ファクトフルネス~事実に基づいて世界を見よう~

新聞記事や、ネットで見かける記事や意見で興味をもっては、
京都市図書館でオンライン検索して蔵書予約し、借りるということをしています。

今回借りてきたのは、「FACTFULLNESS」。

おそらくなにかのネット記事読んで予約してみたんだけど、
当時大人気だったみたいで多くの先約者がいたものだから
予約してから借りれるまで、一年かそれ以上かかり
いざ、手にしてみると
「なんについての本だっけ?なに読んで、読みたいと思ったんだろ?
どんなとこに興味もったんだろ?」
と首をかしげてしまい、
「別に、もう読まんくてもいいんだけど…」
と思いつつ、ようやく借りれたので貧乏根性、持ち帰ったら

読んで、よかったです。

「いずれ一時はやった『マインドフルネス』みたいなうさんくさい自己啓発本のたぐいだろ」
とか思って開いてみると、どうしてどうして真逆でした。

ひとことで言うと
「事実に基づいて世界を見る習慣をつけよう」
という主張を、著者自身のトラウマともいえる失敗を含む経験談をまじえて
いかに数字を使って世界を冷静にみるか、ドラマティックな報道や
感情的な意見や印象に惑わされずに世界をみるか、と説明する本です。

最初のほうで、「客観的な数字、分析は大事だが、災害のただなかにいるときには
そういう客観的な話は横に置いて、被害者の救済にあたらなければならない」とあったのにとても好感をもちました。

だいたい、数字統計、分析に頼る専門家は、そういう結果ばかりを見て心を感じないことが多いのですが、この著者―スウェーデン人の医師ですが―は一貫して、数字は大事だけれど物語も見過ごしてはいけない、物語も大切だが数字もきちんと見なければならない、ということを訴えています。

本の内容は、ものすごく簡単にいうと

・世界は分断されていない
・世界はよくなっていっている
・頭が良い、教養のあるひとでもとんでもない思い違いをして世界をみている
・まず「先進国」「発展途上国」という区切りでなく、経済状況にあわせてレベル1~4にわけてみていこう
・数は大事、でも物語も大事
・ものごとはそう簡単ではなく、複雑。ひとりのせい、1グループのせい、ひとつが原因ではない。「犯人捜し」はやめよう
・つねに柔軟に、じぶんの「常識」をうたがってかかろう
・「今でしょ!」は思考を停止させる。チャンスは一度きりではない。焦る本能を落ち着かせよう。

などといった、ついつい「本能」に従って無意識にバイアスかけてみることごとを、このように注意してみよう、と自身の広く深い経験に基づいて説明されています。

著者は長年TEDトークや数々の講演をおこなってき、末期のすい臓がんが判明してから、それまでも講演のデータ作成などで手伝ってもらっていた息子夫婦とこの本を書いたそうです。この本は彼の遺言ですね。

本のなかで、何回か「ワクチンのないインフルエンザが世界的に流行する可能性だって十分ある」と言っています。いま生きていたら、このコロナ禍をみてなんと言うでしょう。
また、スウェーデンがひとり冷静に独自のコロナ対策を行ったのは、彼の影響が大きいのかなとも思いました。

・常に自分自身の常識を疑う
・好奇心をもってわくわくと
・好きではないひとの意見をきくようにする

等々、いぜんから自分が実践していることも「これでよかったんだ」と思えました。
とはいえ、まだまだ一方的な見方をしていたり、思い込みのつよい部分もあるのですが…。

この本を読んでよかったのは、著者のねらいのひとつである
「世界はよくなっていっている」
ということがわかり、安心したことです。

ここんとこ、いろんな本を読んだり、真向法実践したりして
心穏やかになってきているのですが、さらに落ち着いてきた心地がします。


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