ぼる塾か、3時のヒロインか
ぼる塾か、3時のヒロインか。今後のテレビを席巻する芸人はどちらだろうか。
先に売れた3時のヒロインも、後ろから追い越していったぼる塾も、両者ともトリオで、なんとなくのメンバー構成も似ている。それに加えて、どちらもすごく良いグループだ。見ていて笑わなかったことはないし、嫌な気分になることもない。
対照的な存在でもある。仲が良く、見てて微笑ましい、応援したくなるぼる塾。その一方で、笑いのためならいがみ合い、喧嘩をし、時折世間から反感を買う3時のヒロイン。人を傷つけない笑いと傷つける笑いという最近のトピックで考えても両者の存在は対照的である。
今日は二組の今後について妄想しようと思う。
まずはツッコミから。
ぼる塾・あんりのツッコミは、声のトーンと声質がすごく良い。スカーンと出る大声なのにうるさくない。彼女には短くてキレのあるツッコミが似合う。「なんでだよ」「うるせえな」これだけで笑いが取れる天性のツッコミ。普通の人間には出せない圧力が彼女にはある。キャラクターも立っていて、あんりは芸人としての立ち位置を確立しつつある。同世代の中では、割と早い段階で次のステップが見えてくるはずだ。
少し残念なのは、ぼる塾の漫才にあんりのツッコミが活かされてないことだ。今の漫才では、ネタ中にあんりが全力で突っ込めるほどおかしなことが起こらないので、あの力強いツッコミが聞けない。「バカー」と田辺さんが爆発するよりも、はるちゃんと田辺さんがあんりを振り回して爆発させられたら理想的だと思う。
だから、漫才のテーマは、あんりが本当に変だなと思っていることが良い。例えば、はるちゃんと田辺さんの同居生活の奇妙なところや、田辺さんの食へのこだわり、はるちゃんの暗い部分など。二人が個性的なだけに、ネタの種になりそうなエピソードはたくさんあるはず。無理に喧嘩しなくとも、変なことを変だと真っ当に突っ込む、バイきんぐのコントのようなネタがぼる塾には合いそうだ。
3時のヒロイン・福田のツッコミは、ダラダラしていて張りがないのにキレがある。過去に似たツッコミがいない、独自の路線を行く。若手の割には内面に尖ったところがなく、大人数の出る場では協調性がある一面も良い。
福田の芸人としての実力は確かながら、根強いアンチを抱えていて、度々ネットニュースを騒がせる。けれど、個人的に思う福田の強みは負けられることにある。戦って、負けて、その負け顔が面白い。ネットに叩かれ、先輩や後輩にいじられ、嘆く姿が面白い。
自然発生的に窮地に追い込まれて面白い若手芸人は、福田の他に水川かたまりが思いつく。かたまりは不器用すぎてテレビの笑いになりにくく、福田は器用すぎて笑いが不発になることが多い。でもどちらもおかしくてしょうがない。
ネタは十分に面白いので、「なんか嫌い」という好感度の低さをこれからどうひっくり返していくかが課題になる。かつて似たような境遇にいたハリセンボンはるなの今の好感度を考えると、芸能人の友達を作ることが一番早い解決策だと思う。福田はもっと素の部分を見せた方がいい。これから自分の素が出せる関係性を芸人やタレントと築いていけば、好感度はついてくる。
ぼる塾。
田辺さんのスイーツやジャニーズ、コナンへの愛は、嘘がないところが良い。好きなものを素直に喜び、好きなものについてとことん語る。その打算ない姿は魅力的で、田辺さんの喜んでいる顔をもっと見たいと多くの視聴者は願う。周囲に敵を作らない田辺さんは、Youtubeよりもテレビ向けの人だと思う。無理して笑いを取りに行かなくても、隣にはあんりという強烈なツッコミがいる。これからも好きなことをして生きてほしい。
はるちゃんはまだキャラクターが見えないけれど、おバカ、病み、ビジュアルの良さなどぼる塾の他のメンバーが持っていない領域での才能が開花する可能性がある。今はいろんなものを試していく段階。多少のアンチが生まれることを覚悟してでも、自分の好きなこと、やりたいことを突き詰めてほしい。
3時のヒロイン。
かなではどんどん女優業のオーディションを受けたほうがいい。コントでの表情の面白さ、表現力の高さを考えると、女優が一番向いている。ぽっちゃりしていて華があるキャラクターが必要なドラマはたくさんある。そしてそのポジションを埋められる女優は少ない。また、お笑いではリアクション芸が一番向いていそうだ。声や見た目に迫力があるので、激辛、絶叫、熱湯などどれも面白そうな絵がすぐに浮かぶ。「伝説のドラマ◯◯にも出演中のあの人が!」という煽りもリアクション芸にはプラスになる。
ゆめっちは借金やクズエピソード、歌のうまさなどが印象的で、見た目も才能も一番華がある。「歌の仕事をしていきたい」と言いながら、お笑いの仕事へのアグレッシブさがとても良い。ギャグやエピソードトークなど準備してきたもののレベルはどれも高い。作り上げれば良いものができるということは、そこにかかる時間を短くしていけば、いずれ瞬発的な返しや大喜利力もついてくるということだ。そのためにまず、ラジオやYoutube内での福田とのトークを増やしてほしい。多才なだけに、そこから生まれる才能や育つ技術があると思う。
まとめると、ぼる塾はネタを磨く時期で、3時のヒロインは個々での活躍を目指す時期にあると思う。一視聴者が偉そうに書いたけれど、やっぱりこの二組は今後もテレビで見続けたい存在だ。これからもYoutubeやテレビでの活躍を楽しみにしている。