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Cryptoナラティブはインフラからアプリレイヤーへ:開発者への継続エアドロWaveHackが創るアプリのカンブリア爆発

いつも思考のアウトプットはPodcastを通して行っていますが、改めて言語化しておきたいのとWaveHack Programのご紹介も兼ねて久しぶりに筆をとりました。

2020年ごろからのイーサリアムキラーを標榜したL1チェーンの乱立、その後のL2モメンタムからのビジネスモデル的なピボットを背景としたチェーンStack/アプリ特化チェーン戦国時代、そしてモジュラーブロックチェーンナラティブ、と思いきやSolanaの復活?、などと瞬く間にトレンドが移り変わるCrypto業界、ついていくのがやっとという方も多いのではないでしょうか。

その他周辺領域においてもインテント、リステーキング、MPC、Bitcoin L2など次のメインストリームとなりえる技術トピックが有象無象にあり、本当に毎日エキサイティングな業界だなとつくづく思います。

一方で共通しているのが業界のメインストリームとなっているのはいずれもインフラ(Protocol)レイヤーのトレンドだということ。この業界においてはFatProtocolがテーゼとなっているという背景もあるかと思いますが、エンドユーザーとは距離のあるインフラ領域のプレイヤーばかりが増えている印象があります。直近のEigenLayerの$100M調達(a16z一社から!w)に代表されるように巨額の資金もインフラレイヤー中心に集まっていますよね。

やはりインフラレイヤーのポジションだとトークン発行が前提になるのもあり(もちろんアップサイドがアプリに比べて大きくなる可能性も高いので)、エアドロ狙いのユーザーを集めやすく業界においてのモメンタムを作りやすのでしょう。

そのにぎわい、モメンタムは開発者コミュニティを惹きつけるための重要な要因ともなりますので、アプリエコシステム拡大のための最適解だと思いますし、エアドロ期待値の煽りの最大化は魑魅魍魎としたこの何でもありな業界でプレゼンスを出すためのベストプラクティスだと思います。まさにそれを直近でわかりやすく体現したプロジェクトがBlastですよね。

VCの反対を押し切りマーケティングだけで$2B(!!!)集め、そのモメンタムのままローンチ前にハッカソンを開催して3000チームもの開発者を惹きつけることができているムーブはまじで強すぎるなという感じです… Blur,Blendを成功させてきたPacmanチームは最強のハック集団ですねw

話がずれましたが言いたいことは、インフラレイヤーとなるプロジェクトには遅かれ早かれその上にプロダクトを構築してくれるデベロッパーコミュニティが必要であるということ。

当たり前ですがインフラ(土地)があるだけではビジネスは成り立たず、その上には人を連れて来てくれるアプリ(お店)が必要であり、そのアプリ開発者(お店のオーナー)をどう自分たちのエコシステムにコミットしてもらうかがどのインフラプロジェクトにとっても至上命題といえます。

そのローンチ時は有名なアプリ(人気店)にお金を払ってでも出店を促すでしょうが、継続的な賑わいを作っていくには質の高い開発者コミュニティとの長期的なエンゲージメント構築が不可欠です。

あくまでもエアドロ目的のユーザーはアプリ開発者たちに自分らのエコシステムを魅力的に魅せるためのプレイヤーであり、誤解を恐れずに言えばインフラレイヤーにとっての真の顧客はアプリ開発者だとも言えます。

アプリ開発者によるプロダクトが実際のユーザーを連れてきてくれることで、その土地に人々が集り他のオーナーにとってもお店を開くのに魅力的な土地となる。まさにEthereumが体現しているその好循環を理想イメージとしながら、多くのインフラレイヤープロジェクトはコミュニティ形成を目的としたモメンタム作りに勤しんでいるのではないでしょうか。

火星という惑星で自分たちの土地を持ちその上で街を築く上げていくためにマーチャントを誘致していく、casino on the marsのアナロジーがぴったりです。詳細はこちら

つまり僕がいいたいのは主要なインフラレイヤーが出揃いトークン発行も終えつつある今、これからはものすごい量の予算がアプリレイヤーとなる開発者に流れてくるだろうということです。

もちろんこれまでもハッカソンや助成金プログラムを通して開発者の巻き込みを各インフラレイヤーは行っていましたが、2024年以降はその比じゃない熱量で開発者の囲い込みが始まると考えています。

Backed VCの権威性、技術的な優位性、コンセプトの差別化、コミュニティなどはあくまでも優秀な開発者を集めるための手段でしかなく、これから本気のアプリ獲得競争が各インフラレイヤーで始まるでしょう。

ブルマーケットが来る今、予算とモメンタムが潤沢にあるインフラプロジェクトは次のUniswap、Axie、Stepn、OpenSea、FriendTechを血眼になって探すでしょう(別チェーンの有名アプリの獲得も重要ですが、自チェーンネイティブなアプリにより価値があるでしょうから、その起ち上げ支援に一層本腰を入れてくるはずです)。BaseとFriendTechの例をみても分かる通り、キラーアプリそそれ単体だけでエコシステムの価値を何倍にも引き上げることができます。

