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本当に良いものは良い箱で届けたい。──【drip×SHINK】パッケージリニューアルの裏側

SHINKは2023年2月に、株式会社ドリップが展開するプロダクトのパッケージリニューアルを行いました。

今回の記事では、こだわったもの作りをされているドリップ様のパッケージリニューアルの背景や、お三方の出会い、SHINKの制作の裏側についてお届けいたします。


株式会社ドリップについて

株式会社ドリップは、「いま、ぼくらが本当に欲しいモノを作る」をコンセプトに、インフルエンサーによるモノづくりを行うD2Cカンパニーです。
共同創業者の堀口さんと平岡さんも元々、インフルエンサーとしてご活躍されていました。あらゆるプロダクトを紹介する中で、製品企画から製造販売までを自分たちで行った方が、お客様が本当に満足できるモノが作れるのではないかという思いが生まれ、2017年1月に株式会社ドリップを創業。
現在クラウドファンディングや自社サイトで販売しているプロダクトも、発売を開始するとすぐ売り切れになるほど反響を呼んでいます。

堀口 英剛 / 株式会社ドリップ 代表取締役(写真右)
チャンネル登録者数23万人のモノメディア「monograph」編集長。 Yahoo! JAPANから独立後、株式会社ドリップ代表取締役社長に。インフルエンサーと共に今の時代に寄り添い、愛せるモノづくりを行っている。趣味は植物。

平岡 雄太 / 株式会社ドリップ 代表取締役(写真左)
大阪大学法学部卒業後、Yahoo! JAPAN入社。同期の堀口と株式会社ドリップを設立。2019年にYouTubeチャンネルを開設し、iPadの活用方法やアプリに関する情報を発信している。

パッケージリニューアルの背景

――まずは、今回のパッケージリニューアルの背景を教えてください。

ドリップ堀口さん(以下堀口):リニューアル前のパッケージは、ドリップらしい親しみやすさはあるものの、手作り感が強いと感じていました。
これは、専門的な領域を持つインフルエンサーとタッグを組んで製品を作る、『Makers』という活動の中で生まれたデザインで、様々なメンバーとディスカッションをする中で、キーワードとして「そうそう、これこれ!」と言ってもらえるようなアイテムを作ろうという思いが元になっています。

また、ありがたいことにお客様の数も増え、もう少しブランドとしての格式を出したいという考えもありました。

―― 依頼先にSHINKを選んだ決め手は何だったのでしょうか?

堀口:パッケージはブランド全体のイメージに関わってくるため、長くお付き合いができる会社がいいなと考えていました。これまで何度か企画や外装を製品単位でお願いすることはあったのですが、理由はそれぞれですが、あまり長続きすることがなかったんです。

ドリップ平岡さん(以下平岡):デザイナーさんによっては、クオリティは高いけれどコミュニケーションを取ることが難しかったり、自分で長い期間考えてから提案してくれたけど、方向性が少し違ったとか。僕たちもデザイナーさんのことを理解しきれていないので上手くコミュニケーションを取れないことも多くありました。そんな中で藤田くんは前から知り合いだったということもありますが、コミュニケーション能力も高いですし、彼のSNSを見たり話を聞いたりしているとデザインのテイストもうちに合っていると思ってお願いしました。

―― 藤田さんとお二人はどうやって出会われたのでしょうか?

藤田:学生の頃からブログを書いていたんですが、平岡さんがそのブログを見つけてくれてDMをきっかけに初めてお会いしました。

平岡:ドリップの創業前から知っているから、もう6年ぐらい前ですよね。

堀口:初めて会った時は、藤田くんは確か19歳。その頃から本当に頑張っていたんですよ。美容師からデザイナーになるために、「Daily UI*」を毎日更新して。努力している姿を見てるからこそ人間としても信用できるし、スキルにも信頼を置いてるというところが依頼した決め手ですね。

平岡:昔から写真もうまいしデザインも素敵でセンスももちろんあるけど、センスあるで片付けるのはちょっと本人に失礼。
そのセンスの裏ではすごく努力しているし、それと本人の元々持っていたセンスが組み合わさって活躍しているんだと思います。

*Daily UI:毎日1通メールでUIデザインの課題が届き、課題に合わせてUIデザインを作成していくサービス

―― 今回のリニューアルでどのようなことを期待していましたか?

