空で待ってるんだ
一月の昼下がり
まどろみながら夢のなかにまぎれこむと
なぜかプラネタリウムにいる
受付には死んだ父親
お金を持っていない子供のぼくが
もじもじしていると
面倒くさそうにして
入場券をぽいと差し出してくる
懐かしいの父親の顔
デヴィッド・ボウイのスターマンが聴こえている
左の手のひらのiPhoneから
ギターをかき鳴らすデヴィッド
このままじゃ星の部屋には入れてもらえない
消さなくちゃ
つるつるの画面
指を滑らせても歌を止められない
焦れば焦るほど
画面はつるつると滑って、しまいにフリーズ
星になったデヴィッドのスターマンは終わらない
空でスターマンが待ってるんだ
ぼくは叫ぶ
もうやめて、デヴィッド
このままじゃ星を見られないじゃないか
星になったきみにも会えないよ
それでもリフレインは止まらない
空でスターマンが待ってるんだ
iPhoneを投げ捨てることもできない
途方に暮れる子供のぼく
気がつくと
受付の父親もいなくなっている
そこで、夢は終わった
空が涙に滲んでいる
揺れるハンモックでぼくの下敷きになったiPhone
いつまでも鳴りやまない
空でスターマンが待ってるんだ
一月の昼下がり
(注) 「空でスターマンが待ってるんだ」は、デヴィッド・ボウイの「Starman」の“There's a starman waiting in the sky”より。
☆バックナンバー:https://happyspot.jp/blog/theme.aspx?id=%81E%8D%91%97%A7%83%89%83%93%83u%83%8A%83%93%83O
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?