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自由奔放のマイル王ダイタクヘリオス 〜名馬たちの記憶8〜

秋のマイル王を決めるG1マイルチャンピオンシップ。
過去40回ほど開催された中で連覇を達成した馬は、ニホンピロウイナー・タイキシャトル・デュランダル・ダイワメジャー・グランアレグリア。
その名だたる名馬と肩を並べる実績を持つダイタクヘリオス。

彼は、同一の平地重賞(マイラーズカップG2)を2年連続5馬身差以上で勝った記録も保持している。
現時点でJRA史上この記録を持つ馬は、彼しかいない。

今回は、1番人気で勝利したのは、1回だけという自由気ままに走り続けたマイル王の記憶を呼び戻したい。



彼の父ビゼンニシキは、無敗の三冠馬シンボリルドルフの初代ライバルとして名を馳せた。なお、シンボリルドルフが日本馬同士の競馬で唯一1番人気を譲った相手でもある。
その父に母ネヴァーイチバン、母の父がネヴァービートというのが、彼の血統である。

失礼だが、如何にも上手くいきそうでいきそうにない。そんなイメージを持つ血統背景が、のちに自由気ままな彼を作り上げたのかも知れない。

なお、馬名の由来は、冠名にプラスしてギリシャ神話の太陽神ヘリオスから取ったもの。

そんな太陽神は、何かと話題が多い競走馬であった。
ここで伝説となった彼のエピソードをいくつか紹介する。

●オッズが読める馬
生涯戦績35戦10勝。
先述した通り、1番人気で勝ったのは1回だけ。あとの9勝は全て2番人気以下。
ムラっ気が強くファンを裏切ることから
「オッズを見て走る」
と言われた。

●笑いながら走る馬
レースや調教において、折り合いが付き、きっちり走った場合よりも最初から引っかかり飛ばしてしまうバタバタ走法の方が好走すると言われ、常に大きく口を割って走る姿からファンから
「笑いながら、走っているみたい」
とも言われた。

オッズを見ながら、ファンを欺く。
もしかすると彼は、笑いが堪えられなかったのかも知れない。

笑って走れるほどの余裕?があるのは強い証拠ではないだろうか。🐴画像はJRAより🐴


そして、
彼の1番有名なエピソードと言えば、メジロパーマーとの暴走であろう。
92年の天皇賞(秋)では、メジロパーマーとともに最初の1000mを57秒5というサイレンススズカ並みの逃げを披露。残り200mまでは粘りを魅せたが、最後はレッツゴーターキンら先行勢に差され8着と惨敗。

先の天皇賞(秋)で大逃げを打ったメジロパーマーと再び大逃げを共演した同年、暮れの有馬記念。
彼自身の引退レースとなったが、ペースを乱しお膳立て役となり12着。
メジロパーマーに花を添える形となった。

そんな彼は、メジロパーマーと一緒になって逃げるとペースが狂い、トウカイテイオーやライスシャワーなどの人気馬が見せ場なく馬群に沈んだ。
このことで馬券的に大波乱を呼んだため、競馬ファンからは「バカコンビ」と呼ばれた。
それでも彼は、91年と92年のマイルチャンピオンシップを連覇したマイル王である。

また、もう1つファンの中で噂されたことがあった。
それは、彼の恋話である。

5歳(現4歳)時に出走した91年の京王杯スプリングカップG2にて、ハイペースで掛かってしまうという謎の現象で6着に敗退。
その敗退理由は、勝った馬がダイイチルビーだったからではないか。と話題になった。

ダイイチルビーは、父が天馬と呼ばれたトウショウボーイ。
母は華麗なる一族を受け継ぐハギノトップレディという超良血馬。人に例えるとお嬢様である。

そんなお嬢様に自由奔放の彼が見合う訳もないが、ファンは、両馬の対戦(8回)が多かっただけに恋人みたいと盛り上がりを見せた。

ちなみに両馬の対戦成績は、4勝4敗と引き分けに終わる。

その後、
それぞれが種牡馬、繁殖牝馬となるが、実際に交配は実現しなかった。

しかし、某漫画では恋愛風に描かれており、某競馬ゲーム内では、交配された仔が誕生し強敵として登場している。
それだけ両馬の関係は、恋愛ドラマ的な扱いを受けた。

横目で彼女を追う姿が何とも切ない。
🐎画像tokyo-sportsより🐎

ダイイチルビーと縁がないことにご立腹だったのか、なかなか種牡馬として成功しなかったが、
ダイタクブレインズ(父テスコボーイ)との間に生まれた息子ダイタクヤマトがスプリンターズステークスG1にて16頭中の最低人気で勝利。
結果的にファンを嘲笑う血が息子にも受け継がれた形となった。

最低人気で場内を沸かせた孝行息子のお陰で見事、彼はG1輩出種牡馬の仲間入りを果たした。
また、内国産種牡馬として、息子のダイタクヤマトも種牡馬入り。
ビゼンニシキから続く親子3代の内国産種牡馬入りも達成した。

個性派が多い時代の中でも特に個性派を前面に押し出して活躍したダイタクヘリオス。
馬券的にも裏切られたファンは多く存在するだろう。
その分、彼の記憶は個性派好きのファンの中にずっと生き続ける。


ダイタクヘリオス
父ビゼンニシキ
母ネヴァーイチバン
母の父ネヴァービート
35戦10勝
主な勝鞍
マイルチャンピオンシップG1



『名馬たちの記憶』シリーズも早いもので8回目を迎え、多くの方にビューとスキを頂きました。
ありがとうございます!

併せて、私のkindle電子書籍もお読み頂ければ、嬉しいです😂
何卒、宜しくお願いします。



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