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新規事業の人事評価やフレームワークを考えてみた


シンチャオ!

成功しても失敗しても適切であろう評価を下すのが難しいのが新規事業であり、事業の評価と従業員の評価を結びつける事が難しい。

これらのような問題が各社で生じているのではないでしょうか。とは言っても全社的に誰もが納得できる評価制度の設計自体が難しいので、核となる考え方が重要になります。

新規事業の評価も、評価の核となる事業立ち上げに関する理解と考え方をベースとした、評価制度の設計が必要になります。しかし、新規事業に精通し、新規事業の評価制度に精通している人は、少ないはずです。

本記事では、実際に使えそうな新規事業に相応しい評価制度を素案で作成して見ました。

既存事業における評価制度の特性

現代で運用されている一般的な評価制度は他社のメディアやネットに落ちていると思うので割愛いたします。まずはじめに、既存事業における評価制度の特性を記載していきます。

評価制度の基本的な内容の理解は下記↓1冊で充分でした。

既存事業のビジネスモデルとの連動

評価制度の基本的な考え方

既存のビジネスモデルの構造上、追うべき事業指標と評価制度が紐づいているケースが多いのではないでしょうか。上記画像の様に、評価制度含め人事制度は事業内容が安定した段階で適切な人事制度を構築することが可能です。

例えば、売上/利益といった営業活動の指標を細分化し、数値的なインパクトをどれだけ残しているのかといった定量的な内容になります。

売上/利益を追求するのは極めて自然ですが、売上/利益のロジック,難易度などの事業の性質は異なりますし、事業の仕組みが定まり新規事業が事業として成立した際に通用する基準と考えます。

異質な前提条件の元成立している制度を新規事業に適用している、或いは基準を設計しているケースは多いですが、これでは機能するはずがありません。

新規事業なのに、既存事業のやり方や制度を活用するというのが、そもそも過ちだと考えます。

当然、組織として目指すべき事業規模や追うべき指標水準等の目指すべき状態像はあって然るべきですが、それに併せて新たな取り組みに対する評価方法にも、もっと向き合うべきです。

事業が複数ある場合は汎用的な枠組みで事業部によって設計概念が変わる

特定の事業ではなく、複数の事業運営を行いつつも、汎用的な目標設計・評価制度を運用しているケースもあるでしょう。

このケースの場合、目標制度や評価制度は各事業の方針や事業モデルの紐づいていて、汎用的な制度設計とは言えないでしょう。よって組織によっても事業によってもバラつきがあり、非常に属人的な目標・評価制度設計になっている可能性が高いです。

いずれのケースにせよ事業内容次第で、評価軸と査定結果が180度変わるので、既存の事業や組織で運用している評価制度と新規事業とはマッチしません。

新規事業における評価制度の理想のあり方

1.新規事業立ち上げの専門会社を設立する

・新規事業を立ち上げること自体に価値がある前提で、新規事業の立ち上げ専門の子会社を作り、意思決定機能を親会社と完全に分断させる。

代表を外部から招聘し、資本リソースだけ親会社から一定の金額の投資を可能とし、自社立ち上げ型の社内CVF(コーポレートベンチャーファクトリー/メーカー/ファブレサーなど)を設立する。

2.新規事業専任の部署を設立し、部門内で目標設計と評価基準を運用する

新規事業で失敗する理由の一つに、既存事業のやり方を踏襲する事があると考えます。既存事業のアセットを活用した新規事業は理解できますが、既存事業のやり方を踏襲したところで、何も生まれません。

