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コロナ禍の「籠もり方」-京都府立大学の講義

昨日は大阪府立大学の講義へ。いつもお世話になっている濱崎加奈子さんの「歴史の中の病と食」の前期講義の2回分を、私が担当させていただいております。演題は「疫病退散の夏祭-御霊会(ごりょうえ)と都市祭礼の神賑(かみにぎわい)」。

いごもり

本題に入る前に、やはり何より気になるのが、学生の皆さんの気持ちの問題。新型コロナウイルスの流行拡大で大学生の皆さんのキャンパスライフも一変してしまいました。自分が学生の頃に、このような状況になっていたら100パーセント路頭に迷っていたと思います。授業は対面とオンラインの併用で、まだまだオンラインの学生さんが多い状態です。

このような状況を鑑みて、枕で「こもる」という言葉について話をしました。

皆さん、「籠(こも)る」という言葉から何を連想しますか?おそらく、真っ先に思いつくのが「引きこもる」という言葉ではないでしょうか?コロナ禍では感染を恐れて「こもる」ことが推奨されています。

今では、「籠もる」というと、マイナスのイメージが強いですが、この言葉には、プラスの意味もあり、本来は、こちらが原義だったかもしれません。

例えば「身ごもる」といった場合はそうですし、古典の字引などをめくると、開花前の蕾(つぼみ)の状態を「こもる」とも表現しています。

両者とも、来るべき「本番」に向けて必要不可欠な準備段階です。

祭においては、祭に先だって、身を清め心を静める潔斎(けっさい)の儀式で斎籠(いごもり)が求められることがあります。

コロナ禍で「籠もらざるを得ない状況」に置かれている学生さんが多いと思われますが、「受け身」ではなく、「積極的に籠もる」ことを心がけてみては、という話をさせていただきました。

いつものことですが、枕が長く、気づけば本題に入る前に40分ほど経っていました・・・・

1年半、ほとんど笛の仕事がない状態が続いていますが、今しかできないことに積極的に取り組んで参りたいと思います。

祭の基本構造については、拙著『日本の祭と神賑』(創元社)をご覧いただければ幸いです( https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=1528 )。


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