<高校野球の名監督も学校組織の一員>

先日、「ベースボール・クリニック」という専門誌で、報徳学園時代に甲子園で23勝を挙げた日大三島の永田監督を取材した。
本題を離れた雑談の際、永田監督はこんな話をしてくれた。
「赴任したばかりの頃、ユニフォーム姿で職員室にいると、同僚の先生から  『遠く(兵庫)から来られたそうですね。永田先生は野球が本当にお好きなんですね』と言われましてね(笑)」

その先生はさほど高校野球に関心がなく、永田監督が名将であることも、日大三島の甲子園出場を託されてやって来たことも知らなかったようだ。
だが永田監督は「それが学校の常識」ととらえ、OBではない「外様」の監督として、まず1人の教員として様々な価値観を持つ同僚の先生から認めてもらえるよう、努力をしたという。今年還暦を迎えるが、他の先生と同じだけ授業を受け持ち、担任もした上で、土日の休みもなく、野球部の指導をしている。

昨春は日大三島にとって38年ぶりのセンバツ出場に、昨夏は33年ぶりの甲子園出場に導いた。センバツ出場が決まった時は、前述の先生から「永田先生は有名な方だったんですね。先におっしゃってくださいよ」と言われたそうだ。

学校職員の人もいるが、高校野球ファンの間では強豪校の監督としてよく知られている人も、当然ながら、学校という組織の中では1人の教員。

永田監督に限らず、強豪校の監督さんの中には、学校から応援される野球部になるために、いろいろな価値観を持っている同僚の先生とも良好な人間関係を築いている方が多いようだ。

間もなくセンバツが始まる。甲子園で脚光を浴びる名監督も、高校野球ファンが見えないところで、組織の一員として奮闘している。

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