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日記を集めたドキュメントという形で復刊させた「Youngtree Diary」

 前回に続き、13年ぶりに復刊させようとしているYoungtree Pressの話だ。ちょうど数日前に第一刷りが仕上がったばかり。印刷と違ってオンデマンドプリンターは、もともと製版がないから初版とか言わないのかもしれない。初刷といった方がいいのかもしれない。これからの販売方式を模索するため、そして、今回の参加者たちにサンプルとして一冊ずつお渡しするために合計20部刷った。

 この20部を初刷としたらもう次は第二刷りになるのか。この辺はかなりいい加減な話になりそうだ。ファーストエディション20部とかにした方がレア度が増すかもしれない。あまり気にする必要はない。そもそも売れるかどうかは全く未知数だから。しかし買ってくれる人にとっては他の本と同じように価値のあるものになってほしいと思っている。

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 また話が本題から逸れていきそうだから、早めに戻しておくと、復刊第一弾のテーマは日記だ、本のタイトルもYoungtree PressからYoungtree Diaryに変更した。知人友人他合わせて15人による去年2020年後半の半年分の日記をまとめて時系列に並べてある。彼らが撮影した写真もサイズは小さいが入っている。そして本人たちのポートレート。ちなみに「Youngtree Diary #2」は今年の秋に出す予定。内容は今年の頭から6月末までの半年分の日記。当初は一年分をまとめて一冊にしたかったのだが、プリンター付属の自動製本にページ数の限界があって、半分ずつ分けることになった。結果的には内容も分量もとてもいい感じに仕上がったと思う。

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 コロナ禍に入って、どうしても気になってしまう、知りたくなってしまうのは、いつ終わるのかということだ。もちろん「新しい生活様式」など提案されてきているが、元の生活に戻るかどうかというよりも、いつコロナに関するニュースをテレビやインターネットで聞かずに済むようになるのかということだ。この「いつ」という日がいつか来ることを皆期待しているはずだ。だからこそ、来たるべきその日がやってきたとき、そして後々のための日記なのだ。日にちをつけた文章は記録だ。記録は残しておかなければならない。インターネット上にではなく、紙の上に残すことを選んだ理由は前回書いたから省く。

 ニュースやメディアで取り上げられるコロナ禍の状況はとても厳しいし、恐ろしくもある。しかしその中でも日常における個々の感情の変化や、日々の営みは続けられている。そのことを表現、記録しておくのに日記という手法はとても効果的だと思う。数年後、数十年後に振り返った時、「2020年の頭から数年間はコロナ禍」という認識だけでスルーされないようにしたい。全くいつも通りではないにしても、コロナとは関係なく、それぞれの人生はバライティーにとんでいたということを記録しておきたいと思ったのが、これを始めた理由だ。この時期の日常の機微や人生のアップダウンはたとえ関係があったとしても、その全てをコロナのせいにはできない。

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写真家の若木信吾です。 写真に関するあれこれです。写真家たちのインタビューや、ちょっとした技術的なこと、僕の周辺で起こっていること、それら…

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