双子

 朝、気が付くと、双子は私の両隣に寝ていた。また今日も私の妄想が始まる。決して爽やかではない私の朝。窓を開ければただ冷たい空気と「アリと雪の女王」のメロディーが入ってくる。目覚ましのアラームに「アリと雪の女王」をセットしている人が居るのだろうかと、私は思った。深い意味はない。



 双子は女の子だった。どうしてこんなところにいるのか、私は双子に聞いてみた。わたしたちは遠くの国からきたの。と双子は言う。遠くの国からわざわざ来て、よりによってなぜ私の部屋に居るのか。あなたの隣でなら安心して眠ることが出来るからだと双子は言う。わたしたちは寝床を探していたの、そしたらあなたを見つけて。私は彼女たちにとってただのベッドだったのだ。どうして私の隣は安全だと思ったんだい?と尋ねてみたが、双子はどうしてかその質問には答えなかった。



 私たちは一緒に暮らし始めて一週間が経った。私はいつものように仕事をするために職場へ行き、夜になると家に帰って来た。そしたら双子が居た。ただそれだけのことを毎日繰り返していたら一週間が経った。私が職場に行っている間に双子が何をしているかは知らない。



 暮らし始めて八日目に双子の背中から何かが盛り上がってきた。それが羽だということに気づいたのはそう遅くはなかった。
「君たちは天使だったんだね」
「そうよ」
「双子の天使だね」
「そうよ」



 私が天使と一緒に暮らしていることを人魚の若松さんに言ってみたが信じてもらえなかった。だから他の誰にも言わないことにした。若松桃子は泳ぐことが得意だった。いつもスケスケの白シャツを着ていてブラジャーをしていないから、乳首がうっすらと見えていた。私はそれを見るたびに頭の角が熱くなった。私は一角獣なのだ。



 双子たちの発育はどんどん進み、女性らしさが増してきた。背中の羽が立派に生えて、見るからに天使らしくなってきたところで彼女たちは居なくなってしまった。彼女たちに恋をすれば良かったのにな、キスだけでもさせてもらえば良かったのにな、と後悔した。



 私はただのスケベな一角獣であるという、だだそれだけの妄想話であった。


( ´∀`)


 これを最後まで読んだ人は、よっぽど何もすることが無い人か、私に惚れている人だろう。

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