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鹿屋

西脇順三郎の詩を読んでいる
休日の午後
ティーンエイジャーのころを過ごした町で
田舎にしてはびっくりするくらい
おしゃれなフレンチレストランで
ひとりのランチ
サーモン、鯛、豚を
チリとフランスのワインで
第三の神話
詩人のことばと料理とが交互に当時する

レストランの窓からは
ぼくか中学生のとき毎朝
自転車をこぎながら通学していたときに
見えたのとそっくりそのままの
高隈山が霞んで見える
この町で過ごしたぼくが
大人になって
フレンチレストランでひとりでランチ
白赤赤と三杯もワインを飲みながら
話し相手は西脇順三郎の詩と
ことばの向こう側にいる
きみのことを思いながら

ぼくは小説を書きたくなった
ぼくは音楽を奏でたくなった
ぼくはダンスを踊りってみたくなった
きみのために
きみに寄りそうために
きみのためだけに
きみのために

でもぼくにできることは
詩を書くこと
きみのために
詩を書くこと
書くことなんだ毎日
毎日、きみのために詩を書く
詩が書けるんだ

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