Crypto(トークン)それ自体がキラーアプリという捉え方もできますが、より多くのオーディエンスを自身のエコシステムに引き入れるためには、やはりマス受けするアプリが必要だと感じます。

その文脈でゲーム、ソーシャルなどが期待されている所以であり、それでいうとFarcasterが今のところ最もマスアダプションに近いアプリレイヤーという共通認識を僕含めDegen🎩な方々は持っているのではないでしょうか。

一方でアプリレイヤーは、インフラレイヤーほどの技術的な投資は必要なく、その勝率やアップサイドも高いとは言えないためインフラレイヤー規模のVC投資を受けることは少ないかもしれませんが(アプリ単体ではナラティブやHypeを作りづらい)、その代わりインフラレイヤーから直接投資も含め多くの予算を受け取っていくだろうと考えています。

現状その主な手段は助成金プログラムとハッカソンであり、Bitcoin以前からあるレガシーな方法によってインフラレイヤーはアプリ開発者へ"お金配り"をしています。この領域に関して僕はインフラからアプリへのトレンドのトランジションにおいて絶対必要、かつ伸びていくマーケットだと考えてフォーカスをしており、そのファーストステップとしてAKINDOとして多くのハッカソンを開催、支援してきました。

新しい技術の学び、制約から生まれる革新、キャリアにおける実績証明、審査員からのフィードバック、仲間との出会いなど素晴らしい機会となるハッカソンですが、そこで開発したプロダクトは継続開発していくインセンティブが弱く、どうしても一過性のイベント、”開発者にとっての週末の思い出作り”として終わってしまう課題がそこにはあります。

インフラレイヤーにとってハッカソンの開催はその賞金提供以上にオペレーションも含め大きくリソースを割かなければいけませんし、サステナブルな取り組みとは言えません。ハッカソンで開発されたプロダクトが本番リリースまでされることも現状だと稀なものとなっています。

また、助成金プログラムはもっとひどいと感じています(なんども申請して落とされてきたバイアスもあるかもですがw)。その申請をはじめ面談も含んだ煩雑で非効率な審査プロセスはまだいいとして、もっとも問題なのはアプリ開発者へ助成金を渡したのにその後のアウトプットに繋がらない問題です。

助成金プログラムではハッカソンと違ってプロアクティブとなる将来の提案に対してインフラから助成金をもらうのが一般的かと思いますが、助成金をもらってラグプル、のようなチームも一部あるようでこれはインフラプロジェクトに限らずそのコミュニティにとっても損失以外なにものでもありません。

何が言いたいかというと、これからアプリレイヤーにめちゃくちゃ予算が流れていくのは確実にも関わらずそのチャネルが全く整っていないということです。何度もハッカソンをオーガナイズしてきた経験からもインフラレイヤーにとってそれは最適解とは言い難いと感じています。

今後もしかしたら開発者を惹きつけるためになりふり構わずお金配りをするところももしかしたらあるかもしれませんが(Blastに期待w)、本質的ではないですしアプリ開発者にっとての長期的なインセンティブもそこではないと感じます。

僕はインフラレイヤーがアプリレイヤーを効率的に支援していくためのインフラが欠けていると考えており、そのピースを埋めるためAKINDOではWaveHackという新しいGrantプラットフォームを提供しています。

🌊🛠WaveHackについて

WaveHackは予算を拠出するインフラレイヤーにとってはこれまでのハッカソン、助成金プログラムよりもより強く早くアプリエコシステムを拡大することができ、DevRelのリソースの効率化が可能なツールです。

開発者によるプロダクトの開発進捗は決まった期間ごとにインフラレイヤーのコアチーム/コミュニティによって評価投票され、投票期間が終わればその投票率に応じて即座にオンチェーンで助成金を受け取ることができます。そのバッチをWaveと言いGrantPoolがゼロになるまで継続的に繰り返されます。

つまり開発者にとってはWaveHackを通したプロダクトのアップデートを行うことは金銭的報酬はもちろん、コアチームからの直接のフィードバック、そしてインフラレイヤーのコミュニティを通して多くのオーディエンスへのリーチが可能になります。

リリース前からユーザーとエンゲージできるものとなり、プロダクトへ直接フィードバックを得られるそれは金銭と同等かそれ以上に開発者にとって強いモチベーションになると考えています。

また、WaveHackはハッカソンのようにゼロイチでプロダクトを開発するものではなく、あくまでも既存プロダクトのアップデートの進捗差分によるインパクトを評価するものとなっており、もちろんそれは本番リリース後も対象となります。

Optimismによるプロダクトの価値を事後(遡及)的に評価しGrantを配布していくRetroPGFに近いものとなっています。

いわば開発者にとってのベーシックインカムのような仕組みで(開発者のための継続的なエアドロ)、マネタイズなどは後回しでプロダクト開発に専念できる仕組みなのですがどうでしょうか..、開発者のみなさんからのフィードバックがもっと欲しいですので、何か仕様のご希望などあればDMください笑

