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Bali2008 prologue


私は日頃から眠りが浅い。
バリ旅行を2日後に控えたあの夜もそうだった。
まず暗闇では眠れない。
この日も小さなライトだけ点灯してなんとか眠りを誘発するため、日頃から読めずに溜め込んでいた文庫本に手を伸ばしダラダラと文脈を辿る。


そうしてるうちに何とか睡魔らしきものがやってきたので軽く目蓋を閉じると、いつの間にか眠りに入っているようないないような状態になる…。ここからがまことしやかな話なのだが、私達一家は夢見一族で、何かしらの暗示が時々夢に出る。
そして私の場合はそれが夢枕に立つのだ。


そしてこの夜も何かが来た。
大抵彼等が現れる時には、身体が凍りついたように動かなくなる。
目覚めている時以上に感覚は研ぎ澄まされているのに、身動きの取れない自分が恨めしい。


気配で性別を識別する…女性だ。
彼女は私の頭上に立ち恐ろしく伸びた長い爪で私を傷つけないように、キリキリと私の首や肩を押さえつけてくる。
どうやら彼女なりの抱擁のようだ。
何となく手じゃなく翼のような感触があり、ソレを確かめようと懸命に身体を動かそうとした次の瞬間。

私の目は薄暗い部屋の天井を見上げていた。
飛び起きて部屋の明かりをつける。
時計を見たらベッドに潜り込んでから、
一時間経過している。

あれは何だったんだろう?何を暗示しているのだろう?


こんな時に決まって相談する女性がいる。
いわゆる普通の人より鋭い感性を持っていて、
私達が生きている三次元では見えない世界をみることの出来る人。
普段は主婦だからその能力を生業にしている訳じゃない。

旅立つ前に会う機会があったので、夢の話をしてみた。すると彼女は

「その人京劇に出てくるようなメイクをしてるわ。」

と言う。
私は幸い彼等の顔を見る事は出来ないので、解らないと答えたら彼女はニッコリ笑って

「貴女が来るのを待ってるみたいよ。歓迎されてるわね。」

そう言った。


そういえば以前、前世はインドネシア辺りの司祭だと言われた事があったっけ。
その話を信じてる訳じゃないけど数年前ガムラン演奏に興味を持ち始め、偶然にも友人からバリガムランに触れる機会を与えられた。
これも何かの縁なのだろう。

そもそも人間は200回以上の輪廻転生を繰り返すと言われている。そのうちの1回位、バリで司祭をした前世があっても不思議ではない。

むしろこのエピソードのおかげで今回の旅がより一層深みを持ちドラマチックになった。


どうやら多くのバリフリーク達が言うように、
私もバリに呼ばれているらしい。


そして導かれるまま、ガルーダインドネシア航空に乗り日本を後にした。


ガルーダインドネシア2008

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