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#予感

幸せな日々が続いていた。

休みの日には彼が私の勉強を見てくれたり、デートみたいにファストフード店に出掛けたり、映画も観に行った。
毎日の学校とこなす家事は変わらなかったが、夢のような日々だった。

ある日、母の2番目の妹の息子である従兄が仕事の都合で2,3日だけ私たちの家から現場へ通うために泊まりに来るという話だった。

少し胸騒ぎを覚えたが、まぁ大丈夫だろうとその胸騒ぎを飲み込んだ。
何故なら、従兄の妻である彼女が本当に良い人で常識のある人だったというのと本当に夫婦仲が良く長年無害に感じていたからだ。

当日がやってきた。私は早々に自室へ行き眠りにつこうとした。きっと会いたくなかったんだろう。遅くに到着した従兄は母のもてなしをうけ久々の再会で酒も進み会話に花を咲かせていた。

漏れ聞こえる会話に少し嫌な予感がした。従兄夫婦はすでに一子を設けているが彼は二人目が欲しいと思い少し強引に事を終えたそう。その時に”二人目はまだいらない”と拒絶されたと語っていた。
たったそれだけの会話だったが何故かわからないが、あの感覚が襲ってきた。ヤスリで心の内側をなめしたようなあの嫌な感覚。

しばらくして私は眠りに落ちた。

ドアが開く気配がした。酒の匂い。間違いない。

あいつがきた。

母は、、、寝たのか?いや、起きてたとしても助けになど来ないだろう。
足音を立てずにゆっくりと私の布団へ滑り込み、ピタリと体を寄せた。
以前も同じような状況に出くわした気がするが今回は、今回だけは防げないかもしれないと察知した。
何故そう思ったのか、恋愛を知り未熟ながらも日々成熟していく自分の身体を見ていれば男を受け入れられる身体になっているはずだと本能的に感じたからだ。

すぐに目を覚まし、下腹部に伸びた男の手をつかみ「なにしてるの。やめて」と発した。その手は次第に上に移動し私の胸をまさぐりながら耳元で酒臭い息とともに語り掛けてきた。
「彼氏できたんやってな、、、もう彼氏とは?まだなんか?初めてやと痛いからお兄ちゃんが先に気持ちええこと教えたるわ」とラグビーで鍛えた巨体で覆いかぶさった。
片手で私の口を塞ぎ、もう片方の手で私の下半身を一糸まとわぬ状態にした。しかし酒が回りすぎていたのか自分の下着を下すのにも手間取り、そして肝心なモノが役に立たない状態のままだった。次第に男は焦りだしより一層手間取っていた。
男の顎から滴る汗が私の額を伝う。
下では必死に私の恥部にモノを擦り付け必死に勃起させようと試みていた。巨体の重みに耐えかね私の肋骨が軋む、男は諦めたように踵を返し自分のモノが役に立たないのを棚に上げ私の体が女になり切れていないと説教を始めた。男に抱きたいと思われることは喜ぶべきことなんだと。酒の匂いが立ち込める中、シャツで汗だくの体を拭い「また今度ゆっくり教えたるわな」と。ブラジャーのホックだけが肌に食い込み、力一杯押さえつけられた唇は腫れあがり、もがいたせいで髪は絡まり、隣で寝ている母に助けを乞うことすらできない私にこの男はそうほざいたのだ。

舌でも噛んで死んでくれと心底思った。

次の日、当然バツが悪かったのだろう2,3日かかると言っていた仕事が1日で終わり叔父は帰路に着いた。

幼いころ大人がよく言っていた”誰にも言ってはいけない”と
だから誰にも言わなかった。
そしてある時、言っても意味を為さないことも知った。
だから悟ったのだ、いずれその時がくる、と。

近しい身内だ。いずれ会うことになる。
そしてすべてを明るみにしてやる。
あいつはどんな顔をするだろうか。

その時が楽しみだ。



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