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SixTONES「こっから」全曲レビュー/こっから、新たに紡がれる音色

こんにちは。桜小路いをりです。

今回の記事は、SixTONESの10thシングル「こっから」の収録曲を全曲レビューしていきます。

今回も素敵な曲が大豊作。最後までお読みいただけると嬉しいです。

表題曲

「こっから」

今回の「こっから」は、リレーをするように展開していくラップが印象的な、泥臭い応援ソング。

アルバム「声」に収録された「人人人」から生まれた曲でもあり、作詞作曲は、どちらもSAEKI youthKさんが担当されています。

「こっから」のプロモーションでは、とにかくSixTONESとSONYさんからの「フル尺聴いて!」の圧がすごい。

発売日の1週間以上前に「CDTV」でフル尺を解禁し、YouTube限定パフォーマンス「PLAYLIST」では初の生配信で再びフル尺での披露。
フラゲ日に公開されたメイキング×リリックビデオも、もちろんフル尺。

それだけ、YouTubeのMVではカットされている部分は、力強くて熱い歌詞で、私も大好きです。

黄色信号でずっと進行
辛抱した先は歩こうぜ レッドカーペット
タリラリラリラッタ♪ Come on!
よりどりミドリってさっき言ったろ?
明日ありと思う心の仇
生きていることが天の霹靂
しかし悔しさでく燃える腹ん中

太字で表記した部分が、歌詞に隠れているメンバーカラー。
しかも、隠れているのは、そのパートを歌っているメンバーのカラーになっています。

ここを初めて聴いたときは、本当にびっくりしました。

もちろん、「こっから」が、ドラマ「だが、情熱はある」の主題歌である事実は、この先も変わりません。 それでも、ここにメンカラが入っていることで、改めてSixTONES自身のストーリーにも重なる曲としての一面を、強く打ち出している気がします。

佐伯さん、相変わらずやり方が心憎い。

「人人人」は、緊張や高揚感を隠さずに吐き出して共有する、という印象の曲でしたが、「こっから」は、悔しさや嫉妬を包み隠さず叩きつける楽曲です。

天賦の才などない。
フィクションの力にも縋れない。
生身の「自分」だけでやっていくしかない。
でも、やめられない。

これは、「お笑い」や「エンタメ」だけではなくて、色んな人に、色んなものに繋がることだと思います。

「悔しさで黒く燃える腹ん中」という歌詞の後に続くのは「燃やせ」という言葉です。

なぜならば、それは、「悔しさ」すら自分を動かすエネルギーになるから。

しのごの言わずに動け
道なき道ほど進め
劣等も嫉妬も叱咤なる燃料
Let it fire!

劣等感に苛まれたら、悔しさに歯を食いしばったら、嫉妬に駆られたら、それらを燃やして燃料にしてしまえばいい。

めちゃくちゃに泥臭いけれど、綺麗な感情だけではいられない人間臭さが溢れていて、私はすごく好きです。

醜く思える感情も全部吐き出して、「こっから」と蹴り飛ばして、進んでいく。
そんな情熱的なメッセージを伝えるには、「ラップ」という表現が本当にぴったり。

百聞は一見に如かず、ということで。フル尺で「こっから」を聴くことができる、リリックビデオのリンクを貼っておきます。

レコーディングの場面とMVのメイキング映像が使われた、まさに「フェイクなし」のリリックビデオ。

レコーディング風景って、なんだか妙に惹かれるのは私だけでしょうか。
真剣な表情って、飾り立てることができないからこそ、はっとするような鮮烈な眩しさがある気がします。

初回盤A

「雨」

小雨に濡れるような曲の始まりから、どしゃ降りの雨に打たれるようなサビ。
緩急のある展開と、楽曲全体に陰を落とす深い孤独感がドラマチックな、ロックバラード曲です。

どこか静やかな印象なのに、そこに内包されている感情は激しくて力強くて。
でも、危うい均衡で形を保っているような脆さも感じて。
孤独や失望、虚しさなど色んな感情が溢れています。

なんだか、必死に叫んでいるのに、その声は強い雨の音や、雨の中を走る車の音に全てかき消されてしまっているような。
私の中では、雨の日の独特の静けさの中に吸い込まれていく声、という印象が強いです。

台詞っぽいフレーズも多くて、改めてSixTONESの表現力の高さに脱帽です。さすがアクター集団。

苦しさを叫ぶだけでは終わらない、冷たい雨に打たれながらも胸に熱い炎を秘めているような、力強い楽曲になっています。

初回盤B

Medley from 「慣声の法則」at 横浜アリーナ

今年の始めに行われたツアー「慣声の法則」。
その横浜アリーナ公演で披露された、「これぞSixTONES!」なメドレーが、初回盤Bで音源化です。

「S.I.X」、「Special Order」、「フィギュア」のラップパート、「RAM-PAM-PAM」、「WHIP THAT」、「Outrageous」。

このうち3曲は、過去のライブ映像もYouTubeで見ることができます。それだけ、ファンに愛されている楽曲の数々が、ぎゅぎゅっとまとまったメドレーです。
(過去のライブ映像は下のリンクから。個人的なイチオシは「Special Order」です。)

