YOASOBI「セブンティーン」のこと。
こんにちは。桜小路いをりです。
昨日放送された、YOASOBIさんの「NHK MUSIC SPECIAL」の「はじめての」の特集。
作家の皆さんとの対談、テレビ初披露のカッコいいパフォーマンスもてんこ盛りで、とっても見応え抜群な、豪華な番組でした。
音楽について、小説について、創作について。
そんな気づきも散りばめられていて、改めて、「私はなんて素敵なユニットを推しているんだろう」と思いました。
素敵な番組をリアタイできて嬉しかったです。
その番組の中で、特に印象的だったのが「セブンティーン」。
宮部みゆきさんの『色違いのトランプ』が原作の楽曲です。
私が最初に「セブンティーン」を聴いたのは、ローソンコラボのハニーカフェラテを飲んだときでした。
キャンペーンで、ハニーカフェラテを買った人に限りサビ部分が先行公開された、あの時です。
既に小説は読了した状態で、聴かせていただきました。
そのとき、心にいちばん強く刻み込まれたのが、ここの歌詞。
奇しくも、宮部みゆきさんが特番で挙げていらっしゃった歌詞でした。(テレビで見ていて、思わず心の中で叫んでいました。)
原作小説を読み終えたとき、私は、「バッドエンドとも、ハッピーエンドへの一歩とも捉えられるお話だな」と感じていました。
たぶん、人によって捉え方はすごく違うんだろうな、と。
主人公の夏穂ちゃんの未来に希望を見出す人もいれば、そうでない人もいるんだろうな、と。
昨日の番組で、Ayaseさんが「小説のラストに合わせて大バラードを作った」とおっしゃっていたときも、テレビの前で大きくうなずいてしまいました。
だって、あまりにも、悲痛なラストだったから。
でも、そんなふうに思っていた、サビ先行公開のとき。
曲の中で「これはバッドエンドなんかじゃない」と、ikuraさんの力強い声が歌い切ったんです。
あのときの、まぶたの奥が熱くなるような、あの感じ。ため息か感嘆の声が漏れそうになって、でも喉の奥が詰まって、胸がいっぱいになった、あの感動。
ああ、夏穂ちゃんは、「向こう側の世界」そのものが辿るかもしれないバッドエンドを変えるために、立ち向かっていくんだ、と。
その凛然とした横顔まで、先行公開されたサビだけで想像することができました。
さらに、「それじゃ 救いに行くね世界」という歌詞も、活発で勇敢な彼女の人となりにぴったりで。
でも、「誇らしく思ってくれたら嬉しいな」という言葉には、ほんの少し、不安や弱さが見え隠れしていて。
そんなところから、「私と同じ、普通の女の子なんだな」と感じて、今までにないほど、心を強く掴まれたことを覚えています。
フル尺が解禁されたときは本当に嬉しくて、何より言葉にならないほど感動して。
カッコいいし切ないし、感動するしカッコいいし。
こんなに感情を強く揺さぶられる曲、きっと人生でそう何度も出会えるもんじゃないぞ、と。
冷静な自分が、そんなことも思っていました。
「帰り道を交換しよう」という言葉からは、夏穂ちゃんの強くて熱い覚悟を感じて。
「誇らしく生きるよ」という言葉からは、たとえ真反対の世界に行っても、自分自身が、父親と母親の「唯一無二」であることは忘れない、という想いを感じて。
確かに、悲しい話ではある。
でも、その悲しみを乗り越えて立ち向かった先にはきっとハッピーエンドが待っているはず。
「小説を音楽にする魔法」には、そんな「願い」や「祈り」の力もあるんだな、と改めて感じます。
昨日のパフォーマンス映像を見返しながら、気づいたら、また『はじめての』の4つのお話を読み返したくてたまらなくなっています。
ちなみに私は、「今日だって残酷な悪魔が鳴いている」の歌詞の後に、銃の音が入っているところが大好きです。
ぜひ、音量を少し大きくして聴いてみてください。
最後に、「はじめての」のプロジェクト全体について少しだけ。
この約1年のプロジェクトを通して、私は改めて「YOASOBIさんの小説の捉え方が好きだ」と感じました。
それは、私自身も似た捉え方をしているから共感できる、というだけではなくて、「こういう見方があるんだ」という、新しい風を吹き込んでくれるからです。
Ayaseさんの歌詞、曲、ikuraさんの歌声、MV、ヘアメイク、衣装、演出。その全てが、原作小説の色を反映していて。
だからこそ、昨日の特番で、制作についてのお話もたくさん聴くことができて、すごくすごく楽しかったです。
もちろん、小説の捉え方に「ただひとつの完全な正解」はないけれど、YOASOBIさんなりの「YOASOBIとしての最適解」を探して、積み上げて形にしていく姿の一端を、垣間見ることができた気がします。
そして、「はじめての」を機に、さらに小説というエンターテインメントに親しむ方が増えてくださったら嬉しいな、とも、ひとりの小説好きとして思っています。
これからも、音楽ファンとして、小説好きとして、そしてYOASOBIファンとして、「音楽と小説の行き来」を楽しみたいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。 私の記事が、皆さんの心にほんのひと欠片でも残っていたら、とても嬉しいです。 皆さんのもとにも、素敵なことがたくさん舞い込んで来ますように。