ボウイ
休日のシエスタ
夢の中にまぎれこんで
なぜだかプラネタリウムで
死んだ父親が受付に
ぼくはお金を持っていない
もじもじしていると
彼は少し面倒くさそうに
子供になったぼくに
入場券を差し出してくる
夢の中で
死んだデヴィッド・ボウイの歌が流れている
どうやら手のひらのiPhoneから
この音を消さないと
星の部屋に入れない
消さなくちゃ
焦れば焦るほど
iPhoneの操作がうまくいかない
仕舞いには画面がフリーズ
ボウイの歌は続く
もうやめて、ボウイ
ぼくは夢の中で叫ぶ
星が見られないじゃないか
星になったきみに会えないじゃないか
それでもiPhoneを投げ捨てることもできない
途方に暮れる子供のぼく
いつのまにか
受付の父親も居なくなって
そこで夢が終わった
目に涙が滲んだぼく
ハンモックがゆっくり揺れて
ぼくの下敷きになったiPhoneから
デヴィッドの歌が流れていた
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