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朗読フリーの作品

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こちらにある作品は基本朗読フリーとなっています。 ※朗読する際はこちらのアカウントにDMでご連絡ください。(https://twitter.com/jamasin6) 語尾の変更…
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#ドリーム怪談

雪の降る土地には住まない

これは友人のBさんから聞いた話だ。
彼女が通った高校にある噂があった。

『雪の降る日に屋上に行ってはいけない。
明日に飛ばされてしまうから。
明日に飛ばされて、昨日に帰ることはもうできない。』

多くの生徒、少なくともクラスメイトはこの噂を知っていたはずだとBさんはいう。
ただ、そもそも屋上に行くための扉の鍵は締まっているし、大雪の日であれば休んでも大目に見てもらえるくらいには緩い学校だった。

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やまがえし

その日も私は暑い中での仕事を終えて、へとへとになりながら簡単な晩御飯の用意をしていた。
夏はなかなか去ろうとせず。暦の上で秋が来ても暑い日が続いていた。

ドンブリに冷めた飯を入れ、お茶漬けのもとをかけ、さらに冷水をぶっかける。
ついでに塩っ辛くて赤い梅干を一つ乗せれば完成する。
日中が外仕事だと暑さに負けて、冷たいものばかり飲んでしまう。
そうやって疲れた胃に重たい食事は入らない。
結局、一番食

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ある村の記憶(朗読:絢河岸 苺 様)

私が成人するまで住んでいたのはいわゆる、都会の田舎だった。
生活の一通りは近所で十分に揃い、東京が近いのが便利。
ただそれだけのところだった。
そこを離れて二十余年経つが、遠くに引っ越しわけでもない。
今でもたまに通りがかるが相変わらずあまり開けてはいない。
子どもの頃はそれがさらに顕著で、近所に養鶏場や小さな果物畑がところどころあり、最寄りの駅からは水田が見えた。

小学校低学年のころ、私は今よ

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