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常識を超えて相手に合わせる
相手に合わせることは、心や気持ちを扱う対人サービスではとても重要です。
対人サービスだけでなく、すべての仕事において、お客様一人ひとりのご要望に合わせること、一緒に働くすべての人の特徴に合わせていくことは重要です。
それは普通に相手に合わせるだけでなく、常識を超えて合わせるくらいのことをして、初めて本当に相手に合わせたことになります。
非常識に相手に合わせる対応をしてくれたときに、「自分のためにそこまでしてくれるのか」という感動が生まれます。
今日はそんな常識を超えて相手に合わせるエピソードを紹介いたします。
深夜の求人応募
求職者の方から求人募集への応募が夜22時に届きました。
一般的に22時以降は深夜時間であり、深夜にメールのやり取りをするのは非常識ですが、相手はこの時間が空いているから連絡して来たのだろうと考えて、スマホから応募受付メールを返信しました。
深夜のプライベート時間なので遠慮や躊躇う気持ちもありましたが、ここは相手に合わせようと決めて行動に移しました。
すると、また相手から返信が来て、何度かやり取りして面接日が決まり、後日面接をすることになりました。
これを「もう遅い時間だから、明日の日中に応募受付メールを入れよう」としていたら、もしかすると、その求職者は勤務中でメールが見れず、他のメールに埋もれて気付かなくなるかもしれませんし、他の募集を見つけてそちらに応募しているかもしれません。
応募受付に対して連絡が途絶えてしまうことが多い昨今において、深夜でも相手に合わせてメールをすぐに返信するという非常識が功を奏しました。
看護師でない職員の緊急訪問
他にもこんなことがありました。
深夜の2時に事務所の電話が転送されて、携帯電話が鳴りました。
それはパーキンソン病を患う利用者様からの訪問看護ステーションへの緊急電話で、体が動かなくなってしまいベッドまで起こしてほしいという電話でした。
パーキンソン病は神経難病であり、突然体が硬直してしまい倒れて動かなくなってしまうことがあります。
その利用者様は今まで深夜に動けなくなるといったことはありませんでした。
本来緊急電話対応は訪問看護師が行うことになっていますが、その利用者様は大柄な男性のため、女性看護師では体を持ち上げるのが難しく、判断に悩んだ末に私一人で訪問しました。
看護師でない職員が緊急対応するというのは本来の対応方法ではなく、ある意味常識を超えて、相手に合わせた対応をしたと言えます。
保険制度は利用できないので、サービスで行ったわけですが、深夜遅くに来てもらったことに利用者様は大変感謝されておりました。
熱帯夜だったので私を気遣って、帰り際に飲み物を持たせてくれようとしましたが、そこは丁重に遠慮させていただきました。
温泉旅館の利用時間
温泉旅館に泊まりに行った時のこと、渋滞で到着が夜遅くなってしまい、楽しみの温泉の利用時間30分前に旅館に到着しました。
部屋に荷物を追いて、小さな子供たちを抱えて急いで大浴場に行くと、もう終了10分前で閉店の音楽が流れていました。
「せっかく来たのにもう終わりかー」と諦めかけていたその時、旅館の女将さんが来て、「もう1時間開けておきますので、ゆっくりご入浴ください」と言ってくれました。
疲れた身体もその一言に元気が出て、子供たちも大はしゃぎで屋外風呂にかけていきました。
事前に渋滞で遅くなることを連絡していたので、到着前からあらかじめ配慮してくれていたのかもしれません。
閉店時間や作業ルーティンは決まっていて、そこから後片付けや清掃業務などあったでしょうに、私たち家族のためにそこまでしていただいたことが嬉しく粋に感じました。
感謝しながら星空を見て入った温泉で、渋滞の運転で疲れた身体がしっかり癒されました。
またあそこの温泉地に行くときは同じ旅館に泊まろうと決めています。
常識を超えるとファンになる
これらの例のように、相手に合わせることをしようとすると、ルールや常識、規則や規範、約束事や決まり事を破って対応しなければならないことがあります。
普通なら迷惑される、常識的にやってはいけない、非常識なことに受け止められますが、法令遵守している限り、相手がよければ問題ないことですし、すべては相手次第です。
そこでルールや常識に縛られると行動することはできません。
しかし、現実にはルールや常識に縛られて、それを忠実に守ることを善だと考える人もいます。
「規則なので対応できかねません」と言われた時、どれだけ気持ちが落ち込むことか…
人の心より大事なルールや規則など存在するのでしょうか。
それでは、本当に大切な本質的なこと、何のためにこの仕事をしているのかという目的を見失ってしまいます。
自分の我を捨てて行動することで、相手に合わせることができ、相手から喜んでもらえます。
普通はプレゼントをあげると人は喜ぶだろうと思っても、相手によっては迷惑がる人もいます。
普通はお金をあげて頼みごとをすると人はやる気になって頑張るものですが、相手によっては疑いを持つ人もいます。
自分が普通と思う常識は、目の前の人に通じるのかどうかを見定めないと、せっかくの好意が逆効果になります。
それには自分の視点、自分の我を捨てて、相手に心の矢印を向ける必要があります。
神社の本殿には、御神体として鏡が置いてあります。
御神体を拝むとそこには自分の姿が映っています。
それは神がそれぞれの人の中にいることを暗に示しているのです。
かがみは、我を取り除くことで、人の中に眠る内神様が目覚めることを教えてくれます。
我を捨てて相手に合わせて取る行動は神的行動です。
ルールや常識、規則や規範、約束事や決まり事を破って対応することは、相手に感動を与えます。
そして、感動した人はファンになり、リピーターになってくれて、「あそこはこんなことをしてくれたんだよ」と周囲の友人、知人に口コミを拡げてくれます。
そうすると、新たなお客様がまた増えて来ます。
相手を驚かせたら勝ち。
人は感情で動く生き物です。
感動すると心が動き、心が動くと経済が動きます。
ルールや決まりごとに囚われず、常識を超えて相手に合わせることが、成功の扉を開ける鍵なのです。
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