畑友洋─神戸新生バプテスト教会 鉄の教会/自然体感展望台 六甲枝垂れ/若人の広場
畑友洋|畑友洋建築設計事務所(兵庫県)
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神戸新生バプテスト教会 鉄の教会
とても小さな教会のプロジェクト。鉄板による構造は、自然換気や工法にまで踏み込んだ機能性を秘めた、知的で力強い存在である。ガラスブロックによる開口は通りの桜の彩を取り込みながらも心地よく外部と祈りの空間を隔てる光をこしとる官能的な存在である。この二つの存在だけがそのまま立ち上がったようなすがすがしく美しい建築の姿を見ることができる。
自然体感展望台 六甲枝垂れ
六甲山の自然現象そのものが顕在化することによって体験される建築。冬は六甲山頂付近の木々に現れる樹氷そのものをまとった、小さな氷の粒によるドーム空間が現れ、夏には冬場に凍った水盤の氷を蓄えた氷室を山の風が吹き抜けていくことによって涼やかに呼吸する空間が生まれる。季節によって異なる特徴的な環境そのものを味わうことができる。
若人の広場
兵庫県南部に位置する淡路島にある建築。丹下健三による設計で一度は閉鎖された建築であったが、改修され再生された。山頂の地形を生かした石積みの基壇にRCの特徴的なボールトが架かる。自然地形から空に向かって少しづつ建築化していくプロセスそのものが、静止し定着したかのような印象を与える。実際にこの場所を訪れると、こんなにも特殊な空間であるにも関わらず、不思議と周囲の環境と呼応して感じられるのは、自然から人為的な建築への連続的な展開そのものが設計されているからではないだろうか。
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