ペルソナ×分人思考

ペルソナというマーケティングの手法を知っているだろうか。
カスタマージャーニーマップを学んだことがある人ならば、聞いたことくらいはあるだろうと思う。
ペルソナは、商品やサービスを企画する前に、どのような人に刺さるかを明確にするために架空の人物を作る。
年齢、性別、家族構成、住んでいる場所、好み、心情、価値観など細かく設定を作り込む。それによって、目指す市場=お客様の集合の代表者を作り上げるという手法だ。
これに、個人の心理や価値観が反映されるように作り込むのがミソだ。
ここで分人思考との対比が生まれる。
ペルソナは、一貫した価値観を持つ個人を設定する。
しかし、現実世界では、私たちは様々な分人で生きている。
家族や恋人に対する時の自分、同僚に対する自分、上司に対する自分、親しい友人に対する自分、社会一般に対する自分、SNSでの自分。
様々な自分に自動的に切り替わりながら生きていて、どれも本当の自分である、というのが実感に合うと私は感じる。
これは平野啓一郎さんの受け売りである。
ではペルソナが対象にしているのはどの自分(分人
)だろうか。
何か物やサービスを生活に引き入れる過程(カスタマージャーニー)の中で、分人は鮮やかに切り替わるだろう。

その時に、一貫した価値観を持つ個人たるペルソナは歯が立たないのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?