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聞こえの困りごとを解決する「音が目でわかるプロダクト」の体験会が良すぎた!!

2年ほど前から、聴覚障害者向けの「音が目でわかるプロダクト」を開発しています。
開発を始めたのは、僕がちょうど40歳になり、始めての子供が生まれ、コロナウィルスが流行しだしたタイミングでした。

相互探求の文化づくり

「音が目でわかるプロダクト」の開発と社会実装をとりくむにあたり、僕がもっとも大切にしていることが

"相互探求"

です。

この言葉は、PLAYWORKSさんが実施していた視覚・聴覚障害者との共創というオンラインワークショップに参加させていただいた時、リードユーザーである当事者のお一人がおっしゃっていた言葉です。この言葉に僕はとても共感しました。

その方はたしか、「相互理解はできないが、相互探求はできる」と言った感じのことをおっしゃっていたと思います。
コロナ禍により社会が断絶された中に開催されたZoom越しのワークショップでしたが、その影響で何かしらのコミュニケーションが促進されたと感じた瞬間でした。

その時から、音が目でわかるプロダクトの開発と並行して、相互探求をどのように進めれば良いのかを考え続けています。
相互探求は、1人ではできません。いろんな人といろんな違いを知っていき、社会をつくる礎にしていくことが大切です。

相互探求をしながら社会をつくる

ですので、「音が目でわかるプロダクト」は、「相互探求の文化づくり」という活動と両輪で行っています。
相互探求の文化づくりはまだ始まって3ヶ月ほどの活動ですが、2023年4月時点で20名以上のプロボノメンバーが参加してくださっています。

相互探求の文化づくりは、

  1. 自分以外の存在とつながる

  2. 自分以外の存在を知る

というとりくみを、社会に根付かせることだと考えています。障害や苦手の有無もそうですが、まだ社会にはあらわになっていない困りごとや困難が多く存在しています。
ある人には常識でも、ある人には知る由もなかった困難や価値がこの世にはたくさんあります。
そういったことを、相互探求しながら、良い世界をみんなでつくろうとする意識ってとても素敵なことだと思いますし、AIが社会づくりに強く影響を及ぼしていく今後の世の中において、核心的に必要な価値観であるとも思います。

音が目でわかるプロダクト体験会

相互探求の文化づくりチームは、不定期的にミーティングを行っています。
プロダクトづくりが得意な人、聞こえに困りごとがある人、聴覚障害者を接客して何かを感じた人、いろんな方がチームに参加しています。

「音が目でわかるプロダクト」は、自分に届く音を視覚刺激に変換して、直感的に音がわかるシステムです。
すでに、聴覚障害者の方々にも触っていただき、有用性の確認と、特許登録も完了しています。
体験会では、相互探求の文化づくりチームでそのプロトタイプを触ったり、聞こえに制限を設けてボードゲームで遊んだりしてみました。

体験会の目的は、プロトタイプへのフィードバックを得ることもありましたが、もっとも重要視したことは、「聞こえの気づき」を広げることです。

音を聞くデザイン

社会は音から情報を得ることが前提でデザインされています。それがあまりにも当たり前すぎるため、聴者は無意識的に音からの情報を得ることとなります。
本体験会では、

  • プロトタイプを通して音を視覚刺激として聞いてみる

  • 外部音が聞こえない状態でウソを見やぶるボードゲームをする

という体験を通して、人は"聞く"ということから何を感じ取っているのかの気づきを広げていきました。

音を視覚刺激として聞いてみると、音の認知がいかに複雑であるかを感じることができます。
外部音が聞こえない状態でコミュニケーションを行うと、声に伴う感情表現などの非言語情報にいかに頼っていたかが分かります。

体験会に参加してくださった方々からは、無意識的に音から感じていることの意味の大きさや、外部音が聞こえない状態だとどのような差異が発生するのかを、実体験として感じていただきました。
短い時間の体験会でしたが、相互探求の文化づくりの一助になることと思います。

人と世界のなめらかなつながり

人は一人一人が違う現実を生きていますが、私たちは共通の社会や文化の中で生活をしています。音が目でわかるプロダクトは、広い世界の中で小さなたった一つのモノかもしれませんが、モノは、社会の中で使用されながら私たちの内面をつなぎ世界を形づくっていきます。

つまり、よい世界をつくるためには、相互探求をしながら、人と社会の関係性を知り続けることが大切なのです。
音が目でわかるプロダクトを通して、私たちはモノだけでなく、目に見えない大切な何かも社会実装していきます。

「音が目でわかるプロダクト」「相互探求の文化づくり」に興味が湧いた方はぜひ気楽にご連絡ください。


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