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【合格体験記】完全独学・スクールなしでチーズプロフェッショナルに合格するための勉強法

更新:2021年12月25日 2022年から非会員でも試験が受けられるようになったようです!!追記しておきました。

■1.はじめに

こんにちは!普通の公務員をやっています宮岡シノアと申します!私は、2020年にワインにハマったことをきっかけに、「チーズプロフェッショナル」というチーズの資格にも手を出し、完全独学・スクールなし一発合格をすることができました。当然、チーズや農業とは全く関係ない公務員職ですが、どうやって勉強して合格できたのか、今後この試験を勉強する人の参考になればと思い、その概要を書き残してみることにしました。

■2.試験の概要を知る

まず、どういう試験なのか、という概要を知ることが何よりも重要だと思います。特に「チーズプロフェッショナル」(面倒なので、以下「チープロ」)は、他のチーズ関係の資格の中で、ダントツに難しく、人によっては、日本ソムリエ協会のソムリエやワインエキスパートぐらい勉強したという人もいるくらいです。試験は例年年一回、7〜8月に一次試験、10月に二次試験が行われます。

NPO法人チーズプロフェッショナル協会HP資格概要ページ

・試験難易度は?

2020年度の一次試験は8/31(日)に開催され、「*受験者総数 347名、合格者 217名(合格率62.5%)」とあり、二次試験は10/5(月)に開催され、「*受験者総数 295名、合格者 122名(合格率41.4%)」と、二次試験からの参加者もいますが、単純な合格率は25.9%となかなかな難易度を誇ります。正直単純な資格試験としては、相当低い合格率です。後述しますが、ほぼ筆記と論述の試験なので、当てずっぽうが全くできない試験ですので、相当程度に本腰を入れて勉強する必要があります。

・合格すると何がもらえるの?

合格後にもらえる特典は下記のとおりです。正直、趣味で受験する人には、使い所はないですが、初対面の人や業界の人に対して、一定程度の知識があることを簡単にPRできるので、そういった面では良いのかなと思います。

1.【Cheese Professional】デュプロム(認定証とバッジ)やステッカーの発行(別途有償)
2.【Cheese Professional】認定証明書の交付
3.資格者の登録
4.当サイトへの掲載(小売店や飲食店など)
5.チーズ講師への道

・試験費用はどれくらいかかるの?

やはり資格たるもの、ここが気になるところです。チープロは受験するためには、単年度でも協会の会員である必要があります。合格までにかかる費用としては、

C.P.A.会員会費(¥15,000)+認定試験料(¥11,000)+教本費用(¥3,740)+(基本講習会を受けるなら¥19,800)+認定登録料(¥11,000)=¥60,540(基本講習会抜きなら¥40,740)

という受験料が必要になります。社会人なら一年間に分散して払うので、そこまで負担はないかと思いますが、とは言ってもなかなかな負担なので、一回で合格できるならしたいですよね。

なお、2022年度の試験から、会員:16,500円、非会員:22,000円に変更になったようです。会員以外にも門戸が開放されたのは喜ばしいことですね。

■3.1次試験対策

この試験は、「チーズの教本」からすべてが始まり、すべてが終わると言っても過言ではありません。入会と同時に会員代金で割り引いて購入できますので、速攻で購入しましょう。教本外の内容もたまに出ますが、70%以上の得点で合格できますので、教本を十分に理解していれば、十分に合格可能な試験です。

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・まずは、教本をざっと目を通す

まず、チーズ初心者であった私は、最初から全てを理解することは目標にせず、ざっと眺めて、マーカーを塗りながら、聞いたことがない単語がない状態にすることだけを目標にしました。「モルジュ」・「プロピオン」・「スティルトン」と聞いて、どれがチーズの名前か分かりますか?といったレベルです。正直理解度は10%程度で十分です。これは、後で、過去問を調べたりするために、辞書的に教本を即座に引けるように覚えておくための勉強ということを目標にしました。

