腸 love ヨーグルト! #ヨーグルトのある食卓
飲むヨーグルトは昔から好きだった。
でも、ちょっぴり高いので、しょっちゅうは手が出ない。
それに比べると、食べる方のヨーグルトって、安い。
400~500gのヨーグルトが、スーパーでは100円ほどで売っていることだって珍しくない。
安いから、というわけではないけれど、特筆するほど好きでもなかった。
そう、去年までは。
平成30年夏。
僕は胃がんをわずらい、手術を行った。
術前は、可能なら胃の1/3程度は残そうって話だったけど、結果的には全摘となった。
全摘だから、もう胃はない。食道の次は直接小腸になっている。
いまだに自分でもどうやって消化しているのかわからんのだが、まあ小腸が頑張ってるみたいだ。
胃がないからといって、特に何を食べてはいけないということはない。
とはいえ、この1年、食べるということにはかなり苦労をしてきた。
全摘したということに加え、抗がん剤治療の副作用もあって、胸焼けとか吐き気もあった。
空腹感、というものがなくなった。
だが、生きるためには食べなくてはならない。
とにかく食べられるものを、食べられるタイミングで、できるだけ食べるよう努力した。
それでも、手術前に67キロだった体重は、52キロまで落ちた。
もともと食べることは好きだったし、48歳という年の割には、若いときとあまり変わらず何でも食べられた方だった。
どちらかというと、食べ過ぎないようにいつも気をつけていた。
それが一転した。
食事を残す、ということのほぼなかった僕にとって、残さざるを得ないことは、思っていた以上にストレスのあることだった。
思うように食べられないことは、人とのつきあいにも不便のあることでもあった。
食事が苦痛でしかないという時期もあったが、生きるために痛みに耐えながら食べた。
食べたいと思うものがあっても、受け付けるかどうかはわからなかった。
不思議だが、日によって受け付けるものが変わる。食べてみて、今日はダメだ、ということもあった。
あっさりしているものなら受け付ける、とは限らないのが難しいところで、たとえば冷たい緑茶がダメになった。
コーヒーもウーロン茶も大丈夫だし、温かい緑茶も全然大丈夫なのに、冷たい緑茶だけダメ。
下手をすると数時間、痛みにもだえることになった。
意外にカレーライスとかラーメンは毎回ほぼOKだった一方、焼きそばやトンカツは何度も挑戦してほとんどダメだった。
しかし、そんな僕にも、どんなに調子が悪いときでも食べられるものがあった。
何度食べても、たくさん食べても、ただの一度も僕を苦しめることがなかった食べ物。
そう、それがヨーグルトなのだ。
どうしても食べる気がしないときは、とにかくヨーグルトを食べてきた。
妻がいろいろと考えて食事を用意してくれても、受け付けない場合もあった。
そんなときは、ヨーグルトに切り替えた。
大きなパックの2/3くらいを一度に食べることもあったけど、大丈夫だった。
バナナを入れた。
リンゴを入れた。
桃の缶詰を入れた。
みかんの缶詰を入れた。
ブルーベリージャムを入れた。
いちごジャムを入れた。
ハチミツを入れた。
ナッツを入れた。
シリアルを入れた。
シナモンパウダーをかけた。
いろいろとアレンジできるのも、ヨーグルトの魅力だ。
何を入れてもおいしく食べることができた。
ところで、試行錯誤の末に気付いたことがある。
以前はそれほどまで好きでなかった食べ物なのに今は随分好きになった食べ物。
いくら食べても、ただの一度も痛くならない食べ物。
それが、ヨーグルト以外にあと2つあるのだ。
それは、納豆とキムチ(特にカクテキ)。
こいつらも、無敗、無失点なのだ。
ヨーグルト、納豆、キムチ。略してYNK。
防御率0.00をずっと維持している、まさに勝利の方程式といってよい。
だから、会社に持っていくお弁当は、比較的最近までずっと、毎日 「ごはん+カクテキ+納豆」 だった。
しばらくして気付いた。
これってつまり・・・発酵食品ばかりではないか。
わかった。
黒幕は腸だ。
僕の腸が、発酵食品を求めているのだ、きっと。
腸が、陰の監督として采配をふるっているのだ。
食事の好みも、腸の言うとおりに変わってきてるのだ。
腸 love ヨーグルト!
腸 love 発酵食品!
3月、僕は胆のう炎を起こした。胃を摘出した影響らしいし、やむを得ない。
4月、胆のうも摘出した。
が、これを期に抗がん剤の服用をやめることになったおかげか、食欲はぐっと上がってきた。
このGWぐらいから、飛躍的に自由度が増してきたのだ。
肉を食っても重たくない。揚げ物も大丈夫。冷たい緑茶だって飲める。
食べるペースには気をつけないといけないけど、食生活は大きく改善したのだ。
何でも食べられるようになり、お弁当もおかずが増えた。
何でも食べれるから、元気もいっぱい出てきた。
おかげで仕事のパフォーマンスもかなり良くなってきたと思う。
体重も一時より数キロ増えた。
やっぱり、食べることは生きることの源。食べられるってことに感謝しなくては。
その今日を導いてくれた、一番の貢献者。それは、ヨーグルトなのだ。
何も食べられなかったとき、ヨーグルトのおかげで、食べることを続けることができた。
感謝の気持ちとともに、いつもよりリッチなヨーグルトを食べる日曜日の朝であった。
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