【体験談 その２】

　前回、2023年の 9月に「体験談」を掲載し
ました。その第２弾になります。すこし怖い
方向にいきますので、苦手な方はこのままス
ルーしてください。

　３年前に経験した話になります。暑さ寒さ
も彼岸までと言いますが、お墓参りは欠かせ
ません。供養するうえで手順はありますが、
私は線香を供えるとき、わざと数本余らせて
いました。お寺の敷地内にある墓地の入口に
設置された、よだれ掛けをつけた子どもの姿
をしたお地蔵さんにも、供えるためでした。
その日も、ご先祖さまへ挨拶を済ませますと
普段通りお地蔵さんに線香を供え、手を合わ
せ帰りました。奇妙な体験をしたのは、それ
から２日後のことです。

　仕事が休みで、家族が買い物等で外出をし､
ひとり留守番をしていました。10時頃だった
でしょうか、午前のやわらかな春の日差しが
部屋に注いでおりました。ふと、喉の乾きを
覚え台所に向かう途中、玄関から魚の腐った
ような臭いがしました。玄関には出し忘れた
可燃ごみはありませんでしたし、靴が並べら
れているだけでした。不思議だなと思いつつ､
不快な臭いは容赦なく鼻孔に侵入してくるの
で、たまらず後にしました。和室を通ったと
きでした。一瞬のこと。畳のうえに置いてあ
りました掃除機のそばで、半円形の小さな影
が、私の視界から逃げるようにスッと動いて
消えたのです。｢えっ !？」ふつう影は光を受
けたものの後ろにできます。半円形の影は、
掃除機の本来できるであろう方向とは逆の位
置に現れ、消えていきました。すぐに部屋を
確認しました。変わったところはありません｡
混乱する頭で考えましたのは、あのお地蔵さ
んに手を合わせたからではないか、子どもの
姿をしたお地蔵さんは、幼くして命をおとし
た子どもと深い関係があるといわれておりま
す。墓参りのたびに毎回線香を供えていまし
た。もしかすると、お地蔵さんに宿っていた
小さな子どもの霊が、この人はやさしいと思
い、私についてきてしまったのでしょうか。
怖い感じは受けませんでした。そして、玄関
の臭いは、その子どもの後を追ってきた動物
の未成仏な霊が放つ霊臭だと判断し、（この
場合の霊は悪霊が多いとされていますので）
｢去れ、ここはあなたが来る場所ではない！ ｣
と力強く声に出しました。すると、程なくし
て魚の腐ったような臭いも消えたのです。

　世の中には手を合わせてはいけないお地蔵
さまが存在します。ひとつに、道端にあって
誰が管理しているのか解らないお地蔵さんに
は、悪霊が助けを求めて集まっている可能性
が高いので、注意が必要です。寺の敷地内に
あって手入れが行き届いているお地蔵さんな
ら問題ないとされておりますが、お地蔵さん
は、あの世とこの世をつなぐ役目を持って設
置されていることも忘れてはいけません。

　お読みくださいまして、ありがとうござい
ました。追記として、私はたまたま弱い霊と
の遭遇であったため、その後も無事に過ごす
ことができておりますが、霊を退治する力は
ありません。

#眠れない夜に