コロナ禍でCHEESE STANDとして行ったこと まとめ
コロナ禍の中、CHEESE STANDとして動いたことをまとめておこうと思います。
製造はほぼスタッフに任せ経営に専念
自粛要請を受けてカフェがメインのSHIBUYA店は4月上旬から休業しました。
しかし工房の稼働は止めず、チーズ製造は続けながら、物販がメインの& CHEESE STANDは短縮営業。卸業務、オンラインショップを続けていました。
しかし、多くの飲食店が休業する中で卸の売上高も6~7割ほどと激減し、売上の大半をSHIBUYA店の飲食、卸業務に頼っていたため会社としても大幅な売上減になりました。
それでも、「何がなんでも勝ち抜く」「やれることはすべてやる」という気持ちで動きました。僕はこの1~2ヶ月、チーズ製造はほとんどスタッフに任せ、指揮系統のトップとして戦略を練り、スピードを上げて決めたことをどんどん実行していきました。
売上を補填するために考えた自分たちの強み
前述の売上金額が大幅に減る以上、自粛があけても当面飲食店の売上は見込めないと早くから考えていました。
そこで中期的に、自分たちの持っているリソースで売上を補填することをまずは考えました。「僕たちの強みは何なのか?」いくつもメモに書き出だした中から、強みを以下のように絞りこみました。
・8年間、飲食店だけでなくテイクアウト、卸、小売、ECなど多角的に取り組んできたノウハウがある。
・販売チャネルが複数ある。
・卸の物流ルートを持っている。
・8年間飲食店、チーズ工房、生産者と培ってきた関係性がある。
・スタッフに飲食経験者、製菓経験者、広報経験者、人事経験者がいる。
・4月入社の新卒スタッフ+卸の減少によるチーズの製造余力がある。
・SHIBUYA店に使っていないスペースがある。
・菓子製造業の免許がある
そこからできることを考えていき、以下のことに尽力しました。
①オンラインショップの商品の充実
ワインや物販など& CHEESE STANDに並べている商品のなかでネットでも販売できるものを加えていきました。現在は20商品ぐらい増えています。商品が増えれば必ずしも売上が増えるわけではありませんが、購入するきっかけが増えればと思いました。ページづくりや写真撮影もスピードをあげて行いました。
当面は飲食店での食事やイベントはオフラインという特別な場となり、その入り口としてSNSやオンラインでのコミュニケーションがあるような状態になると考えています。
なので、入り口のきっかけとしてのオンラインショップの充実を今後も行っていきます。
②チーズの新商品の開発
新商品の投下は売上を上げるためです。新作の「さけるチーズ」と、店の4種のプレートで出していた「カチョッタ」というチーズを販売することにしました。「さけるチーズ」はこの混乱時で、今ある技術ですぐにできるチーズは何かと考え、試行錯誤しながら作り上げました。
③CHEESEのおやつの販売
中期的には席数の制限や顧客心理など店内飲食の売上が下がってしまうことが目に見えているので、テイクアウトやオンラインショップで販売できるものにしぼりました。「CHEESEのおやつ」と題し、菓子の製造を始動しました。
のびるチーズケーキは前職の同僚である元ベージュ東京のスー・シェフパティシエ内海麻衣子さん(現マメトラ菓子店)に監修してもらったオープン当初からのシグネチャーメニュー。
バスク風チーズケーキは昨年のクリスマスメニューのリニューアルです。
特徴を出すためにリコッタの分量をも見直し、パッケージの選定、表示シールの作成をスタッフがやってくれました。たくさん売れれば、SHIBUYA店のチーズ工房の場所を菓子製造所にシフトしてしまうことも考えています。他にもCHEESE STANDならではの他にはないお菓子も考えています。(会社のvalueにも「新しい価値の提供」をいれています。)
上記①〜③の新商品の開発には、表示シールや栄養表示、菌検査などやることが多く、GWを挟んでしまったため時間がかかりましたが、1ヶ月程度で商品化に持っていくことが出来ました。
④定期便の開始(まだ試験運用中)
こちらは、まだランディングページができていないですが、朝フレッシュセットと6種セットで定期便をはじめました。今後、ワインのセットなんかも考えています。
⑤小売店への営業