これは、評価制度でも同じで、既存の事業にハマってる制度を活用してたところで、異質過ぎてハマりません。

新規事業を既存事業とは違う組織であり生き物としての取り扱いが必要と考え、新規事業部専用の制度が必要になると考えます。

要は、性質が違うモノに対して同じアプローチを行うのはもういい加減辞めませんか?という話です。

新規事業立ち上げの評価制度の現状

既存事業の評価制度と同じ内容で運用する他はあまり見たことはなく、新規事業に特化した評価制度のサンプルとなるようなケースもあまり聞いたことがありません。

多くの組織では既に運用している評価制度を活用して、新規事業の特性を考慮してカスタマイズされて運用されるケースが多いと思います。

既にある制度内容以外の導入・検討に工数が生じるのは確かですが、その工数が過分に生じてしまう理由は下記の内容が考えられます。

これらの障壁もクリアしつつ、設計を上手にされてそうな会社が1社だけあります。

デジタルホールディングスの子会社であり、新規事業立ち上げの専任会社である株式会社リテイギです。

詳細は掴めませんがファイナンス理論と評価制度をミックスして運用している印象です。

新規事業の評価基準の素案を考えてみた

前提となる考え方

新規事業評価の前提として、「事業フェーズをどれだけ前進させ、売上/利益転換できるか」が重要ですが、事業だけ評価をすると、事業が検討外や撤退になった際に事業担当者が離脱をし、連続的に事業が立ち上がる可能性が低くなります。

上記のような理由で離脱する可能性が高く、連続的に新規事業を立ち上げられる環境が必要です。

その一つの手段が評価制度の構築です。

"新規事業立ち上げ"を職種化し、職種スキルを向上できる"職能評価"と事業成功の確度を向上できる"事業評価"をミックスした制度設計が可能かを考えてみました。

事業評価①フェーズ評価_定性評価

事業評価は"定性"と"定量"の視点で考えます。

定性においては、各事業フェーズにおいて、やるべきこと(タスク)を実施していて、プロジェクトとして前進できているかをチェックする必要があります。

事業フェーズが進行するにつれて、ぶち当たる問題や実行難易度が高いタスクが舞い降りてくるので、事業フェーズが進行する=職能(スキル)も向上していると考えます。

新規事業の事業進捗別での評価項目例

しかし、定性評価そのままでは主観評価になってしまうので、客観的に評価できるように、事業の進捗を区切り、上記画像の様な定量的な目標内容に設定します。

また、事業フェーズ別で生じるタスクや事業フェーズ別で必要な職能レベルの可視化を行い続けると、確からしい定性評価が可能になると考えます。

新規事業フェーズ別で必ず生じるタスク一覧

事業評価②事業(アイデア)の評価_定量

定量においては、事業そのものに対して評価になります。

事業に対する評価は、事業検証を通じて得られた、事業上最も重要な変数(=KPI)をベースとして、売上、利益率、LTV、LTV/CACなどの様な指標で評価を下すのが良いと考えます。

新規事業と事業価値の構造を整理した図

しかし、事業検証における数値ではなあるので、ファイナンス理論である類似企業比較方法(マルチプル倍率)などの考えも用いながら評価を下すのが適切ではないでしょうか。

職能(スキル)評価

ここで突然ですが、「"コンサルティング"という言葉を和訳してください」と問われた際に、正式に回答できますでしょうか。

実は、正確に定義をされている和訳はなく、Consultingという英語は日本語訳できないほど、曖昧な言葉です。

しかしながら、業界,規模,難易度,役割などがプロジェクト単位で変わるコンサルティング会社には、明確な評価制度が存在します。

役割や責任所在/範囲の有無や差異はありますが、コンサルティング会社で働く方々は、プロジェクトによっては新規事業立ち上げに参加したり、そもそもプロジェクトが変わる事が多いので、新規事業に関与しているに近いとも捉えることができます。

そう考えると、新規事業立ち上げ担当者に特化した職能評価は不可能ではなく、落とし所があると考え、新規事業立ち上げ担当者が必要な職能(スキル)種類,レベル,時間軸,状態などを、勝手に定義してみました。

・新規事業担当者に必要なスキルマップ(未だ整理中)

・新規事業担当者の等級

新規事業担当者のキャリアパス

・新規事業担当者の経験を可視化する使用ツール一覧のFMT

・新規事業担当者の経験を可視化する成果物一覧シートのFMT

さいごに

新規事業で大切なのは、逃げ道を作らないようにする事です。新規事業で最も大切なのは意思であり、意思から生まれる情熱です。

そして、その意思が消えない仕組みを構築する事が、組織内で新規事業を連続的に生み出せる秘訣と考えています。

その仕組みこそが等級/評価制度であり、新規事業そのものも新規事業を実行した人も適切に評価できる内容が必要と考えています。

人事制度設計の参考にした書籍


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