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生物多様性と金融の関係について勉強してみた

本記事は、ESG/SDGs/CSVに関しての個人的な学びのアウトプットです。

最近、私の中でホットなキーワードが「生物多様性」です。世の中的にもホットといえるしょう。今回は、WWFでやっていた以下の講座を聴講して、印象に残ったことをトピック的に書きたいと思います。

<参考>当方のnoteの過去の生物多様性関連の記事

生物多様性と金融

高崎経済大学学長の水口剛氏による講演を聴講したわけなのですが、非常にわかりやすかったです。以下は、資料や、自分のメモから再構成したものであり、篠崎の私見もまざりますことご了承ください。

金融とはなにか?

そもそも金融とは、2つの側面がある
・取引(決済)の利便性を高める
・投資運用により世の中の価値を高める

特に生物多様性やサステナビリティという観点では、企業や個人の活動が自然環境に与える悪影響を抑えるように投資を最適化する機能も金融は持つ。

金融はシステムの一部

金融の投資した先の企業は、自然や環境から原料を調達したり、自然界に廃棄物を排出したりします。また、消費者が間接的にも同様のことをします。自然環境・社会・経済は密接にかかわりあう複雑なシステムである。

また、あるシステムの変化は、他のシステムに影響を与えるため、部分的に都合よく変えるということも難しい。

企業の行動、消費者の行動というものは、価値観や文化といったものの影響を受ける。教育であったり法制度・規制などが価値観や文化に影響を与える、という関係性がある。

2006年4月 責任投資原則(PRI)発足

これは以前も、当方のnoteでも取り上げました。コフィ・アナン国連事務総長のリーダーシップによってRPIが発足したことで、ESG(環境・社会・ガバナンス)を意識した投資をしていくぞ、ということに賛同する投資機関の署名が増え、世界の運用資産の1/3くらいまでに来ている。まさに、規範によって投資家の認識・行動が変わってきた。

当方のnoteの以下あたりも参考になれば幸いです。

ESGインデックス

PRIができて、ESGを意識した投資をするということで、じゃあ、どういう企業がESGの観点でちゃんとやってんのか?というのを明らかにするために、ESGインデックス(指数)というのが整備されて、日本でも、世界最大の投資機関でもあるGPIF(日本の年金を運用)がPRIに署名して、指数を発表したことはインパクトがあった。

ESG投資を支える仕組みについては、以下の過去記事もご参照ください

企業からの情報開示

しかし、こういったESGインデックスを作れるのは、それらに関する情報が企業から投資家に提供されている必要があります。とはいっても、企業がバラバラと独自の情報を公開されると、投資家はうまく比較できません

ということで、こういう風に情報を開示してくれよ、という風に整理したもんの一つがTCFD=機構関連財務情報開示に関するタスクフォース(Task Force on Climate-related Finacial Disclosures)。

4月からの、東証プライム市場においてもTCFDにもとづく情報開示が義務付けられた。個々の企業において大きな影響であり、情報開示について企業内で仕組みの整備がはじまり、行動の変化につながる。

サステナの国際基準も動いている

IASB(国際会計基準審議会)っていう、世界の会計基準を作っている団体の親玉のIFRS(アイファス)財団が、2021年11月3日にISSB(国際サステナビリティ基準審議会)ってのを作った。

ちなみに、このISSBの議長は仏ダノンの前最高経営責任者(CEO)、エマニュエル・ファベール氏。彼は、サステナやりすぎて、ダノンCEOを解任されるという衝撃的なニュースがありましたね。経営者としてサステナビリティの実践が難しいならば、そういう経営をせねばなぬ世の中の制度を作ってやろう、とメラメラと燃えているのではないでしょうか(篠崎の個人的感想です)。

本件は、以前にちょっと調べたので、以下ご参照。

サステナ基準の基本構造

サステナビリティの情報開示の基本構造は

  1. 全般的要求事項

  2. テーマ別まずは気候変動から

  3. 産業別

  4. ガバナンス:リスクと機会について取締役の監視の仕組みなど

  5. 戦略:リスクと機会が財務に与える影響の明確化やそれに対する戦略など

  6. リスク管理:リスクを特定・評価するプロセスなど

  7. 指標と目標:どういう指標や目標でリスク・機会を管理するか、など

という要素で構成されていて4~7番というのが、TCFDが情報開示を求めている内容と合致しているらしく、がっちゃんこされるよう。で、これが整備されるとあとは、テーマとして、気候変動につづいて、生物多様性などが入ってくる、というのが大方の予想のよう。

TCFDの生物多様性版「TNFD」

ちゅうことで、TCFDの次に生物多様性に関してTNFDの整備がもう進行中。TNFDは自然関連財務情報開示に関するタスクフォースのこと。なんと、3/15に情報開示フレームワークのベータ版が発表された、とのこと(読まねば)。

世界経済の半分以上(44兆ドル)の経済価値創出は自然に中程度以上依存。世界の資金の流れをネイチャーネガティブからネイチャーポジティブにシフトさせることを目指す、という内容になっている、とのこと。

ベータ版は以下

生物多様性は、気候変動のように単純ではない。なぜなら、気候変動は突き詰めれば脱炭素というシンプルな戦略に落とし込める。しかし、自然を守る、というときに何を指標にするのかが非常に難しい。それは場所に紐づいてそれぞれに考えないといけないから。

企業に情報開示してもらうにあたって、企業が開示できる実務的に実行可能なものでないとうまくいかない。企業の管理能力が求められることもそうだが。

パッシブエンゲージメントの例

最後に、投資家の具体的な活動としてりそなアセットマネジメント社のスチュワードシップレポートが紹介されました。サステナブルなパーム油調達、海洋プラスチック問題などについてまとめたレポートのようで、そういったものをもとに投資先などとの対話を繰り返す。また、NGO/NPOなどとも連携した企業、投資家、NPO/NGOという三社対話の形にするような取り組みで企業の行動変容を促すよう動きをしているとのこと。こういう動き方をパッシブエンゲージメントと呼ぶようです。

まとめ

ということで、今回はWWFの生物多様性スクールの「生物多様性と金融」を聴講したメモを共有させていただきました。非常に平易な言葉で語られていて非常に勉強になりました。特に、ISSBとTCFDそしてTNFDの関係が分かったのは大収穫でした。過去に勉強してアウトプットしてきた内容のリマインドにもなりました。こうやって繰り返し知識を掘り起こして組み合わせていって知識は広がっていきますね。TNFDのベータ版よまないと。

WWFの生物多様性スクールの開催報告は以下にありました。

<参考>当方のnoteの過去の生物多様性関連の記事

おわりに

このほか、当方のESG/SDGs/CSV関連の記事は以下のマガジンにまとめていますので、もしよかったらのぞいてみてください。また、フォローや記事へのスキをクリックしてもらえるとうれしいです!

ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie

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