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静かな夜

僕は夜が好きだ。
もちろん、朝日が上がる瞬間は何とも表現し難いほど優雅で綺麗で清々しくなるので好きだし、夕方の日が落ちていく曖昧な空の色も好きだし、母親が幼い子供を自転車の後ろに乗せている姿なんてのもとても素敵だなと思う。

でも僕は夜が好きだ。
なんでこんなに夜が好きなんだろうと今回深く考えてみることにした。

僕の中で夜は何となく異世界のように感じる。
昼の喧騒はなく、すれ違う人も車もなくただただ静かな空間が流れる。
夏には鈴虫の音さえ異世界を引き立てるオーケストラに感じる。
冬には夜空を見上げると無数の星たちがそっと見守ってくれているような気がする。
何となくこの夜が、今この空間が自分だけのものに感じる。夜だけゆったりと時が過ぎていくように感じる。そんな夜が好きだ。

でもこんなことを思うのは僕がなるべく一人でいたいと思うからなのかもしれない。そういう面でも夜というのは僕にとってとても相性がいいのかもしれない。

先日仕事の帰り道を久々に歩いてみて思った。
そういえば、夜こうして自分の世界に浸りながら考えるのも久々だなと。
学生の頃や、20代前半の頃は何かあるとすぐに暗い夜の道を歩きながら自分の世界に入り込むことをしていたのに。その空間、瞬間がすごく好きだったのに。
いつからかそれをしなくなっていたことに気がついた。

一昨年からカフェの仕事をし始めて朝が早くなったことが僕が夜に深く触れなくなった理由だと思う。

まだ、陽が上りきっていない間に出勤し、暗くなる頃には家にいることが多くなった。健康的な生活なのかもしれないが、朝が早い生活をしていて思う。
僕にはきっと夜の生活のほうが向いているのではないか。

ここまで書いていてもう一つ大きな夜が好きな理由があった。
さっき書いたことと重複してしまう部分もあるが
僕は夜一人になってする作業がとても好きだった。
夜に作業すると作業が捗る。気がする。
これは完全に気がする。なのだろう。

学生の頃はひたすらに音楽が好きで時間があれば曲を作っていた。
そのほとんどの曲は夜に作ったものだった。
何となく夜のほうが誰にも邪魔されずに集中できた。気がする。

まあ、自信満々に仕上げて翌朝あまりの厨二病感にボツとなった曲が沢山あるから、
もしかしたら作業は朝にしたほうがいいのかもしれないが。笑

社会人と言われる年齢になってからは引き続き曲を作ったり、小説を書いてみたり、動画を編集してみたり、ラジオを収録して編集してみたり、ありとあらゆるクリエイティブな作業を夜とともにした。

そんな夜が大好きなので気分が乗らない飲み会やご飯会には極力行かないことにしている。
誰にも邪魔されずに自分に没頭できる時間を大切にしたい。

もちろんこのエッセイも夜にせっせと書いている。

できたと思って翌日に確認してみるとあまりの詩人ぶりに恥ずかしくなって
「直そうか?いや、エッセイなんだしこれくらい曝け出した方が?」という葛藤の末今回も見事に何ヶ所か訂正させていただいた。
そんなところは相変わらずだが、僕はやっぱり夜が好きだ。

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