また少しご報告というか宣伝なのですが、このWaveHackを最初に採用してくれるパートナーとしてAptosを迎えることができました。これから14日ごとに総額$35,000、日本円で520万円以上の助成金をAptosエコシステムに貢献したビルダーへ継続分配していくことが決まりました(つまり提出物が評価されたチームは14日ごとに最大で$3500を受け取る事ができます)。

Aptos Foundation

Apos WaveHack Program、Aptosとしても初となる継続的なGrantプログラムとなり、そのローンチイベントを3/6(水)に渋谷CryptoBaseで開催します。

AptosコアチームからAPAC Ecosystem LeadのJeromeがこのイベントのために現地参加します。また、国内からのゲストとして日本で最もMove言語の開発経験があるUmi Protocolチームからふゆたろうさんといまたかさんにご参加頂きMove言語の可能性についてお話しを頂きます。

また、今回はAptosを活用したプロダクト開発だけではなく、Aptosブロックチェーン上動くスマートコントラクト言語Moveの日本語へのドキュメント翻訳も募集テーマとしてセットされています。

AptosMoveドキュメントの日本語への翻訳で助成金を得ることができる、エンジニア以外の方も気軽に参加できるプログラムなので、Aptosエコシステムに興味のある方はぜひご参加頂けると嬉しいです。

説明会を兼ねたローンチイベントはオフラインで開催しますが、もちろんこのAptos WaveHack Programはすべてリモートで完結するプログラムです。その詳細な評価項目などは上記イベントページへエントリーした方に優先的にご案内しますので、リアル参加が難しい方でもぜひご登録だけでも頂けると嬉しいです。

Aptosチームは10月から頻繁に日本に来ており、多くのリレーションを開発者や国内エンタープライズ企業と築いています。彼らは日本市場に本気ですので、今回のプログラムはAptosエコシステムからのバックアップを受けるいい機会になると確信しています。

🔃インフラレイヤーとアプリレイヤーのフリップ

各ブロックチェーン上で稼働し、大規模なユーザーオーディエンスを獲得ししていくアプリケーションの主なゴールはやはり分散化となるでしょう。つまりトークン発行であり、エンゲージメントしているユーザーコミュニティと共に今度はそのアプリがインフラレイヤーとして振る舞い、周辺にアプリのアプリエコシステムを築いていくわけです。

その成功はUniswapが証明しているとおりで、Uniswap Protocolをインテグレートしたアプリは数多くあります。チェーン開発キットやインターオペラビリティも整ってきたもう少し先においては、アプリは独自チェーン提供に伴いより下位レイヤーとして機能し、自社トークンとかけ合わせながらより大きなエコシステムとなりその土地となるインフラレイヤーに対して存在感を増していく未来がイメージできます。

Apple対Facebook/Fortniteのようなイメージでしょうか、この例においては、Appleも大きなユーザー接点やブランドがありますが、web3においてはインフラレイヤーはほぼユーザー接点を持たないと考えられるので、アプリレイヤーによる支配力が一層増すと考えれます。

UniswapのようなDeFi領域では一定数事例もできていますが、Farcasterのようなより広いマーケットに向けたゲーム/ソーシャルアプリの台頭と独自チェーンをどう展開していくのかを個人的にはとても楽しみにしています。

💥Cryptoアプリのカンブリア爆発に向けて

世の中にブロックチェーンのテクノロジーが浸透し、個人自身が生み出すデータの価値をその人自身が100%享受できる未来を実現するにはマーケットの拡大を引率するアプリレイヤーの台頭が必要不可欠です。

インフラレイヤーが整ってきた今、その土台の上で多くの開発者が検証を繰り返していくことでキラーアプリが生まれていくのは歴史を見ても明らかですが、その未来を引き寄せ速度はインフラレイヤーのアプリ開発者との関わり方によってくるでしょう。

※そのあたりの話をこのEpisodeでしています。インフラがあるからこそその上のレイヤーの検証スピードが上がりイノベーションのスピードも上がるよね、という話です

大手の(ゲームなどの)アプリ開発会社と連携してビッグタイトルにフォーカスしていくのか、開発者コミュニティフォーカスで群として攻めるのか。質より量の話ですが、勝ちにいくためにはその両方が必要なのは間違いないでしょう。

質を狙う前者はBizDevの戦い方になると思いますが、後者においてはWaveHackは一定の価値を出せると考えていますし、そうしていかなければいけない使命感をもって日々動いているつもりです。

開発者のための継続エアドロとなるWaveHackを、ブルマーケットである今年中にこれまでのハッカソン/Grantプログラムに代わるデファクトスタンダードとしていくために、3月からグローバル市場を対象とした大規模なGrantプログラムWaveHack GlobalをAKINDOとして開催予定です。

多くのL1/L2チェーンと共に盛り上げていきますのでお楽しみにください。 ハッカソンをリプレイスしていくWaveHackを盛り上げていくための仲間も全方位で募集しています。開発者とプロジェクトのハブとなるポジションとして、多くのTopTierプロジェクトと日々コミュニケーションをしていますので参画に興味がある方はXTelegramにてぜひご連絡を頂けると嬉しく思います。

またはAptos WaveHack Programローンチイベントでお会いしましょう!


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