これをひと息で披露するセトリ、とにかく凄まじい。攻撃的かつ好戦的、ワイルドな魅力が「これでもか」というほど詰まっています。

曲の繋ぎ方も見事で、途中で挟まれる「フィギュア」のラップパートが、これまた効果てきめん。構成の仕方が最強すぎます。

聴くだけでテンションが上がって、一気にエンジンがかかるメドレーです。

「初めてSixTONESのCD買うよ!」という方には、私はこの初回盤Bを推したい。DVDでライブ映像も付いてくるので、SixTONES入門にもぜひ。

通常盤

「FIREWORKS」

ラテン系のワイルドな楽曲。
こちらは、「こっから」のPLAYLISTでのパフォーマンスの際、トークの後にサプライズで披露されました。 

危険な匂いが甘く漂う雰囲気と、異国情緒あふれる曲調がたまらない。
真夏の夜にぴったりな1曲です。

系統的には、「僕が僕じゃないみたいだ」のカップリング曲「Bella」に近くて、妖艶なSixTONESの歌声が余すことなく盛り込まれています。

昨年の夏にYouTubeで公開された楽曲「PARTY PEOPLE」が真夏のビーチでのパーティーなら、「FIREWORKS」は夜のテラスで催されるパーティーという感じ。

ヤンチャでワイルドな雰囲気がぴたりとハマるのも、SixTONESの魅力のひとつです。

「Tu-tu-lu」

「FIREWORKS」が、いくつもの色に輝きながら鮮烈に弾ける火花なら、「Tu-tu-lu」は柔らかく揺れるオレンジ色のキャンドルの灯りのような楽曲でしょうか。

ゆったりとしたテンポ感と、SixTONESの甘く優しい歌声がなんとも素敵な1曲です。(最近、SixTONESのカップリングにチルな楽曲が増えてきていて、チルなSixTONESが好きな私はとても嬉しい。)

「雨」と同じく失恋ソングなので、私は、雨に打たれて叫び尽くした後、温かい飲み物を飲みつつ思い出にひたっているようなイメージを妄想しています。

PLAYLISTのパフォーマンスでは、椅子に座って、切ない歌詞をしっとりと歌い上げるSixTONESの姿が素敵でした。
温かみのある楽器の音色も印象的で、これから、リラックスタイムのお供の定番になりそうです。

「ABARERO -Dark Electro Rock Remix-」

ひとつ前のシングルの表題曲「ABARERO」のリミックス。

これはもう、聴いた瞬間からワクワクとドキドキが止まりません。
重低音がぐっと響いて、「こんなに高揚感のあるリミックスになるんだ……!」と、初めて聴いたときはびっくりしました。

そして、私はオリジナルにも入っているガラスの割れる音がすごく好きなのですが。
リミックス版では、ガラスの割れる音と共に曲が終わる構成になっていて、それもまたカッコいい。

「こっから」に入っているから、という印象もあるかもしれませんが、私は、このリミックスから「始まる予感」を感じました。攻撃力や威圧感よりも、クールな疾走感が強い感じ。

だからこそ、聴くたびにドキドキするような、より一層ドラマチックな印象になっているのかなと思います。

まとめ

「こっから」全体を通して感じたのは、「SixTONESはグラデーションを作るのが上手い」ということ。

もっと言うと、伏線が緻密すぎる。

アルバム収録曲だった「人人人」で、メンバー全員のラップスキルをしっかり見せつけてきたうえで「こっから」のリリース。
もちろん、歌い出しはラップ担当の樹さんが担って、メンバー全員を頼もしく引っ張っていって。

さらに、「こっから」と未来に向けて叫ぶうえで、「これまで」という過去の土台があることも忘れていない、と感じます。

「Coffee & Cream」や「Chillin‘ with you」などの流れで「Tu-tu-lu」、「Bella」の流れで「FIREWORKS」。

追加公演のドーム公演まで走り抜けたツアー「慣声の法則」の、ひときわ人気の高いパートの音源化。

さらに、「雨」というワード+ロックバラードといえば、デビュー曲の「Imitation Rain」も彷彿とさせます。
そんなカップリング曲「雨」では、SixTONESの多彩な歌声の新たな一面を知ることもできました。

どれも、「これまで」を踏まえたうえでの「こっから始まんだ」という強い意志を感じる曲ばかり。

改めて、その音楽性に惚れ直します。これだからteam SixTONESはやめられない。
これからも、マイペースではありますが、愛すべき原石たちを応援していきたいです。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

最後になりましたが、今日はSixTONESのメンバーの松村北斗さんのお誕生日です。
おめでとうございます! 

演技派でストイック、それでいてメンバー大好きな「わんこ」な北斗さん。
来月放送のドラマ「女王の法医学」や、「ノッキンオン・ロックドドア」も楽しみです。

これからも、SixTONESの歌声が、笑い声が、たくさん響いていきますように。


今回お借りした見出し画像は、光る雫の写真です。「こっから」にぴったりな写真は何だろう、と考えたとき、涙とも汗とも捉えられる「雫」が浮かびました。雫に反射した真っ直ぐな光が、泥臭くも懸命に努力する姿勢に重なる気がします。
ちなみに、森本さんがダブル主演で出演するドラマ「だが、情熱はある」の主題歌でもあるので、メンバーカラーの緑色の写真を選ばせていただきました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。 私の記事が、皆さんの心にほんのひと欠片でも残っていたら、とても嬉しいです。 皆さんのもとにも、素敵なことがたくさん舞い込んで来ますように。