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短歌アイデア帳008「一句抜き」

 短歌のリズムをもとにして「遊ぶトレーニング法」を一つ紹介します。名付けて「一句抜き」。どういうものかというと、短歌の初句から結句までの五句のうち、一つの句の音数だけ抜いたリズムで詠むというもの。全部で以下4つのパターンがあります。

 
(い)七五七七(初句抜き=初句の「五」が抜けている) 
(ろ)五五七七(ニ句抜き=第二句の「七」が抜けている)
(は)五七七七(三句抜き=第三句の「五」が抜けている)
(に)五七五七(四句抜き=第四句の「七」が抜けている)

 
「あれ?結句を抜いたものは?」なんて思った方もいるとは思いますが、実は「五七五七」となって、なんとこれは「四句抜き」の形と同じなんですね(笑)したがって、上記(い)から(に)までの4パターンになるわけです。正に短歌をもとにして作った短詩のリズムです。短歌のリズムに慣れすぎた人は、ぜひ一度、試していただきたいアクティビティなんですが、不安な方はおやめください。調子が狂ってもとのペースに戻れなくなるようなことは多分ないとは思いますが、そうなっても、私は一切責任を負えませんので、あくまで自己責任でお願いします(笑)

 これらのトレーニングを一通り流してやってみるとわかると思いますが、普通に詠むときに比べて、自分の歌風に「ゆらぎ」が出ます。最後に欠けた部分を補って短歌に仕立てると、ちょっと違和感と言うか、「これ本当に自分の作った歌なの?」と不思議な気持ちになることがあります。
 それは、句数を減らすことによって、詩のエッセンスを焦点化した言葉や詩句が浮かび上がるためだと思います。さらに、それによって他は修飾語や修辞的な技法を加えてそれを引き立たせているものだということも実感できるということです。一度に「五七五七七」を詠み上げると焦点化が上手く出来ず、さらには、修飾語や修辞法が上手く使えなくなってしまう事態に、私は、よく陥ります。そんなとき、こんなイレギュラーなやり方で短歌を作ってみると色々な気づきを促してくれて、しかも、歌詠みの「息詰まり感」や「行き止まり感」を解消してくれることが多いです。そして、短歌へのこんなアプローチのし方もあるのではないかなという印象を強く持ちますが、あながちそれも間違いではないのかなと自分では思う今日この頃です。


※詳細は僕のamebaブログ「わかやの詩作トレーニング」の過去記事にありますので、興味のある方はそちらを参照してください。URLと記事名は以下のとおりです。リンクは貼ってありません。
 
 URL: https://ameblo.jp/shino-waka/
 「パズル的構成法」07(2021-08-25)から
 「パズル的構成法」10(2021-08-28)の4つの記事を参照。