いを返すことに徹する。事実を確認するだけで自然と問題は解決する。

アドバイスをしているつもりで、実は相手から疎まれているかも、という投げかけに、ドキっとしました。私は、おしゃべりな方なので、これに陥っている可能性が大ありだと思いました。

状況対応型リーダーシップモデル

一方で、これは相手が自分で答えを出そうとしているか?という相手の状況に依存していることも忘れてはいけないと思いました。ケン・ブランチャードの状況対応型リーダーシップモデルという考え方で行くと、②「コーチ型」もしくは③「支援型」において、壁打ちが有効なんだろう、というのが学びでした。

状況対応型リーダーシップモデルについては、以下の記事をご参照ください。

#16 <合理性>
「合理性の罠」に陥らない方法

「合理的」に考えても結論が出ないときの思考法とは?

新規事業は既存事業で通じる合理性では答えを出せない。なぜなら「やってみないとわからない」という限界があるから。経営判断の根源にある意志(パーパス)に立ち返ることで、合理性を超えた共通のものを見出す。

この項目からは2つのことを思い出しました。一つは、「ダイナミック・ケイパビリティの経営学/菊澤研宗」という書籍で学んだ不条理、もう一つは「ワイズ・カンパニー/野中幾次郎・竹内弘高」という書籍から学んだフロネシスです。

不条理とダイナミックケイパビリティ

「ダイナミック・ケイパビリティの経営学/菊澤研宗」という書籍で扱うダイナミックケイパビリティとは、人や組織が合理的に失敗する現象である「不条理」という問題の解決に有効な能力だとしています。

不条理には以下の4つの代表的パターンがあり特に「パラダイムの不条理」が特に強力であり、他の3つの不条理を引き起こす原因ともなっています。

「ダイナミック・ケイパビリティの経営学/菊澤研宗」をもとに篠崎作成

Deep Skill」で、既存事業と新規事業における不条理は表中の4つ目の「短期的合理的長期的非合理」的に説明されていましたが、ほかの3つも、さもありなん、と思えるもので、あらためて読み直して、学びがありました。

不条理についてや、ダイナミックケイパビリティの詳細については、以下の記事をご参照ください。

フロネシスとSECIスパイラル

ワイズ・カンパニー/野中幾次郎・竹内弘高」は、組織が知を創造し、実践し続けるための「SECI理論」を扱っています。

フロネシスは、アリストテレス(実践知)が提唱した「何をすべきか、を知る」知識であり、「行動・文脈・善・目的」の4つの特徴を持つとしています。

細かくは、以下の画像から読み取っていただくとして、パーパスに立ち返るとは、その事業や取り組みの根底にある価値観(善)という芯を明確にし、強めていくことで、求心力・遠心力を発揮していくことだと思いました。

SECIモデル、フロネシスなどについて関心のある方は以下の記事をご参照ください。

#19 <嫌悪感>
人間の「哀しさ」を理解する

「好き嫌い」に左右されず、「自分の感情」をコントロールする技術

自分の感情は横に置いて、あくまでも目的合理性に徹する。重要なことは、とにかくプロジェクトを前進させること。人間はそう簡単には変わらない。自分にもそういう側面(哀しさ)があると認め、「嫌悪感」から「共感」へシフトすること。

許せないような裏切りを受けたり、どうしても分かり合えないことがあったとしても、それはそれとして「好き嫌い」の感情をコントロールすべし、と。このとき、他責の考え方ではなく、自責の考え方であるところに衝撃を受けました。

自分自身だって、相手から同じように嫌悪感をうけるようなことだってあるだろう、そういう側面をもっているだろうと。そう考えたときに、相手への「嫌悪感」から「共感」へシフトさせることで、感情をコントロールすべし、と。

感情表現の理論「ディープ・アクティング」

この感情をコントロールする方法を読んでディープアクティングという言葉を思い出しました。「世界標準の経営理論」の第22章「感情の理論」で学びました。そこでは、こんな例を出していました。

キャビンアテンダントが機内サービスへ理不尽なクレームを受けています。その際に、その顧客が飛行機初搭乗と知り、それを強く意識することで、当初の「嫌悪」を「同情」に変化させること。

ただ、表面的に、笑顔を大切にといったように、外向けの感情表示だけ変えて、自分の本心にギャップを持ったまま行う感情表現をサーフェス・アクティングといい、これに対してまず自分の認知を変え、感情を自分が表現したい方向に変化させてから自然に行う感情表現をディープ・アクティングと説明しています。

「#19 <嫌悪感> 人間の「哀しさ」を理解する」は、認知側の感情表現を制御することで心理的負担を下げるディープ・アクティングのスキルでもあるんだな、という学びがありました。

さいごに

以下から、出版記念のセミナーから、本書に込めた石川さん自身の思いを聞くことができます。あわせてお楽しみください。

今回は、Deep Skillからの学びをまとめさせていただきました。

以上「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

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