日記: 『空鳴り(そらなり)』

枕の上に乗っかった頭が落ち着かなくて、寝返りを繰り返す夜。
誰もいない窓の外から、ざわついた気配がする。
静かに始まったそれは、少しずつ、だけど力強く地面を、壁を、僕の部屋の窓を叩く。
部屋がぽつんと切り離されて夜に浮かび、僕の頭も落ち着きを取り戻す。
耳を傾けると、静かに弾ける無数の音が、群れとなって大きく波打つ様子が聞こえてくる。
刹那、閉じたカーテンの隙間から光が差した。
続く轟音と振動はあまたの粒の喧騒を少しだけ忘れさせる。
揺れの余韻は心地よく僕のからだを撫でてすぐに去っていく。
途端、より一層の破裂音が、僕の部屋を、一帯の夜を支配した。
時折の閃光と空鳴りを繰り返して、気配は確実に小さくなっていく。

遠ざかっていく雨の音。
もうすぐ冬が来る。


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