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[2003年08月]問題が解決するまで帰ってはダメです

F社のフレームワークを開発した時のエピソード。
開発の母体は横浜または神戸で、私は福岡。
開発期間中、出張で仕様詰めを行い福岡に持ち帰って開発作業を行うといったスタイルだった。
開発期間も終了して、F社はリリースに向けて最終調整をしている段階になった。
福岡に戻っていてリリース完了の連絡を待つだけの状態だった、ある夕方に事務所の電話が鳴った。
F社の担当者からだった
F社Aさん「どうも、おたくの開発したところがメモリーリークを起こしているようなので調査してください。リリース直前なので問題が解決するまで帰ってはダメです」とのこと。
すっかりプロジェクトは、完了した気分でいたので気持ちがのらず…
とりあえず、動作環境を作って問題があるといわれた動作を実行してみた(ちなみに本番環境ではないのでWindowsXP Pro)。
動作に問題なし。
じゃあ連続して動かしてみるかぁで実行したままで放置。
安定して動いているので、そのままにしていた。

そして本日の終業時間17:45になった。

帰ってはダメなので、開発メンバーの自分ともう1名で泊まりの体制をとった。
とりえあず、晩飯だな。
コンビニで食べ物のお菓子(夜間につまむ)を買って腹ごしらえをした。

夜20時頃にF社Aさんから電話「何か分かりましたか?」
特に問題は発生していなかったので「分かりません。こちらで作った部分に問題はありません」と回答。
そのまま、夜遅くなり23時ごろ。
もう一人のメンバーと寝床を作ることを考えた。
私、事務椅子を4つ並べてその上に寝る(毛布などなし)
もう一人のメンバー、応接室のソファーで寝る(毛布などなし)

こちらの動作環境で何も問題が起こらないので時間が経過するのをただひたすらに待った。

4連椅子のベッドに寝てみようと試みたが、寝れるわけないw
ちょっと眠ったが直ぐに目が覚めてしまった。

メールを見ると何か進展があったら連絡くれみたいなメールが数件あった。
進展ないですよw 寝ていたからw

で、もう一回寝ようと試みたがダメだった。
目が冴えてしまったので、WindowsXP の パフォーマンスモニタを見続けたら眠れるかと思い、羊さん効果を期待して、ずーーーっと見ていた。
ずーーーっと見ていると何か気づくもので
自分達の作ったモジュールではないモジュール(DLL)が、少しづつメモリを消費してメモリを解放していないのに気付いた。
これ何???
で、調べたところ自分達が作ったモジュールを作るための大元のフレームワークのDLLということを夜中の2時くらいに突き止めた。
大元のフレームワークは、F社製のパッケージだ!
素直な私は、夜中の2時にメールで「御社(F社)のパッケージのDLLがメモリを消費して解放しないみたいですが、これじゃないですか?」と送ってみた。
発注元のパッケージに問題があるんじゃないの?みたいなクレームだ。
大会社のしかも既に多くの実績のあるパッケージ製品に対してのクレームだ。
(深夜じゃなかったらオブラートに包んだ言葉でメールしたと思うが深夜だったので…)
すると、すぐに「そんなわけないだろう、もうちょっと真剣に調べろよ(怒)」みたいなメールが帰ってきた。

なんか相手にされなかったみたいなので、4連椅子のベットで寝ることにした。
解決していない、翌朝の7時くらいに一旦解散となった。
とりあえず、他の社員が出社してくる9時くらいに帰宅して午後から出社するとこになった。

午後に出社すると、何だかザワついていた。
何だ何だ。

深夜に送った「御社(F社)のパッケージのDLLがメモリを消費して解放しないみたいですが、これじゃないですか?」がF社の担当部長の耳に入り…
やばいことになったのかなと思うと逆で
パッケージのDLLがメモリを解放しないバグは既知の問題で既に修正パッチがあったとのこと。
それが、今回のパッケージに適応されていなかったのが原因だったと担当部長が気づいてくれた。

自分達の作ったモジュールは問題なし、F社製のパッケージの不備を発見、問題なく動作させることができた。
この手柄は大きかったようで、後日、横浜にいる担当部長さんと会ったときに握手をもとめられました。
その後も1年間くらい担当部長さんが私のメンバーが出張して会うたびに私は来ていないのか?よろしく伝えてくれ と言われていたそうです。

良いプログラムを作ることは大切ですが、問題を解決するという仕事も良いなぁと心に残ったプロジェクトでした。




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