見出し画像

UNSUNG HEROES ー Vol.3_鈴木 啓太 ジョシュア

アンサング・ヒーローズ。名も無きヒーローたち。シャイニングアークスにも、普段スポットライトを浴びることなく選手を陰で支える、縁の下の力持ちとも言えるスタッフがたくさんいます。そんな彼らに、少し陽の当たる場所に出てきてもらうシリーズ企画です。第三回目の登場は、通訳の鈴木 啓太 ジョシュア氏。

静岡生まれの静岡育ちが、母の母国へ

生まれは静岡県です。母がニュージーランド人で、毎年クリスマスとお正月はニュージーランドで過ごしていました。日本で高校を卒業してニュージーランドの大学に行く前は、英語に関しては基本的な日常会話ぐらいしかできないレベルでした。家での会話は、ほぼ日本語でした。母も結構日本語がうまかったのですが、怒るときだけ英語になりました。笑 

大学卒業後にそのままニュージーランドに残り、車ディーラーの保険とローンの営業とか年金関係の仕事をしていました。現地ではタッチラグビーをしていたのですが、その繋がりの知人から「ラグビーの通訳に興味ある?」と誘われて、いろいろな日本のチーム関係者と話をしました。そして、最終的にシャイニングアークスに決まりました。その誘いが無ければずっとニュージーランドで暮らしていたと思います。

画像1

通訳の面白さと難しさ

2018年の4月から通訳としてシャイニングアークスで働き始めました。ラグビーの試合はニュージーランドに行ってからたくさん観ていましたし、自分自身もクラブでプレーしていましたので、ある程度のラグビーへの理解力は持っていました。ただ通訳としての経験はゼロでしたので、最初はすごく苦労しました。ラグビーチームでみんなの前で話すことももちろん初めてでしたので、最初は自己紹介ですら緊張してできないぐらいでした。いろいろと助けてもらいながら、2,3ヶ月過ぎた頃からみんなの前でも普通に通訳できるようになりました。

通訳の仕事の面白さはたくさんあります。誰かの言葉を他の誰かに伝えないといけないのですが、そのためにはコンテキスト(文脈)がいちばんん重要だと思っています。その人が普段から考えていることだとかそこに至るまでの経緯だとかを踏まえて発言の趣旨を理解しないと、正確に想いを伝えられないと思います。ですから、その人を深いところまで理解することが、通訳していて面白みを感じるところです。例えば戦略であったりその時々のチームの状況などを伝える時に、いろんなことを踏まえて通訳することは面白いと思います。

感情はできるだけそのまま伝えるようにしています。ただ難しいのは、例えばコーチがすごく怒っていても自分は別に怒っていないという場合があるわけです。でもできるだけそこにフィルターはかけないで、気持ちまで伝えるようにしています。時として自分では言いたくないことであっても、強い口調にして伝えなくてはいけないこともあります。

スポーツの世界での通訳という職業は、自分にすごく向いていると感じています。また、自分はバスケットとかゴルフとかいろんなスポーツが好きなので、将来の目標としては、他のスポーツも含めて積極的にチャレンジしていきたいと思います。

画像2

コトバの違い、文化の違い

英語か日本語かどちらの言語で考えるかは、状況によりますね。周りが日本語を喋っていれば日本語で考えますし、英語を喋っていれば英語で考えます。ただメモは英語で取ることが多いです。英語のほうが書きやすいんです。日本語は画数が多いので、メモを取る時は英語のほうがサラサラ書けます。

コミュニケーションに関しては、自分の強みの部分だと思っていますし、積極的にいろんな人に話しかけています。今はコロナ感染の問題で難しいのですが、日本人も外国人も一緒にご飯を食べに行ったり、外国人とルーキーとが一緒に何かするだとか、もっとオフ・ザ・フィールドでもコミュニケーションを取る機会を自分から働きかけて増やしていくことができたら、チームとしての絆がもっと深まるんじゃないかなと思っています。

ニュージーランド人と日本人の違いに関して言うと、ニュージーランド人はいつもリラックスしています。計画を練って何かやるというよりも、その場その場の発想というか、適応力が高いと思います。逆に日本人は計画を練って行動を起こしたり、計画されたものを遂行するとかの能力がすごく高いと思います。そこでギャップが生じることがあるかもしれません。もっとフリーにやりたいというニュージーランドのスタイルと、細かいところまできっちりと決めたいという日本人のスタイルの差はあるかもしれません。

画像3

シャイニングアークスらしさ

シャイニングアークスの特徴は、選手もスタッフもみんなすごく優しいところですね。チームに来た時から感じていますが、みんな受け入れてくれました。みんな興味を持って話しかけてくれるし優しいし、すごく助けられました。

今シーズン特に観て欲しいところは、もちろんダイナミックに展開するアタッキングラグビーなのですが、それは他の人も言うと思いますので(笑)、そうですね、テレビなどリモートで試合を観る機会があったら、コーチ陣が用意してきた特別なサインプレーが決まった時やトライの後に、コーチングボックスが映し出されることがあるんですけど、そこには満面の笑顔があったり、ほっとした表情が見えたり、いつも怖いコーチが子供みたいに喜んでいたりしますので、そういうところも注目していただけると面白いと思います!笑

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?