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呼吸アプローチの基礎


ここ最近ようやく「呼吸」について関心が高まっているように思えます。

呼吸が人体の重要な機能であることは疑いの余地がありません。

代謝に必要な酸素を供給し、これらの反応の副産物である二酸化炭素を除去することで生命を維持します。


しかし、呼吸には、空気の換気や酸素二酸化炭素の維持以外にも機能があります。

呼吸は運動制御と姿勢の安定性に影響を与え、生理学的および心理的調節においても役割を果たし、はたまた呼吸は、自律神経系、循環系、化学的調節、代謝などの他のシステムの恒常性維持機能に影響を与えます。

つまり姿勢、動作、運動パフォーマンス(実行機能〜重心移動)などの身体的側面はもちろん、肩こり、腰痛といった慢性疼痛から睡眠や精神衛生面上の問題の改善及び良好な状態を保つためにも欠かせないのが「呼吸」です。

しかし「呼吸」は曲解されて浸透している印象を私は持ちます。

例えばいまだにピラティスは胸式呼吸、ヨガは腹式呼吸を意識するとメソッドでは唱えらております。

なぜ本来無意識に行われる呼吸を意図的に意識し、尚且つ、胸式、腹式に分けることをしようとしてしまうのかが私には論理的に分かりかねます。

肋骨が開いている方では腹式呼吸をしようにもできませんし、では腹式呼吸しかできないことが体にとって良いというわけでもございません。


ここは呼吸のレッスンを行う以前の問題で確実に処理し、ご自身で納得していただく必要があるため、少しだけ深掘りします。

胸式呼吸と腹式呼吸はどっちが正しいのか

呼吸とは体外から主に酸素を取り込み、体内の二酸化炭素を排出する事です。

吸い込んだ空気を肺に溜め込む際、肺を広げる方法は大きく分けて2つあります。

胸式
肺を覆う肋骨を広げたり、肋骨を引き上げることで、肺を広げる呼吸

腹式
肺の下にある横隔膜を下げることで、肺を広げる呼吸

一般的には正しい呼吸法というと、腹式呼吸が善で胸式呼吸が悪とされがちですが、

たしかに安静時呼吸では横隔膜の上下動が伴った腹式呼吸が望ましいものですが、常に腹式呼吸だけが「正しいわけではございません

例えが胸郭が伸展した状態というのは強制的に胸式呼吸が誘発されています、この状態で腹式呼吸をしようにも物理的に非効率なのは惹起できますでしょうか?

例えば安静時なのに胸郭が伸展スタックし、胸式呼吸を続けていようものなら、当然ながら努力的な呼吸を強いられ、体は常に緊張状態となり、心身に背面の筋群の緊張してしまうことに繋がります。

反り腰は常にこの状態です。

呼吸の多様性

呼吸とは脳によって無意識に制御されているものでありその時々の状況、環境、必要性に合わせて変化します。

絶対的に正しい呼吸が存在するという事ではなく、着目すべきはリラックスするべき場面で荒い呼吸(努力時呼吸)しかできない状態から抜け出せないことです。


それは当然日常生活であれば慢性的な疲労、疼痛、姿勢で言えば反り腰の常態化が生じてしまいます。


胸式・腹式呼吸がどっちが良いのか論争に終止符を打ちたく、私はあえて言い切りますが、その時々に最適となる呼吸法を無意識に選択できるための”能力”いわば”多様性”こそが最も必要とされる「正しい呼吸」と言えます。


胸式・腹式あえて分ける必要性はまるでなく、どっちもできた方が良いに決まっており、それは意図的に行うものでもなく、環境に脳が適応した結果として誘発されるべきものであるということは十分にご理解いただけたのではないでしょうか?

もう一度言います、大切なのは多様性です。

その時々の環境に依存するものです。

ここは非常に大切な呼吸の概念となりますので丸暗記する勢いで擦り倒しておいてください。

息の吸いすぎ

と話が脱線してしまいましたが、再び戻すとして、ここで正しい呼吸に絶対はないと述べましたが、安静時に限っては存在します。

それは「呼吸の量」と「呼吸パターン」です。

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