・先にできる限り過去問に目を通す

よくある間違いですが、過去問を直前にやるのは愚の骨頂です。特にチープロの出題傾向(問題の出し方)は、毎年変わるので、過去問をすぐに見られるかが重要だと思います。2次試験まで含めて、協会のHPで遡れるだけ遡って、過去の出題例を勉強してください。

その際に、過去の出題実績は、教本の該当ページに印をつけておくと視覚的に判断できます。例えば、2020年の1次試験出題は、「2020-1」、2018年の二次試験出題は、「2018-2」のように書き込んでいました。そうすると毎年ほぼ必ず出る問題や、個別の出題されやすいチーズがなんとなくつかめます。

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特に「賞味期限」と「消費期限」の違い、「加工助剤」、チーズの製法などは、毎年、ほぼ確実に出ています。これを抑えるだけで点になると思ったら、最もコスパのいい勉強だと思います。

また、個別のチーズであっても、生産県などはほとんど出題されにくいな、規格は意外と出るから注意だなということが分かるようになりますので、勉強の注意点が分かるようになります。少なくともここまでやってから、暗記を開始してください。

もう一度いいますが、過去問を勉強することが合格への最大の近道です!!

・【急がば回れ】外国語の読み方を勉強する

私は、趣味で勉強していましたので、今回のチープロ以外にもワインエキスパートやSAKE Diplomaも同時受験したり、スペイン語資格試験のDELEも始めるなど、趣味に特化した勉強をしていました。なので、今回のチープロの勉強に一番役に立ったことは、やはり新しい外国語の勉強が効果が絶大だったと感じています。

特に、チープロは、「〇〇の地域のチーズを原語で書け」という問題が頻出します。「カマンベール・ド・ノルマンディ」と書いたら当然バツで、「Camembert de Normandie」と書かないと正解ではならないわけです。

そこでどうせ勉強するならと、フランス語、イタリア語、スペイン語、ドイツ語だけは、その言語の読み方を勉強することをオススメします。フランス語は最後の子音を読まないことが多い、イタリア語とスペイン語はほとんどローマ字読みで読めるなど、新しい発見もあるはずです。遠回りに見えて、最も近道な勉強だと思っています。1〜2日あれば、一つの言語の読み方ルールくらいは分かるでしょうし、それで一生その言語の看板やラベルが読める(読めるだけですが笑)というのは、最もコスパの良い勉強だと思います。

例えば、フランス語で「ai」は「e」と発音しますが、日本語でも「痛い(itai)」を即座に発音すると「痛ぇ(ite)」とつなげて発音する意味が分かったり、とても楽しいです。

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・【無邪気な何故】に答える練習をする

チープロは、特にチーズ販売店で販売員に求められる資格だと思うので、お客様からの【無邪気な何故】に答えられることが勉強で重要だと感じていますし、そういった出題傾向であることだけは、例年を比較しても言えることだと思います。「人に説明できるようになる」ということが最も定着率の良い勉強法であるので、ぜひ、家族や友人に説明するつもりで、教本を勉強してみてください。(相手が聞いていなくても説明するつもりで笑)

例えば、自分は教本を見ながら、友人に対して、下記のような設問何十問と考え、説明できるか?を常に考えて勉強していました。おそらく販売店などでは、日常的に聞かれることなんだと思います。無邪気な子どもに説明するつもりで、もしくは講師になったつもりで風呂に入りながらエア説明をしてみてもいいかもしれません。

・モッツァレッラチーズってどうやって作るの?

・なんで牛乳は白いの?それがチーズになるとなんで色がつくの?

・なぜシェーブルチーズは小さいの?

・スペインチーズの特徴は?

・青カビチーズはどうやって保存したらいいの?

あと、手間はかかりますが、教本のチーズの規格値や特徴をエクセルやnumbersで全て整理しておくと、良いかと思います。私はこれで、2次試験救われました。

・基本講習会は受けるべき?

