見出し画像

屋久島に行ってきた話①

平社員の身分を最大限に活かして上司に仕事を押し付け、三日間の有給を捥ぎ取ってGWに屋久島を訪れた。
今回の訪問は実に7年振り4度目となる。

沖縄にも石垣にも行ったことがないのに、屋久島に行く回数だけが増えていく。何故ならば「好きだから」なのだが、正直なところ何故好きなのかは未だにわかっていない。
そうして屋久島の虜となっていく者のことを巷では「ヤク中」と呼ぶらしい。その成れの果てが移住者であり、登山などのガイドを務めるほとんどの方がこれに当たるそうだ。

島民はさほど屋久島の山々には興味が無く、一度も登山をしたことが無いどころか、有名な縄文杉を見たことすら無い人もいるというから驚くばかりだ。子供たちも何故こんな辺鄙な田舎の島に多くの観光客がやって来るのか不思議に思っているが、やがて大人になって島を離れた後に、その魅力を理解するようになることも少なくないとか。

先述の通り、前回の訪島は7年前なわけだが、実は僕が写真に力を入れ始めたのは6年前からであり、写真を撮ることを目的とする訪問は今回が初めてとなる。4度目ともなれば、凡そ行きたいところには既に訪れており、里の様子にも詳しくなってきている。だからこそ、この度は目的をより明確にして島を歩くことにした。

今回の記事はそんな僕の4度目の屋久島訪問3泊4日に体験した様々な出来事や体感した思い、不思議な出会いなどについて旅道中の写真を添えながら幾度かに分けてまとめてみようと思う。なお、本命の写真たちについてはここで触れることは無い。それはまた別の機会に。

どうか気楽に読んでいただければ幸いだ。


1日目|出発と到着

出発日、夜更けまで降っていた雨は止んで仰ぐ一面の曇り空。
どこで雨を被っていたのか経由地の鹿児島行きの飛行機の窓は濡れている。
伊丹空港から屋久島までは直行便が出ているが、本数が少なく値段も高い。
鹿児島で飛行機を乗り継ぐ経路が最安値。

上から街を見下ろすといつも思う。人の手とは恐ろしいものだ。
これを全部作っているのかと思うと気が遠くなる。
全ての土地が人間によって管理され、全てのライフラインを誰かが牛耳っている。地球が人工の惑星ならまだしも、本当に支配も良いとこだ。少しくらいわかりやすい形で宇宙からの侵略を受けるくらいの方が、世界は平和なのではないかとさえ思う。

鹿児島空港に到着してから次の出発までは30分足らず。天候不順により、引き返す可能性もある条件付きフライトだ。どうせ初日は特別やることもないのでどうにでもなればいい。

空港に必ずいる、次に搭乗する飛行機を撮る人。
まったく、それが何だというのか。いつも乗るものと大して変わらないでは…

…いいじゃないか。

何事もおごらずに新鮮な気持ちを忘れてはいけない。
写真を始めたころ、様々なものを再発見する喜びに出会ったことさえ既に忘れかけてしまっている。
僕はここでサブバッグに収納していたGRをズボンのポケットに入れることにした。

円安の影響でどこもかしこも外国人観光客が多い。
屋久島行きも類に漏れず、案外日本の観光地先として海外で紹介されることも多いようだ。トレッキングシューズすら日本で調達したのかと思うほどにまっさら(関西弁)のものを履いている人が多い。こちらの男性は脱いだスニーカーをザックに括りつけていた。

屋久島行の便はJALのみが開通している。垂直尾翼に刻まれた鶴のマークが好きだ。JALのロゴに鶴が復活した時は嬉しかった。姉がかつてJALのCAであったことも贔屓に一役買っているが、日本人として、日本の航空会社はこうでやはりあってほしい。

屋久島空港には管制塔が無いため、滑走路の確認と着陸の判断はパイロット自身が目視で行うそうだ。そのため、滑走路が雲に覆われて視認が難しい時は引き返すことになるらしい。

東シナ海を眼下に、30分足らずの短いフライトであっという間に飛行機は着陸態勢を取る。引き返しのアナウンスは無い。
やがて鬱蒼とした木々に覆われる陸が見え始める。


花崗岩が隆起してできた原生林の島、屋久島だ。


屋久島空港は出発便の時刻案内も全て手動で行われる超アナログな空港だ。保安所を通り抜けるとトイレも喫煙所も無い。ターミナルに設置された便器は和式とくる。沖縄の観光で人気な島々より面積の広い島なのに、空港の規模は非常に小さい。ゆくゆくは滑走路を延長してジェット機も使えるようにすることでLCCの導入を進める計画もあるようだが、まだ9年くらいはお預けとのこと。
LCCが通って屋久島に通いやすくなるのは嬉しいことだが、島内の観光客を受け入れるキャパシティとしてはこのままでは限界ではないだろうか。
少なくともGWのシーズンには4か月前に飛行機やレンタカーを手配しておかないと十分に検討できないのが現状だ。

②へつづく…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?