見出し画像

4月の新刊 親王殿下のパティシエール(2)

世界は新型コロナの大流行で大変なことになっていますが、そんな中で「親王殿下のパティシエール2 最強の皇女」が4月15日に刊行されました。

永リン皇子が帰宅してから、慶貝勒府は新しい使用人が増え、点心局にも経験豊富な厨師が入ってきます。永リンに忠実な李膳房長や高厨師、若くて感性の柔軟な同僚と違って、新しい上司の王厨師は女性蔑視と外国人への偏見の塊でした。マリー受難の回。王厨師の差別的態度は現代の日本人から見れば理不尽きわまりないのですが、それが18世紀の清国の常識であり、マリーの生まれ育ったフランスでも似たようなものでした。

本作の校正をしていた2月には、新型コロナの発生地が武漢ということで、欧米ではアジア人差別が激化、罵られたり、唾を吐かれたり、公共交通機関の乗車拒否、入店拒否、暴行障害事件もおき、果ては通り魔に「おまえら中国人のせいだ」と殺害された、どう見ても中国人ではない不運な東南アジア人までいます。

人種差別はそれほどひどくはないニュージーランドに住む私も、世界中が手のひらを返したような変化に、周囲のキウィたちの態度が変わらないようと祈る、病気よりも差別が怖いという不安な日々を送りました。現代でも新型コロナへの不安のはけ口として噴き出した欧米人のアジア人に対する差別意識の強烈さ、アジアでも外国人排斥の動きが高まるのを見るにつけ、人権という観念すらなく、差別や偏見がいまよりもあからさまに横行していた18世紀。マリーが受けた差別や理不尽な待遇は、歴史時代小説とはいえ、全年齢向けのお仕事青春小説では表現できないほど過酷なものではなかったかと想像します。

新刊の宣伝に湿っぽいことを書いてしまいましたが、この本を手に取り、読んでくださった方々が、世界は広くて、色んな考えの人間がいて、わかりあえない人もいれば、寄り添ってくれる人もいること、ひとりひとりの世界は狭くて小さいけど、誰もが少しずつ遠くまで繋がっていることに想いを馳せ、身近な人々と大陸の果てにいる大切な友人の幸福を願うマリーに共感してもらえたらいいなぁと、祈っております。

現在、書店の多くが休業となり、アマゾンも生活物資の配送優先で、書籍の入荷制限がかかってしまいました。ご自宅から出られない読書様に通販での受注を継続しているのは以下のオンラインストアです。

ウェブストア

紀伊国屋書店:   https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784758443333

楽天: https://books.rakuten.co.jp/rb/16235118/?l-id=item-c-relation-01

e-hon:https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000034058393&Action_id=121&Sza_id=A0

HonyaClub: https://www.honyaclub.com/shop/goods/goods.aspx?goods=19879207

Honto: https://honto.jp/netstore/pd-book_30185410.html 

新刊を扱う書店は緊急事態宣言中でも休業要請業種ではないそうなので、書店買い派の読者さまは、書店さんを応援するためにも、地元の本屋さんが開いているかどうかご確認されてみることをお勧めします。

画像1

篠原拝






よろしければサポートお願いします。いただいたサポートは文芸関連のイベント費用、取材費などに充てさせていただきます。🙇‍♀️