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中小企業診断士、筆が進まない時には

前回のヒアリングの話(↓)に続き今回は、診断士活動として文章を書く機会についてのお話です。

診断士の文章と言えば、診断報告書や提案書、事業計画書などがよく携わるものです。
ビジネス文書ですので、“表現に工夫を凝らして”というよりは、伝えたい趣旨・メッセージを理路整然と、なるべく端的にまとめた文章が求められています。

メッセージを伝えるための材料・キーワードを、“5W1H”や“てにをは”などを意識しながら並べて作るイメージですが、馴染みのある所でいうと、診断士の二次筆記試験の回答作りでしたような書き方ですね。

たとえば「A社は成長を遂げることができた要因として、どのようなことが考えられるか」という設問があったら、与件文を読んで「A社の強み」や「顧客のニーズ」に関する言葉を探して並べる、といった、文章を効率的に作れる方法です。

診断士業務の中でもこの書き方はわりと有効で、企業診断で経営者さんへのヒアリングを行って提案の方向性や仮説をある程度固めたら、ヒアリング資料や企業提供の資料、業界資料などから、説明に使えるキーワードを集めて文章にすることはよくあります。

ただ、そうした方法で書いているところに、うまく書けない・言葉や出てこないことがあります。

伝えたいメッセージはある程度見えているのに、いざ文章にしようとすると、書き出しが浮かばなかったり、要素を箇条書きしてみても歯抜けになり、理屈がうまく組上がらず頓挫してしまうような感じです。

そういう時は、いったん効率やスピードを横に置いて、あえて時間をかけてじっくりと資料を読み直すと解決することがあります。

書く項目に関係した部分だけでなく、企業や業界の基本情報を含め、全体を頭から読みます。欲しいキーワードを探すのではなく、読み物のように丁寧に読みます。

あらためて読むなかで「あ、この要素とこの要素はこう繋がるんだ」とか「この部分ちょっと意味がわからないな」とか「これって具体的にはどんな例があるんだろう」といった、気付きや疑問が湧いてきて、追加の情報収集なども行います。

しだいに自分の頭のなかで情報が整理・咀嚼・消化され、書くべき文章のイメージが整ってくるものです。
書けるだろうと思っていたのにうまく書けないときは、材料不足や自分の理解不足を、ひとつの可能性として疑ってみてください。

締切が近づいて急いで書きたい場合など、スピード重視で効率よく進めたくなりますが、もし筆が止まった時は無理に言葉を捻りだそうとせず、一度立ち止まって見直してみることをおすすめします。
(シンプルに言うと「急がば回れ」でしょうかね。)

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