平原慎士

ミュージシャン、作曲家、プロデューサー 2005年ギブソンジャズギターコンテスト史上最…

平原慎士

ミュージシャン、作曲家、プロデューサー 2005年ギブソンジャズギターコンテスト史上最年少準優勝受賞。2020年度世田谷区芸術アワード受賞。2021-2022年度金沢レジデントアーティストに就任。 SNSほか:https://linktr.ee/shinjihirabaru

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はじめまして。

 下北沢にてジャズの演奏、青山にある草月流アトリエにて即興演奏、都内ホールにてルネッサンス音楽の演奏、大学にてミニマルミュージックの演奏、神保町の出版社兼本屋にて韓国語の曲を歌い撮影、全国各地で開催されるイベントの選曲やサウンドデザイン、メディアアートの音響プログラム開発、金沢市民芸術村レジデントアーティストとしての作曲と演出の制作、その合間にYoutube動画の演奏と撮影、甥と友人にレッスン、今年の公演企画と準備、種々様々な音源の制作ー僕のこの3ヶ月間を大まかに並べるとこん

    • ジャズの情景-ウエス・モンゴメリー/ボス・ギター

      僕は高校生の時、福岡の中洲に通っていた。 猥雑な雑居ビルと辻々に立つキャッチの誘いを避けて、向かうのはジャズクラブだ。 道端で掴み合う男たちを女が「喧嘩するなら店の中に入り」と宥める。 2000年代前半の博多の繁華街はまだ昭和らしく人間臭かった。 ハモンドオルガンの音が漏れる階段をあがり木の扉を開ける。 煉瓦の壁に煙草の煙が染み込んだソファ。 点々と置かれたライトがテーブルと隅の電話を照らす以外は 得体の知れない何かが潜んでいるような暗さだった。 ウエス・モンゴメリーのL

      • 鉱山野郎のうた-音楽が残ることについて

        昔鉱山で歌われていた或る曲を復活させてほしい-  手書きの譜面で渡されたのは「鉱山野郎のうた」という日鉄鉱業株式会社の社歌だった。戦後まもない日本には多くの鉱山が存在し、その周辺には街がつくられ、人々の活気が確かにあった。しかし、出稼ぎの男たちが労働の最中に声高らかに歌った唄も、時流により相次いだ閉山と共に詠み人しらずとなる。半世紀が経ったいま、忘れ去られたメロディーを蘇らせ、これから鉱山で働く人々へ繋ぎたい。広告代理店担当者の話は熱っぽかった。 鉱山野郎たちの汗ほとばし

        • 水を編む人々 其のニ

          レジデントアーティストの話を受けたとき、東京都内でジャズといけばなとテクノロジーを合わせた公演を行なっていた。新しさを追求することは常に重要である一方、前に進むことが何を失くすことになるのか。革新と普遍は僕にとって大きなテーマである。綿々と続く日本の原風景とともに豊かな文化を醸成してきた金沢市において、いまいちど「残す」意味を見つめ直したい。-「水を編む人々」公演フライヤーより 01.水を編む人々: 浅野川と犀川に挟まれた金沢市街地を、1日をかけて歩き回った。 観光地からす

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        はじめまして。

          水を編む人々

          昨年(2021年)、金沢市民芸術村のレジデントアーティストに就任することになった。金沢市民芸術村というのは、21世紀美術館などを運営する金沢芸術創造財団の文化施設のことで、同施設内にドラマとミュージックとアート三つの工房が在る。そのミュージック工房へ東京から通いながら、創作活動を行っている。 かつての紡績工場をリノベーションした建物からは管楽器やバンドの演奏が聴こえ、辺りを見れば市民が造作した彫刻物が愉快に並ぶ。広大な芝生公園と共に開放された芸術村の在り方は、まさに金沢の高

          水を編む人々