2020年度は、新型コロナ対策で、オール動画受講(各テーマ3回まで)でした。必ずしも受けなくてもいいかもしれませんが、教本外の出題傾向も分かったりするので、もしお金も時間も余裕があれば受講して、どこを説明していたか覚えておくと合格率が高まると思います。

2020年度の場合、教本では、「特定原材料に準ずるもの」は20種類しか書いてありませんでしたが、講習会では、「アーモンド」が追加になったことを説明していました。これは、教本外ですが、ちゃんと2020年度の一次試験で出題されていたので、受講しておいてよかったと思った事例です。

■4.2次試験対策

2020年は一次試験から二次試験まで一ヶ月強でしたが、そこからテイスティングの勉強をしても、しっかり頭を使って勉強すれば十分に合格可能だと思います。やたらめったら食べ比べるのは、時間もお金ももったいないので、初めに表現を整理することが重要です。その上で、毎日ちょっとずつ食べ比べて、表現することが重要です。

・まずは過去問の表現を勉強する

チープロ二次試験では、例年テイスティング試験がありますが、テイスティング手法は、実は、教本には掲載されていません。そこで参考になるのが、過去問の表現です。(2020年から回答例がなくなってしまいましたが・・・。)

チーズを買って食べ比べる前に、過去問のテイスティング例を食感や風味等別に、全てコメント別に整理してみることをオススメします。「黄みがかったアイボリー」や「わずかな酸味」などテイスティングコメントの傾向をちゃんと抑えて、同じチーズを食べてみることを強くおすすめします。そうした上で、目的意識を持って購入してください。例えば、シェーブルと羊を比べる、チェダーとゴーダを比べる、ロングライフと通常のカマンベールを比べるなどです。

チーズは、「化学の食べ物」でもあるので、テイスティングコメントには、必ず「原因と結果」があります。シェーブルチーズは、レンネットだけでは十分に凝固しないので、補助的に酸凝固を行うので、「わずかな酸味」がコメントして表れるといった具合です。きちんと何故を突き詰めることが必要です。
ちなみに、チーズの購入は、成城石井のほか、伊勢丹や大丸といったデパートで購入しました。

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・ちゃんと1次試験の内容を忘れないようにする

私は、正直、一次試験のときには、二次試験の内容も含めて、勉強していたので、ほとんど2次試験までの一ヶ月は勉強していませんでした。

とはいえ、2次試験も基本的な事項は出てくるので、定期的におさらいをして忘れないように知識をさらっておく事が必要です。2020年には、Camembert de Normandieの規格値(重量、最低熟成期間、最低MG/ES)が出たりもしましたが、前述のまとめをしておいたおかげで、かろうじて覚えていて全問正解することができました。

■5.合格後

合格後、協会HPのマイページで、登録料を支払うとバッジと認定証を受け取ることができます。ここまで来てようやく合格の実感が得られました笑

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・翌年度も会員にならなければならないのか?

前述のとおり、チープロ試験を受験するためには、協会の会員になる必要がありますが、合格後も会員である必要があるのか疑問ですよね。これは、ちゃんと協会HPの「よくある質問」に回答があり、退会しても有効とありました。趣味で資格を持つ方は無理して会員で有り続ける必要はないと思いますが、業界の方は、継続するといろいろとメリットがありそうです。

Q:合格して資格を取ったら退会しても、その資格は有効ですか?
A:現在の制度では、一度取得した資格は退会されても有効です。但し、会員資格を継続された場合有資格者にはブラッシュアップや認定講師など、ステータスがレベルアップする制度を受けることができます。

■6.さいごに

つたない内容でしたが、チープロ合格に向けて、これまでやってきたことのエッセンスを完結にまとめて整理してみました。これで少しでもチープロに興味を持ち、受験して、資格を持って、自分や周囲の方々に素敵なチーズライフを提供できるきっかけになれば、望外の喜びです。

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