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MILGRAM 第一審/アマネ「おまじない」考察

こんにちは。桜小路いをりです。

今回は、MILGRAM第一審MV、アマネの「おまじない」の考察をしていきます。

実は、第一審で「赦さない」になっていたのがいちばん意外だったのが、アマネでした。
その部分も踏まえて考察をしていきたいと思います。

こちらがアマネの第一審MVです。
子供向けの知育番組のような演出になっており、12歳の少女らしい無邪気さが溢れたMVになっています。

なお、今回は虐待などの話題について触れることになりそうです。予めご了承ください。

アマネについて

全然怖くないですよ?
私のことはかみさまが護ってくれていますから。

まずは、アマネこと桃瀬遍の人となりについて。

アマネは、ミルグラムの中で最年少の囚人の小学生。
大人びた性格で、常に冷静で礼儀正しく、ミルグラムという異常な状況でも動揺する素振りすら見せません。
その一方で、神様の存在を強く信じている子供らしいピュアさもあります。

アマネの誕生日は6月27日、誕生花はトケイソウで、花言葉は「聖なる愛」「宗教的熱情」「信仰」です。

歌詞について

あの幸せの指切りは
やぶるととても痛い
いやってほどにしてくれました
ごめんなさいのおまじないを
でも全然怖くないですよ
愛だから

「指切り(=約束)」を「やぶるととても痛い」という表現、歌詞の行間から、私が真っ先にイメージしたのは「虐待」でした。

ここでの「ごめんなさいのおまじない」は、子供を殴ってしまった後に保護者(ここでは、あえて「親」という表現は使いません)が「ごめんね」と何度も謝ることなのではないかと思います。痛みの後の「ごめんなさいのおまじない」までが、アマネにとっての「愛」だったのだと思います。

恐らく、そういったことが日常的に続いていて、それを、アマネ自身も普通のことだと思っているのではないかと感じました。

始めは、アマネの保護者はアルコール中毒か何かで、それが切れるとアマネに手を上げてしまうのでは、と思っていたのですが、引っかかるのは次の歌詞です。

神様 こういうのってアリですか?

アマネの発言にも幾度となく出てくる「神様」という言葉。
しかも、最初に引用したアマネの台詞では、「かみさま」と平仮名で表記されています。
この平仮名の表記は、例えばアマネが信じている宗教では「神様」と漢字で書かない理由があるのか。それとも、もはや「神様」と漢字をあてる必要もないほどに、アマネにとって「かみさま」は口癖のような言葉なのか。

アマネの誕生花の花言葉でもある「宗教的熱情」や「信仰」も、この「神様」に繋がってくると思われます。

アマネの保護者は、何かの宗教を熱心に信仰しているのではないでしょうか。そして、そこでの約束をアマネにも守らせている。アマネも信者のひとりなのだと思います。
ひょっとしたら、それには子供が守ることは難しいほどの厳しい規律もあるのかもしれません。

「もういい」なんて言わないです
笑い合って赦してくれますか?
誓います
もういい子になるしかない! ですよ

アマネの大人びた言動などは、もしかしたら、常に大人に囲まれて育ってきたからこそのものなのかもしれません。

また、歌詞の中に何度も「いい子」という言葉が出てきます。
「いい子であるべき」という考えを刷り込まれ、そうでなければ罰を受けるような環境にいたのではないでしょうか。

幼い頃から、あるいは生まれたときからの教育、刷り込みによって、洗脳されている状態になっているようにも思います。

ボイスドラマでは、アマネは、しっかりと自分の意見を持っていて、どんなことでもはっきりとエスに主張する子だな、という印象がありました。
しかし、この歌詞では「~だっていいですか」「~ですよ」「~でしょう?」など、いちいち同意を求めるような歌詞が目立ちます。
もしかしたらアマネは、常に誰かに許可や赦しを得ないと、何もできないような立場、環境にいたのではないかとも思いました。

MVについて

このMVに出てくるキャラクターたちは、アマネの保護者の比喩だと思われます。アマネが間違えたときには怒り、一緒に遊んだり学んだりする相手、という描写がされています。