レストランの需要が減り、内食が増えることが予測できたため、3月あたまぐらいから動き出しました。一度断られた(と勝手に思っていた)ところへ再打診したり、ご縁で新たにチーズを置かせてもらえるようになりました。
・HACARIさん(中目黒)
・essentiaさん(学芸大学)
・FOOD & COMPANYさん(学芸大学・湘南)
ファイナンス関連
⑥中小企業倒産防止共済の減額
⑦役員給与の減額
以前のnoteにも書いたのですが、今見返すと2月末という早い段階でに危機感を持って動けていたと思います。
⑦借入
日本政策金融公庫にて借入に加え、2号店を立ち上げた際の借入を借り換えし、元本返済の据え置きを行いました。当座の現金の確保とともにキャッシュアウトを極力抑えることができました。
⑧ 政府の助成金などの申請
雇用調整助成金、持続化補助金、業態転換支援金、感染拡大防止協力金など、国や都からさまざまな助成金・補助金が日に日に修正されながら発表されていきます。
雇用関連は人事担当者と社労士に任せることができました。
ただ、助成金ありきで照準をあわせると売上の50%減などの制約条件が生じます。そのため会社の動きが鈍るものは貰えれば恩の字ぐらいに考えを切り替えました。分かってはいたけれどもやはり政府の動きは遅い。
何かをあてにするよりも自分たちの軸をぶらさずに行動すること。そして、スピードを重視しました。
⑨クラウドファンディング
コミュニケーション・ディレクターのあの「さとなおさん」が、僕たちCHEESE STANDのファンとしてクラウドファンディングを立ち上げてくださいました。2日間で目標金額を上回りました。私自身クラウドファンディングの支援される側に回るのは初めてでした。お金をもらうということは信頼を交換することとも言えます。自分やブランドの信頼を交換することは怖くもあり、覚悟が必要でした。また、今回のタイプのクラウドファンディングを行うということは自分たちの売上の弱さを丸裸にして曝け出さなければいけません。
それでも、やれることをやろうという精神で、SNS、友人、大学時代の部活のメーリングリスト、同郷のSNSのグループでもお願いを行いました。結果、こんなにも多くの方に支えられているのだ、支えてもらえることは心強いことだ、と毎日感謝することができました。
チーズ仲間とともに
⑩CHEEZOOM (CHEESE×ZOOM)
せっかくの昨年来からの日本チーズの盛り上がりを終息させてはいけないとも思っていました。そこで仲間のチーズ工房のチーズをCHEESE STANDに集め、食べ比べセットとして販売。そのセットを購入した方はZOOMを使ったオンラインイベントにご招待し、生産者さんを交えて食事を楽しんでもらいました。
チーズラバーの方だけでなく、チーズ入門者の方や、普段接しない方なども参加くださり、とてもよいイベントになったかと思います。これは落ち着いたらCHEESE STANDでも今後続けていきたいと思っています。
飲食店とともに
⑪伝票作成のハウツー
SNSなどをみていて気になったのはテイクアウトやデリバリーを始めた飲食店の方が配送伝票を手書きや手打ちで悩んでいるのではないかということでした。
人的に頼る作業を効率することで、飲食業界全体にとって時間を節約し、美味しいものを作ることにフォーカスできるので良いのではないかと、おせっかいかも知れませんが、誰かの何かの役に立てればという思いで動画にて「ヤマト伝票↔Google フォーム」の作り方を公開しました。
⑫インスタライブ
「飲食店の未来を語りましょう」(#cs_miraifood)と題し、飲食店のシェフたちとインスタライブを行いました。僕自身は、飲食店も経営していますが、ただの、一(いち)チーズ職人です。料理人ではありませんが僕たちはチーズを通して、芯を持ったシェフたちとつながっているのが強みでした。お互いのインスタグラムを通じて、以下をメインの目的としてリスナーの皆さまともに未来の飲食店の姿を考えていこうという企画です。
1. 飲食の未来を考えることで様々なモヤモヤを解消する
2. シェフとの絆を更に強くする
3. お互いの考えをお互いのファンと共有する
4. リスナーも巻きこんで一緒になって考える
vol.1 5/4 Mon. 14:00~16:00 谷祐二さん(西麻布・NY/HOUSE)
vol.2 5/7 Thur. 21:00~22:00 米澤文雄さん(青山一丁目/ THE BURN)
