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深夜、甘めのLINEをできる異性の友人が欲しい。

 3つくらいの小説の断章です。章同士の繋がりはあまり有りません。つらつらと無意味に綴られているのが好きな方へ。

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 恋人って名前を付けて縛り合うのは面倒なのだけれど、深夜、寂しい時に甘めのLINEをできる異性の友人が欲しい。と、呟いていた人に恋人がいたと知ってから、感情が無い。

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 「でもお前、女にしかリプしないじゃん」で、途切れたDM。

 「好きだよ」「私も」の間が3秒間空いた抱擁。

 下着を履きながら恋人からの通知が光った、歌舞伎町のラブホ。

 そんなものにエモいと名前をつけるのは、気持ち悪いと思うんです。キモい、で十分だよ。

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 ところで、セックスなんてありきたりなものじゃなくて、2人しか知らない言葉遣いとか一緒に行った場所とか、世界で相手にしか見せない甘え方とか。

 その2人の、甘え方や関係は、他者は目にすることすらできない。そんな関係を築いている人たちに憧れます。

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 話を変えよう。「寂しくない人は本を読まない」と、太宰治は小説の中にそっと本心らしきものを紛れ込ませた。

 好きなものは、それまでの人生で時間と感性とお金を費やして見つけたものだから、その手間をすっ飛ばしていて乱暴だ。と断じた小説家がいた。

 好きなものを聞くことは、その人が世界とどう出会ってきたかを追体験したいという、遠回りな告白だ、と囁いた詩人がいた。

 寂しいと携帯の通知を頻繁に確認し、リアルの友人から連絡が来ていないとSNSに投稿し、リアクションを気にしてしまう。

 ネット上の擬似的な繋がりで、氷解するほど、本質的な寂しさはやわなものではないのに。

 救いを求めてしまうのは、現実が見られないほど、自分に余裕が無いのだと気づいて、もっと悲しくなった。夜だね。

 「夜が寂しくて良かった。そうでないと文学も、映画も、恋も生まれなかっただろうから」と、書いた小説家がいました。
 私が狂ったように文章を書くのも、夜の寂しさのせいです。

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 ところで、「お酒のせい」とか「夜の寂しさのせい」とか。

 「〇〇のせい」って他責転換するときの人間の顔って醜いですね。

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