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退屈日記

夫の実家で安定の退屈した毎日は続く。特に事件は起きない。それがいい年末。

夫の父は淡々と美味しい料理を作る人だ。美味しかったか?とか聞かれないんだけど、いつもおいしい。ようは油の使い方なんだなーとか思うけど、夫の父はヘビーな糖尿病になってるから参考にし過ぎないようにしている。

彼の料理というのは、頭の中には完成形というか食べたい味があって、それに持っていくだけだ。だから新しい材料を試したり、勿体ないから余った野菜をパスタの具に追加するなんてことはない。

前はそうではなかった。新しいレシピを試すのが好きな人だった。なんてことは私たちの記憶の中にしまいこんでしまうのだろう。たった数年前のことなのに。

小さな幸せはあっという間に形を変えるし、不幸は角を曲がったら信号機のような当たり前さでそこにいることを。だからせめて一緒にいることのできる間だけでも、退屈できる幸せを。パンにオリーブ油を。

TVでは長友が試合にでている。発音はナァガトモ。

ツイッターやノートのように自分の選んだものだけが流れる居心地のよいタイムラインから外れると、空気には匂いがあって、数値では測れない感情で満ちている。

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