嵐の中の網お越し

漁師生活が始まって約1か月半。これまででも「こんなシケの中でも操業するのか」と思うようなシケの中で定置網・底建網の網お越しを経験しました。先輩漁師も「今日は起こすべきじゃなかった。網が痛んだ」と言うレベルの日もありました。

漁師の生産手段として網を痛めたりするのも問題ですが、何より体が資本。体を壊したり、命の危険にさらされるリスクも高まるのがシケの中での操業です。

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今日は陸上平均風速9mが予報された中での定置網お越し。波も2m超えていただろうものもある中で、船上活〆に作業をしていたところ、たぶん300kgはある、〆た魚の脱血タンクが大波の時にずれ動く瞬間がありました。それが船べりで袋網を見つめている親方の方向にずれたものだから、「親方危ない!タンクが突っ込む!」と叫ぶんだとき、親方も驚いて身構えたのですが、運よくタンクは止まったので位置を戻して水を多めに継ぎ足しながら活〆作業を再開して下を向いて作業をしていると・・・。

「うおぉおお~!!!!」

再び大波で船が大きく揺れた時、親方だすごい声で叫びました。驚いてみると、脱血タンクに水を注ぎながら血にまみれに見える腕を抑えている姿が。マキリで腕でも刺したか!?と思ったら、「クロソイがぶっ飛んできて背びれがカッパ(分厚い雨具)の上から刺さってきた!痺れる!!」

クロソイと言う魚の背びれなどの棘はとても鋭く、刺耐性のあるマリングローブの上からでも平気で刺さってくるのです。しかも、どうやらその棘は細かい返しがついているのか、痺れるような痛みがしばらく続くものなのです。そんな小さな一刺しでも、脱血された海水にまみれているものだから、大惨事かと肝を冷やしました。

そして、魚倉で作業していた先輩漁師が、選別するためのカゴをくれと要求。そっと渡そうしたら、勢い余って頭に直撃。2kgはある篭なのでこれも痛恨の一撃に。

とまあ、シケの中の漁業は危険と隣り合わせであり、こんな時に数百kg分の魚を活〆する作業は本当に大変。以前にも別の船の船上作業確認で一緒に荒波の中作業したことはありましたが、乗組員となった中での動きは違いますからね~。

無事に帰ってこれて、寿都神社の神様に感謝!



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