YOASOBI「アイドル」が放つ、一番星の輝き。
こんにちは。桜小路いをりです。
先日リリースされた、YOASOBIの「アイドル」。
怒涛の勢いで広まっていく「アイドル」の凄まじさに、来る日も来る日も圧倒されています。
今日の記事は、そんな私の「アイドル」の感想記事です。ぜひ最後までお付き合いください。
「アイドル」は、アニメ「推しの子」のオープニング主題歌。
キャッチ―で、華やかで、キラキラしていて、壮大で、なのに深い暗さまで感じるような曲で。
Ayaseさんの「推しの子」という作品への愛情も強く投影されていて、歌詞のひとつひとつ、言い回しの隅々に、「これでもか!」というほどの熱量を感じます。
歌詞に、「アイ」だけでなく「ルビー」や「アクア」と入っているところも、胸がいっぱいになります。
特に印象的だったのは、歌詞の中で、色々な人の視点が交錯しているところでした。
原作小説『45510』の語り手の彼女の視点はもちろん、アイ本人、そしてアイに魅了されたファン、アイを取り巻く人々。
そんな、目まぐるしく変わっていく視点もまた、混沌とした芸能界の雰囲気や、交錯していく色々な人の目論見、感情にも重なります。
疾走感のある曲、畳みかけるような言葉の数々は、どこか、アイが全力で駆け抜けていくその人生にも繋がるような。
嘘に嘘を重ねて、嘘を嘘で塗り固めて「アイドル」でいる、いわばこの曲の「主人公」であるアイ。
私はまだ第一話しか視聴できていないのですが、そんなふうに「噓吐き」と称されるアイがあんなに魅力的なのは、ひとえにその「一生懸命さ」だと思います。
「アイドル」でいるためには嘘を重ねなければいけないけれど、「アイドル」でいることそのものに嘘はない、というような。
家族がいなかったアイにとって、「アクア」と「ルビー」という、二人の子供に向けた笑顔や言葉にだけは、きちんと「真実」があったのだと思います。
でも、嘘を吐くことに慣れすぎたせいで、自分の「本音」すら上手く掬い上げることができなくて。
“あの”「愛してる」で初めて、これが自分の「本音」なんだ、と分かったのかな……。
「一番星」って、たぶん、触れたり手に取ったりできないから、その星が輝いているのを遠くの遠くで見るから、すごく綺麗に見えるのだと思います。
でも、そうだとしたら、「一番星」はずっと孤独でいるしかないような。
そんなことも、考えずにはいられません。
そして、「アイドル」で際立っているのは、何と言ってもikuraさんの歌声。
初めて聴いたとき、ikuraさんの歌声が目まぐるしく色彩を変えながら、まばゆく輝いているような気さえしました。
ステージの上、満面の笑みで自信満々に輝くアイ。
そんなアイへの嫉妬を抱える人たち。
アイに虜にされ、信奉するファン。
一方、静かに孤独を抱えるアイ。
そんな「視点の持ち主」を、歌声で明確に演じ分けるikuraさん、本当に本当に凄まじい。
そして、「アイドル」というワードを中心に据えたこの曲がもつ、独特の「熱狂感」と「熱量」「熱っぽさ」まで、その歌声からちゃんと感じ取ることができるんです。(もちろん、「現場感」のあるREAL AKIBA BOYSの皆さんのコールも聴きどころ)
私は、この曲を聴いて、すごく「ドキドキする曲だ」と感じました。
それは、その熱狂感と、楽曲そのものから感じる臨場感はもちろん、独特の「危うさ」から感じるものなんじゃないかな、と思います。
嘘を重ねる「アイドル」と、その偶像に熱狂する「ファン」。
綱渡りのようなその関係性の「危うさ」と、その輪の中にいるときのどうしようもない「一体感」と「高揚感」。
強いようでいて脆くて、不安定で、でもたまらなく眩しくて輝かしい。
そんな「アイドル」という文化そのものの魅力まで、この曲には内包されている気がします。
きっとこの曲の前では、どんな言葉も、どんな称賛も、かすんでしまう。野暮に思えてしまう。
そのくらい、手の届かないほどの燦然とした輝きと、絶対的な美しさを誇る1曲だと思います。
本当に物凄い勢いで「ヒット曲」の階段を駆け上がっている「アイドル」。
これからも、末永く、たくさんの方々に愛され続ける楽曲になりそうです。
私自身も、大切に、いっぱい聴いていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。 私の記事が、皆さんの心にほんのひと欠片でも残っていたら、とても嬉しいです。 皆さんのもとにも、素敵なことがたくさん舞い込んで来ますように。