【ラグビーにおけるワークロードモニタリングについて#3】データを加工する上での準備とレポートの共有
◆はじめに
今回の記事では、GPSデバイスから抽出したデータの処理について説明します。
ダウンロードしたcsvファイルをもとに、最初に行っていく下準備とレポートの作成方法が主な内容です。
データを集める際、定義を決めることでシーズンを通して信頼できるデータが蓄積していきます。
*本記事におけるデータは全て架空のダミーデータとなっています
◆GPSのデータをどう使っていいか分からない
前回の記事ではモニタリング項目を選定すること、ExcelやLooker Studioを用いて自身でデータを処理することについて触れました。
ラグビーにおいて、一部の大学と殆どの社会人(リーグワン)クラブでGPSのデバイスが利用されています。
まず、何よりも優先すべきは"GPSデータで得た情報をどう利用するか?"をS&Cのみならず、他のスタッフとも共通理解を持つことです。
個人の負荷をマネジメントするため、またチームにおける大枠の負荷をマネジメントするため、と目的が決まっていれば、測定項目や共有する方法は自ずと決まってきます。
"この値が高くなると怪我をする可能性がある"などの仮説を立てて、急激に値が高まることを出来るだけ回避していくことが重要です。
◆チーム平均のモニタリングについて
チームの平均値をモニタリングするにあたって、平均値の定義を決めていきます。
ラグビーはポジション以外にも FW / BK という区分や、FWをFront Row / 2nd&3rd Row と分けたり、様々な分類があります。
所属するチームの戦術や各分類の試合における役割によって、その分類方法は変わってきます。
ラグビーコーチと話し合い、同じような役割のポジションで1つのグループを編成できることが望ましいです。
自分たちのチームにおいて時系列に沿った変化を評価していきたいので、その意図に合ったグループの編成をしましょう。
また、チームの平均値をモニタリングする意図として"そのポジションにかかっている負荷を一般化する"があります。
そのためには、練習に部分参加している選手や怪我人の値を除外します。この作業は手間がかかるものですが、非常に重要なポイントです。
表計算ソフトなどで平均値を算出する際は、定義から外れた値を除外する作業も併せて行うことになります。
練習に全て参加している選手の値が外れ値になることと、部分参加している選手の値が外れ値になることは、全く意味が異なります。
◆レポートの共有について
Looker StudioやExcelのPivot graphにてダッシュボードを作成すると、データを更新するたびにリアルタイムでダッシュボードのグラフが更新されます。
一画面で多くの項目を確認するには最適ですが、何にフォーカスして良いのか分かりにくくなってしまいます。
上記のダッシュボードは、各選手における1週間ごとの負荷に(強度とボリューム)を把握する為のものです。
ダッシュボードで作成したグラフをスクリーンショットして、プレゼンテーションのスライド(Power PointらKeynote)に貼り付けることで、更に加工が可能になります。
注目して欲しい部分を強調したり、ダッシュボードでは作成出来ない要素を後付けで色々と足せば、思い通りのスライドに出来るはずです。
今回は非常に地味な作業ながら、質の高いレポートを作成する上で抑えるべきポイントについて書きました。
次回は実際にLooker Studioを使って、csvファイルからダッシュボードをつくる作業について実践していきます。
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