vol.3 5/15 Fri. 20:00~21:00 原川慎一郎さん(新橋/the Blind Donkey)
vol.4 5/19 Tue. 21:00~22:00 石井真介さん(北参道/sincere)
vol.5 5/22 Fri. 21:00~22:00 吉野勝二さん(メルボルン/Amaru)
vol.6 5/26 Tue. 20:00~21:00 車田篤さん(原宿/THE GREAT BURGER)
vol.7 5/29 Fri. 21:00~22:00 森枝幹さん(渋谷/chompoo)
こんな素敵なシェフにゲストに来ていただけましたし、残り2回を予定しています。拙いモデレーターでしたが、自身もとても勉強になっています。
⑬広報業務
個人としても早いうちから自らの考えをnoteやTwitterでも発信していきました。
コロナ禍ですが、立ち止まっているのでなく(営業できないにせよ)、それに対してどう思い、どうアクションをしているのか。それを正確にどう伝えるかというのが重要だと思っています。こんな時は会社としての広報の仕事もとても大事になってきます。
今まで以上に広報Mと連絡をとりました。僕たちの現在の営業状況を正しく発信し、またチーズを通販してくれた方などとtwitterやインスタでのコミュニケーションをしっかりとってもらいました。
一旦、レシピの提供などがメインのオウンドメディアCHEESE STAND Mediaの業務を停めて、個人の編集をお願いしている江六前一郎さんを加え、想いをより強く伝えることに焦点をあてた公式noteをはじめました。僕以外の視点から書く想い、新鮮で良いと思っています。今も、こういう記事がいいよね、こうしたほうがいいよね、といったことを話し合っていて、続けて発信していきます。
見栄もプライドも捨てられた今、残ったもの
インスタライブのvol.1谷さんの言葉で「コロナのおかげで」というフレーズがとても耳に残っています。
インスタライブだって、新商品だって、コロナ以前にやろうと思えばやれたことでした。定期便も種類が少ないから、と言い訳をしてやらなかったこともありました。
けれどもこの1~2ヶ月は見栄をはらず、プライドも捨てて、何でもやってきました。心の支えになったのは負けたくない、という気持ちでした。耐性や行動力など、人間的にも強くなれた気がします。
ヘッダーの画像にあるような店頭ののぼりも以前だったら美意識に反してやっていなかったと思います。けれども売るということにフォーカスをあてたら、そんなことを言っていられません。コロナによって失ったものも多くありましたが、コロナのおかげで進化できたことがたくさんありました。
また、クラウドファンディングでも応援してくださった方お一人お一人に、毎朝メールする時間はとても幸せな気持ちとなりました。心を奮い立たせる事ができました。
そして、こんな時にチームであってよかったな、と思います。広報や、製菓の経験者、チーズ工房を任せられるスタッフ、バックオフィスで雑務を行ってくれたスタッフがいてくれたおかげで、1~2ヶ月で様々なことに着手することが出来ました。
他にもデザイナーのstudio-hさんには、こちらが急いでいるのを分かってスピード感のある仕事をしてくれたり、元スタッフが⑪のビデオを手伝ったりしてくれました。
近所の飲食仲間と話たりするのも息抜きになったし、前を向こうという気になれました。
先輩や仲間、お取引先の方、CHEESESTANDのことを好きでいてくださる方が共同購入で大量に購入してくださいました。また、たくさんの方がオンラインショップより注文してくださったことも忘れられません。本当にありがとうございます。(オンラインショップのご注文、お一人お一人までフォローが出来ませんでしたがご注文の一覧に目を通しています。)
6月からは菓子を作り続けながらも、通常の営業に戻り、僕自身もまたチーズ作りに専念していきたいと思います。
今後ともCHEESE STANDを温かく応援頂きますよう、よろしくお願いいたします!
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そして最後のお願いです。残り日数も僅かです。
目標金額を大きく超え、応援してくださった皆さまに感謝しています。
残り数日。引き続き応援いただければ幸いです!!🙏🙏🙏
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