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みんな違う現実を生きている。相互探求の文化づくりワークショップで、聴覚障害者と暮らす家をつくる。

相互探求の文化づくり

先日、「筑波技術大学のみなさん」と
「音が目でわかるプロダクトのチーム」で、
ワークショップを行いました。

相互探求の文化づくりというワークショップです。
大変おもしろいワークショップでした。
本記事で、相互探求の一端を
知っていただけたらと思います。


相互理解はよく聞きますが、
相互探求は聞かないのではないでしょうか?

相互探求は、
一人一人が違う現実、
違う価値観で生きている世界において、
良い社会をつくるために必要な文化です。


筑波技術大学

筑波技術大学は、視覚・聴覚障害者のための国立大学です。
情報システム・先端機械工学・建築・デザイン・保健福祉などを得意とする学生が多くいます。

また、視覚・聴覚の困難を持っているが故の、
独自の視点で世界を見ている学生たちの感性は、
これからの社会をつくる一員として
大変な活躍をしていくことでしょう。

彼ら彼女らと共にワークショップをすることは、
音が目でわかるプロダクトのチームにとっても大変勉強になります。

ワークショップ「相互探求の文化づくり」

グループワーク1

自分たちにふさわしいグループ名を筆談で相談している様子

聴覚障害者、聴者、オンラインの各参加者が、
一人は必ずチームに入るようにグループに分かれ、
自分たちのグループにふさわしいグループ名を考えました。

各グループには、聞こえの状態、日常における会話方法の違い、持っているアプリの違い、オンラインコミュニケーションの慣れの違いなどが存在しています。

そのような状況の中、いかにコミュニケーションを行うかがポイントとなりました。

みなのコミュニケーションのスキルや手段は異なるのですが、
相手のことを知りたい
自分のことを伝えたい

というモチベーションが大事になります。
その想いをもとに、各グループ、筆談・チャット・口話などで工夫して、
魅力的なグループ名が生まれました。

誕生したグループ名

  • 走れ上腕二頭筋

  • Apple Boys

  • グループA4

  • HANDSIGN信奉者

  • ごたごた会

不思議と、どのグループの雰囲気にも
とっても合っている名前だと感じました。
グループメンバーの価値観や好みを、
楽しみながら探求できました。

グループワーク2

とあるチームの家の模型。テクノロジーが意識されています。

グループワーク1と同じグループメンバーで、
グループの皆が一緒に楽しく暮らせる
2030年の家を作りました。

2030年なので、
空想のテクノロジーを使うことが許されています。
わり箸や画用紙などを使いながら、
家の模型づくりと、説明資料づくりを
グループみんなで話し合いながら協力して行いました。

グループ内のコミュニケーション方法は様々です。

音が聞こえない人
発話が苦手な人
オンライン参加のため実作業ができない人

模型を作るために、
「そっち側を持って」
という内容を伝えるのにも、
相手と自分の個性を考えながらコミュニケーションする必要があります。

グループの皆が一緒に楽しく暮らせる家づくりは、
まさに相互探求の心なくしてはできないグループワークであり、
みなが時間を忘れるほど、
とても楽しく作業することができました。

音が目でわかるプロダクトのプロトタイプ体験

最後に、音が目でわかるプロダクトの開発チームが用意した
原理試作プロトタイプを少し体験しました。

みな大変興味深く音を目で見る体験をしたようで、
いろいろな音を視覚刺激に変換して楽しんでいました。

ワークショップを終えて

オンラインの人も現地の人も同じ目標に向かって相互探求!

すごく単純な感想なのですが、
みなが一様に言っていた
「楽しかった」
という純粋な気持ちが滲み出ていたのが印象的でした。

普段自分が行わないコミュニケーション方法だとしても、
普段自分がやりとりをしないタイプの人たちと
一つの目的を共有しながら相互探求をすることは、
プロセスそのものが楽しく、
お互いの尊厳を深めることができます。

相互探求は文化であり、心です。
未来のゆたかな世界をつくるために、
相互探求が社会と人に根付くことを目指しています。

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