物語「星のシナリオ」プロローグ
夜中に目が覚めてふと外を見たんだ。そうしたら、そこに一匹の猫がいてさ。ボクに話しかけてきた。
「いつまで寝てるんだよ。そろそろ行こうよ」
どこへ…?
「ほら今日もきれいな虹がかかってる」
「夜に…虹…?暗くてよくわかんないよ」
「だから言ったんだ、寝すぎちゃだめだって。寝ぼけて虹がかすんじゃうんだ」
猫はちょっと不機嫌そうにボクをにらんだ。
「まあいいよ。こんなにきれいに虹がかかっているんだ。さあ行こう」
猫がぴょんと空へ跳ぶと、そこに本当に虹が見えたんだ。
「あ、虹!」
猫は、ほら、って顔をして。それから…それから虹の上を歩き始めた。
「ほら、早く一緒に行こうよ」
「ど、どうやって?虹の上を歩くなんて、できっこないよ」
そう言うボクを猫はまた不機嫌そうに見つめて言った。
「そのうち取り戻すよ、感覚をね。だからさ、その『できっこない』って想いは、そこにおいていって。いつも歩くのと同じさ」
「虹はどこへ繋がってるの?」
「きみが行きたいところだよ」
ボクが行きたいところ…。
「きみはもうわかってるはずさ。だって、きみの想いがボクを呼んだんだから」
まだよくわからなかった。でも、この猫について虹の向こう側が見てみたくなったんだ。何となく虹の上も歩ける気がしてきたし。
「あーあー、だめだって。きみが怖がると、ほら」
「え?」
「きみが怖いと思うと虹が細くなる。この旅でいちばんの大敵は恐怖心。ほら、こうやって楽しくステップを踏むだけさ」
そしてボクの、星のシナリオを思い出す旅が始まった。
つづく
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