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喝欲魔力

足りないの 

足りないの

まだまだ全然足りないの

満足するにはもっと必要なの

これだけじゃぁ後で困るかもしれないから

もっともっと欲しいの

「だけど君のバックはもうパンパンだよ」

そんなことはどうだっていいの

足りないのよ

ほらっ、あそこにあるじゃない

あれも入れないと

なんだぁ、ここにもあったじゃない

これもバックに入れないと

もっともっと持っていないと

「君はもう必要以上に持っているし、他の人を見てごらん

彼らはあれっぽちの量で十分だって言っているよ」

それは彼らのことでしょ

私は違うのよ

不安なの、不安で不安で仕方がないのよ

「ちょっと待って。ちゃんと僕の話を聞いて」

何よ

「君のバックを見てごらん

もう必要以上のものが入って今にも破れそうだよ」

だから何よ

「君はこれを背負って旅をすることになるんだよ」

・・・・

「本当にこれだけのものを君一人で運べるのかい?

君は自分で背負える以上のものを集めてそれ以上を望んでいるんだ」

だけど・・・

「心配なんだよね。でも本当は大丈夫なんだよ

すべてを自分たちだけで抱え込もうとする人たちと比べないで

過去や未来に怯えすぎないで

目の前にないものを追い過ぎないで

ちゃんと本当に必要な分を君は既に持っているから

これでなんとかなるように試してみよう」

うーん・・・

でも気持ちはまだ求めてしまうの、もっと欲しい、もっと欲しいって

「わかるよ。欲に満たされない自分がいるんだよね

でも今まで持っていた量はこれよりもはるかに少なかったよね

それでも助からない窮地に立たされたことはあった?」

・・・なかった

「そうだよね

なら本当に必要なものは欲しい分だけかき集めることではなくて、その自分の貪欲を解放する手立てなんだよ」

わかっているわよ、そんなこと。

でも、でもね

「知っていたんだよね。でもその思いをどうすることも出来なかったんだよね

ほらっ、あそこの人たちは本当に量が足りないんだ

破れそうな君のバックから分けてあげたらどう?」

怖いわ

「君は正直だ。自分に正直だ

それはとても大切なことだよ

確かに怖いよね

ならどうしようか

君が彼らならどうして欲しい?」

必要以上に持っている人から分けてもらいたい

「そうだね。僕たちは一人で生きていない」

今まで多くの人に助けてもらった

だけど自分も助けたいけど自分の分が少なくなる不安がある

「なら今、あげても良いと思える分から始めたらどうだろうか

その思いはきっと彼らだけじゃなく君や他の人を助けることになるかもしれない」

うんっ、やってみる

「無理しなくていい。今、自分が渡せるすべてじゃなくていいんだ

これなら渡してもいいから始めていこう」

あっ・・・

「どうしたの?」

なんだか気持ちが楽になった

「足りない」と求める気持ちがなくなった気がする

「良かった、魔力に勝てたんだね。」

魔力?

何このバッグ、馬鹿にみたいに重くて自分じゃ背負えないわ

ハハハ・・・・笑っちゃう

彼らにあげてくる



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