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#行動そして序章

何度か、彼の暴力に関しては警察を訪れたこともあった。
大体の返答は”民事不介入”によって、だったが驚いたのは
警察官が「奥さん若いと旦那さんヤキモチ妬いちゃうんじゃないの?」
つまり婚姻生活で夫が妻に嫉妬した場合、暴力は致し方なしとなることに
驚きを覚えた。そして様々なニュースで取り上げられてきた”何か起きてからでなければ動けない”だった。

そして決行を決めた前夜、確認のために外のプランターを覗きに行った。
すると、貯めていたお金も、袋に包んであった衣類もすべてなくなっていた。

もう辛いとか、諦めではなく、怒りだった。
正直、ここから解放されるなら刺し違えても構わないとさえ思った。

彼が帰宅して一息つくのを待ち、尋ねた

「私の荷物どこにやったの。出ていくんだから返して」

静かに低く冷静に。

「お前は俺がいなきゃ生きていけないんだよ。なんでわからない
何かできると思ってるのか?今までずっと養われてきたのに」

そして初めて口にした。

「離婚したい」

すぐさま飲んでいたビール缶が飛んできた。
まだ中身が入っていたせいか額が切れた。

もうそこからはB級サスペンス映画のようだった。
包丁を持ち出した彼が本気で言っているのかと
声を荒げ脅し、最終的に力負けする。

新聞広告の裏に離婚条件にまつわる念書を書かされる。
髪を鷲掴みにし、馬鹿げた念書に血判を押させた。

次の日から、その念書を実行すべく様々なところへ
連れていかれた。
彼名義だった住宅ローンや負債のすべてを私名義で借り替えし
1000万円近い借金があっという間にできた。
離婚には応じるが今まで私を養ってきた分を
返済しろという文言もあったため、家を処分し私の故郷へ戻り
借家と居酒屋の店舗を契約。
その居酒屋を私に経営させ売り上げから返済する。というもので
もうやっていることは、みかじめ料と同等だった。

結局、離婚届は提出したものの同じ家に住み
今までと何も変わらない生活だった。

彼も学習している、必ず子供一人と行動を共にする。
全員が揃い、私の手元に居ることは決してなかった。

意味の分からない返済に追われ
とうとう行き詰まり、役所などで開かれている
弁護士無料相談へと出向いた。

一通り説明を終えると弁護士が続けた
「自己破産申請しましょう。その理由で結審が下りないことはないから
それから、離婚に関しても少し手を加える必要があります。あなたはまだ22,3歳。こんな負債抱えるより破産して楽になって。7年もすれば普通の生活できますから」
淡々と告げ、メモ用紙にある法律事務所の名前と住所を渡された。
「ここへ行ってください。この足ですぐ。」

役所を後にし、書かれた場所を目指す。
この時の私は1分先さえわからなかった。
これからどうなるのか、どうするべきなのか。
そう考えてみると彼の言ったように、私に何ができる。
養われ、飼われてきただけのわたしに。
そして、その法律事務所のドアを開いた。

ここから
またすべてが変わる。

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