特にポイントになるのは、猫が怪我をした後からのシーンではないでしょうか。
ロボットなどのキャラクターたちがお祈りをして治そうとする中で、アマネが見かねて猫の怪我を手当してあげたときの、彼らの表情。その後の、アマネへの罰。

しかし、そのシーンのすぐ後、アマネの背中には羽がはえ、魔法のステッキを持つようになります。
これは、「洗脳された」という意味なのではないでしょうか。

そして、MVの最後のシーンには、アマネから手当を受けた猫はいません。もしかして……と思わずにはいられない、独特の不穏さがあります。(そもそも、猫が、落ちてきた照明(カメラ?)で怪我をした時点で、他の誰かが仕組んだようにも思いました。この猫が、一体何の、誰の比喩なのか……)

他にも、キャラクターがお金(献金か募金?)を集めているようなシーンが挟まっていたり、闇といいますか、どことない後ろ暗さも垣間見える気がします。

また、私が疑問に思っているのは、MVの最後に出てくる暗い目をしたアマネの表情です。目に映っているのは、MV本編に出てくる祭壇のようなカラフルなオブジェでしょうか。うつろで輝きのない瞳に、ぞっとします。

MV本編は、全てアマネの頭の中の解釈なのではないでしょうか。実際には、もっと酷い罰(端的に言ってしまえば虐待)を受けていたけれど、それを全て「愛」だと自分に錯覚させて、「幸せ」だと思おうとしている。
しかし、実際には洗脳された状態で、虚ろな目をしているのかな、とも思いました。

ボイスドラマについて

今回も例によって考察が難航しボイスドラマを聴いたのですが、想像以上にアマネの実像がはっきりする内容でした。
今回ばかりは、項目をひとつ付け加えて書いていきます。

まず、ボイスドラマで改めて気づいたのですが、アマネは刑事罰を受ける年齢には達していないため、絶対的に法律で裁けない存在です。そう言う意味では、「MILGRAM」のシステムにぴったりな囚人と言えるようにも思います。

私がいちばん驚いたのは、エスとの会話の中で、「善悪の基準」の話になったときの場面です。アマネの声色が、これまでの冷静で達観したようなものから一変、急に感情的に、興奮した熱っぽいものになったんです。(いや……常々思っているのですが、声優さんって本当にすごいです……)

ざっくりまとめると、「エスの判断とアマネの善悪の基準が一致すれば、ミルグラムこそが『我々(恐らくアマネの所属する宗教団体)』にとって正しい世界なのかもしれない。それが楽しみ」ということでした。

「我々」という言葉から、アマネが宗教団体と強く結びついていることが伺えます。

アマネにとって「人を殺した」ことは、彼女の心の中の善悪の基準では「正しいこと」に分類されている。
その狂気とも言えるような危うさに、触れたような気がしました。

まとめ

今ならば分かる、アマネが「赦さない」とジャッジされた意味が……という感じでしょうか。

私自身、これまで「MILGRAM」でのジャッジは「赦す/赦さない」ではなく「赦せる/赦せない」で考えていたように思います。
アマネは、被害者的な一面もあり、心証的には「赦せる」なのですが、アマネを赦してしまうと、その宗教団体の善悪の基準を肯定することになってしまう。
だとしたら、やはり「赦さない」に一票です。

しかし、一方で、アマネの心の中の基準を、その「赦さない」によって変えられるわけではないのも事実だな、と思います。

まだ、アマネが誰を殺めたのか、しかもそれが物理的なものなのかそうでないのかも分かっていません。
次のMVが怖くもあり楽しみでもあり、でもやっぱり怖くもあり……感情が大忙しです。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
第一審の考察も、残すところあと2名。
張り切って書いていきたいと思います!

今回お借りしたのは、空の写真です。アマネのターコイズグリーンの写真がなかなか見つからず、かなり迷ったのですが、この写真の神聖な雰囲気が印象的だったので、選ばせていただきました。雲が緑っぽく見える感じも素敵です。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。 私の記事が、皆さんの心にほんのひと欠片でも残っていたら、とても嬉しいです。 皆さんのもとにも、素敵なことがたくさん舞い込んで来ますように。