堀口:製品が届いたときに箱を写真に撮って、「これ買いました」とSNSに投稿してもらえるといいねという話をしていました。今まで製品自体の写真をあげてもらうことはあったのですが、パッケージごとはなくて。
例えば、AesopとかApple製品とか、購入したら箱だけでも写真を撮るじゃないですか。そういう体験をドリップのお客様にもしてほしいなと思い、今回リニューアルを依頼しました。

平岡:あとは、色々な商品を同じ箱に入れるので、箱を開けるまで製品の判別がつかず、検品がしづらかったというのもあります。箱を開けなくても製品の判別が出来たり、1個の箱でいろんな商品に使い回せると良いなと考えていました。

ご提案の流れ

―― プロジェクトはどのような流れで進んでいったのでしょうか?

藤田:全体的な流れとしては、お話いただいてから詳細なヒアリングを行い、方向性を探る為の簡単なワークショップを行いました。ワークショップでは、競合企業やドリップの人格に近いイメージをいくつか用意し、お二人に「どちらがいいですか?」と質問し、お二人の好みや思想を探っていきます。様々な方向性を検討しつつ、「これは違うよね」といった認識のズレを洗い出していく作業ですね。
後日、ヒアリングで上がったキーワードやワークショップを元に、今回は2つの方向性を提案しました。
これまでのドリップの温かみや距離の近さのイメージの延長でいくか、少し変えてフォーマルな方向性でいくか。それぞれの方向性を探りつつ、最終的に温かみはある程度残しつつ、もう少しフォーマルな方向性に仕上げていきました。
そこからはパッケージ予算に対しての紙の選定や、デザインの制作に入っていきます。

スケジュールとしては、詳細ヒアリングから方向性の提案まで2週間。そこからデザインの初稿展開まで2〜3週間ほどです。

堀口:進め方がめちゃめちゃうまいなと思いながらワークショップを受けていましたね。デザイナーさんに口頭でなんとなく説明して、「とりあえずデザイン組んでみましょうか」と言われて進んでいくことが多いんですけど、今回はそこに至るまでにしっかり認識を合わせてくれました。しかも、実例を出して「こっちの方向で作ってきますね」という流れだったので、出てくる絵が先に見えたんですよね。
これはデザイナーの実力っていうよりも、ディレクション部分がすごく上手だなと思いました。

藤田:最初に方向性を探っていない状態でいきなりデザインをポンと出すようなやり方だとお互い認識が合っているのか分からず後戻りする可能性も高いので、最初の段階で細かく擦り合わせるようにしています。その方がきっとお客様も安心できると思うので。

パッケージもSNSに載せてもらえるように

――リニューアル後、商品を受け取ったお客様の反応はいかがですか?

平岡:パッケージの方はこれから差し替えていく予定なんですが、外箱のダンボールはすでに運用を開始していて、冒頭でもお話しましたが、製品が届いたときに「これ買いました」と箱の写真付きでSNSに上げてくれる人が圧倒的に増えましたね。その点は既にリニューアルを依頼して良かったと効果を感じています。

堀口:あとは、天面に配達員さんへのメッセージを入れてくれていて、「さすがドリップさん。思いやりがすごい」と反応してくださるお客様もいらっしゃり、ブランドの愛着にも繋がっていると思います。もう1つこだわりのポイントとしては、伝票を貼る位置を指定したことです。そうすると届いた時に正面が綺麗で、これもお客様がSNSで言及してくれていました。

こだわって作った良いモノを世の中に増やしていきたい

―― 今後ドリップをどんな会社にしていきたいと考えられていますか?

堀口:ドリップという名前は、色々な情報を僕たちやインフルエンサーのフィルターで抽出をして、出てきた一番良いひとしずくを世の中に出そうというのが由来になっています。その結果として、今はモノ作りをしていますが、もっと他の出し方があってもいいんじゃないかなとも思っていますね。モノ作りはどんどん広げていくんですけど、何かそれ以外でも、その人のいいところの抽出の仕方みたいなものがあればサポートしていきたいです。

平岡:以前は、製品ではなくブログやYouTubeなど、コンテンツを世の中に出していました。アウトプットは何にせよ、世の中に沢山のものがある中で、本当に良いものもあれば、大量生産で作られたものもあります。僕たちはその世の中に自分たちがこだわって作ったと思える、良いものを増やしていきたいと思っています。
SHINKさんがやっているデザインもおそらく自分たちの考えにに通ずるところがあるというか、ちゃんとこだわって真摯に作ったものを、世の中に出していると思うので、何かそういう部分も共鳴できるなと思うし、これからも機会があれば一緒にやっていきたいなと思っています。

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SHINK(シンク) は、ブランディング・デジタル・グラフィックと様々な領域のデザインを提供する東京のデザイン会社です。
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Text: Hatsune Oka
Photography: Yuta Nishida